軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

27話 戦いの後

シャガという極悪非道の野盗の巣に飛び込んだ、俺を含む15人の冒険者達。

奴らの根城になっていた古城跡で暴れまくり、全ての敵を掃討した――と思われる。

「各々方、油断するのはまだ早いぞ」

騎士爵様が冒険者達に注意を 促(うなが) す。さすが歴戦。

全員が生きているようだが怪我人もいる。その負傷者達に爺さんが治癒魔法らしき物を使っているが、幸い重傷ではないようだ。

「なんだよ爺さん。治癒魔法が使えるんじゃないか」

「そりゃ使えるが、畜生に使うなど言語道断じゃぞ?」

やはり価値観の違いは、いかんともしがたいらしい。その会話を聞きながら獣人達が耳をクルクルと回している。

「とりあえず聞こえてくるのは女の泣き声だけだ。怪しい音はしねぇ」

獣人達は耳が良いからな。だが騎士爵様の言うとおり警戒は 怠(おこた) るべきではないだろう。

俺は、プリムラさんに駆け寄った。

「プリムラさん! 大丈夫ですか?!」

「ケンイチさん!」

彼女が片方の胸をさらけ出したまま俺に抱きついてきた。

薬が効いているせいか、そのまま押し倒してしまいそうな衝動に駆られる――落ち着け、落ち着け、俺!

俺は、アイテムBOXから毛布を取り出すと、プリムラさんの肩に掛けた。

「プリムラさん、こいつが野盗達の親玉――シャガで間違い無いですか?」

彼女の近くに倒れている頬に大きなキズがある男を指さす。

「はい。他の悪党からも、そう呼ばれてました」

「騎士爵様! シャガが、さっきとんでもない事を言ってましたが……。貴族がどうのこうの――と」

「確かに、そんな事を言っていたな……う~む」

騎士爵さまは転がる死体の服を使って剣に付いた血糊を拭きとっている。

だが、それについて、プリムラさんから驚くべき証言が飛び出した。

「その男の話では――私の拉致を、ある貴族から金で頼まれたと言ってました」

「な、なんだと! それが事実であれば由々しき事態だ! これは洒落にならんぞ。腐っている 輩(貴族) が多いと思ってはいたが、ここまでとは……」

大方、街で評判の美人である彼女を拉致、奴隷にでもして 弄(もてあそ) ぶつもりだったのだろう。

「騎士爵様にはアジトを捜索していただいて、その証拠の確保をお願いできますか?」

「うむ! 心得た」

俺は、貴族の事は解らんからな。それは他の冒険者達でも同じだ。せっかく見つけた証拠を見逃してしまうかもしれない。

俺が重機を使って破壊した宿舎から女達が連れだされてきた。皆が裸で胸と股間を隠しながら恥ずかしそうに歩いている。

聞けば全員が、あちこちの村々から 拐(さら) われてきた女達らしい。だが女の中に1人だけ飛び抜けてデカい女がいるのが目に付く。

「裸で歩かせるなんて可哀想じゃないか」

シャングリ・ラで毛布を検索。1枚2000円程で売っていたので購入する事にした。

女達の人数を確かめると、19人――2000円×19枚で3万8千円だ。

皆に毛布を配ったのだが身体を洗いたいらしい。正面の建物の裏手に井戸があるという事だったので、アイテムBOXからLEDランタンを出して、そこへ向かおうとしたのだが――。

正面の建物から別の女が1人、冒険者によって手を引かれ、デッキの階段を降りて広場に連れてこられた。

だが、そいつは手を引かれるのを嫌がるように後ずさりして逃げようとしている。それに他の女達と違い結構上物の服を着ているのだ。

その女を見た、毛布に包まった裸の女達が叫んだ。

「そいつは悪党共に尻を振って、あたい達を虐めていた女だよ!」

「なに? それじゃ、シャガの仲間か」

非難を浴びた女ではあったが、元々は 拐(さら) われてきた女だったようだ。言葉巧みにシャガに取り入り、悪党の情婦として女達を虐めていたらしい。

「そいつのせいで、ポーリアが! ううう……」

「あたいだって生き残るために必死だったんだよ! 悪党共を利用して何が悪いのさ!」

その言葉を聞いた女の1人が転がっていた短剣を手に取ると、毛布を 開(はだ) けて裸の身体ごと女に突進していく。

2人が衝突して 縺(もつ) れ倒れこむと、暗闇を引き裂くような女の悲鳴が広場に響いた。

「ぎゃぁぁぁぁ!」

裸の女がゆっくりと起き上がると、下敷きになった女の胸には突き立った短剣が光っている。

「あぐ……あぐ」

女の口から黒い液体が溢れ出る。勿論、口から出ているのは血なのであろうが、かがり火の薄っすらとした灯りの下では、その色は不鮮明だ。

刺された女の動きが止まると、その場で裸の女が両手で顔を覆い泣き崩れた。

「これは仕方ないな――野盗にやられた事にしよう……」

俺の言葉に他の冒険者達も頷いた。泣いている女の肩に毛布を掛けてやる。

「俺達はダリアからやって来た、この野盗共の討伐隊だ。何もしないから心配しなくて良い。帰りたい所があるなら連れて帰ってやるぞ」

「本当かい!?」

「ああ」

だが故郷へ帰りたいと申し出た女達は9人だけ。残りはダリアへ行きたいと言う。

悪党共に 拐(さら) われた後に助けてもらい故郷へ帰っても、奇異の目で見られる可能性が高いらしい。

親兄弟や亭主を殺されてしまった女もいるらしく、それならば知り合いのいないダリアへ行きたいと言うのだろう。

頼る者がいなければ、女1人でなんとかして生きていかなければならない。人が多いダリアなら仕事も多いしな。

なるほどな……彼女達の好きにさせてやろうと思う。

とんだ修羅場になってしまったが、女達が身体を洗いたいという事なので、LEDランタンで照らしながら建物の裏手にある井戸へ行く。

そこには古そうな石造りの井戸があった。

俺は、LEDランタンを井戸のそばへ置くと、アイテムBOXから石鹸を取り出して彼女達に貸してやる。

「ほら石鹸だ。好きなだけ使って良いぞ」

まぁ、リンスは要らんだろ――と思ったら、プリムラさんもやってきた。

一緒に身体を洗いたいと言う。それならば、リンスを出すか。

「石鹸で頭を洗ったら、この薬を使え。使い方はこの人が知っている」

タオルとバスタオルがいるな――シャングリ・ラを検索して、5枚3000円のバスタオルを4組と10枚1500円のタオルを2組買う。

それから女達の服が必要だろう。プリムラさんの服も破れてしまっているからな。

黒いリボンがついたシンプルな白いブラウスを1枚購入してみて、彼女達の意見を聞いてみる。

「みな同じ物になってしまうが、これで良いか?」

「助けてもらって服までもらえるなら、なんでも良いですが……あ、でもこれ、合わせ目が……」

シャングリ・ラに売っている女物の服は全部左前だ。だが、この世界の洋服は全部右前で統一されている。

「あ! そうかぁ。こりゃ、しまったなぁ」

改めて検索を掛ける。合わせ目の無い頭からすっぽりと被るタイプの白いブラウスを出すと、皆がそれで良いと言う。

1枚2000円程だな、サイズはMそれが20着――4万円だ。

それから、スカートだ。この世界でメジャーな紺色のマキシのロングスカートを出してみた。

これは問題が無いようだ1枚2000円で、これもサイズMが20着だ。

だが、1人デカい女がいるのを忘れていた、はっきりいって獣人の男ぐらいデカい。

スカートの胴回りはLサイズなのだが、背が高く脚も長いのでマキシのスカート丈が半端になり、イマイチおかしい。

それでもズボンを履くよりは、スカートが良いらしい。

上は肩幅も広く女物は全く合わない。仕方なく男物のTシャツと紺のジャケットを着せた――中々似合う。

彼女の話では力も強いので物運びや畑仕事をやらされていたようだ。

「え? 畑なんかもあるの?」

「ありますだ。宿舎の裏にありますだ」

声も低くでハスキーボイスだが、赤い髪をポニーテールにしていて顔は結構可愛い。

女達が裸になって身体を洗い始めたので俺が退散しようとすると、ミャレーが汚れたボロボロの服を着た1人の子供を連れてやってきた。

「この子も洗ってにゃ」

顔は真っ黒で、長くて黒い髪の毛がボサボサだ。だが、その黒い頭に何か白い物が動いたような気がする――。

アイテムBOXから、LEDヘッドライトを出して光を当ててみた。確かに髪の毛の中に白く 蠢(うごめ) く物がいる――虫?

「なんだこれ? 虱(シラミ) か?」

「ふぎゃ!? ぎゃぁぁ!」

子供を連れてきたミャレーが脱兎の如く逃げ出した。そりゃ獣人のような毛皮を着ている奴らには、この手合は恐怖でしか無いな。

シャングリ・ラで 虱(シラミ) を検索してみる。

ほう、結構色々と売ってるんだな。 虱(シラミ) なんて昔の話だと思ったが―― 虱(シラミ) 取りの薬用シャンプーと、歯が長い専用のすき櫛を購入する。全部で4000円だ。

「プリムラさん、この子も一緒に洗ってやってくれませんか? 髪の毛は短く切って下さい」

裸になって胸を隠している彼女に 鋏(はさみ) を渡す。だが、それを見たプリムラさんが驚いた。

「え? これは何ですか?」

「こうやって髪や紙を切るものですが……」

俺が 鋏(はさみ) を持って子供の髪の毛を、少々チョキチョキしてみせた。

「こ、これも商会で売ってもよろしいですか?」

興奮した状態になり裸で彼女が迫ってくるのだが目のやり場に困る。そうか、この世界には 鋏(はさみ) がないのか……。

しかし、こんな状態でも商売の事を忘れないとは、さすが商人の娘だ。

「ちょいとぉ、良いところのお嬢様が裸で男に迫るのは、はしたないんじゃございません?」

「ははは」

「えっ?」

女達のツッコミを受け、我に返ったプリムラさんが必死に胸と股間を隠そうとしている。

「プリムラさん、これは虫用の薬です。これを使って、この子の頭を洗ってやってください。他の人は使っちゃダメですよ」

「はい……」

すき櫛の使い方は、女達が知っているようだ。村でも櫛を使って子供の頭についた虱を取ったりすると言う。

しかし裸の女達の身体を見ても妊娠しているような節は無い。そこら辺を、それとなく聞いてみるが、女が 孕(はら) んだりすると悪党も扱いに困るので、しっかりと避妊をしていたらしい。

女達はプリムラさんに任せて広場へ戻る。

広場には、殺された野盗共の 屍(かばね) が集められていた。ちょうど薬も切れてきたようで、オレンジ色の薄暗みの中、目の前に広がる悲惨な光景が俺に現実を突きつける。

中でも俺がやった死体が一番酷いのだ……。

いくら薬のせいだとは言え、これはイカン。思わず口を押さえてしまうが――俺の目の前でさらに衝撃的な光景が繰り広げられる。

獣人達は 屍(かばね) の頭を落とし始めたのだ。

「おいおい、何をするんだ?」

「何って――討伐の証拠のために首を持っていくんじゃありませんか。旦那、こういうのは初めてかい?」

「ああ……」

「まぁ冒険者やってれば、こういうのはしょっちゅうだからな。慣れるこった」

慣れる――って、こんなの慣れるのか? だが首を持っていかなければ、討伐完了とならないのであれば、それは仕方ない。

数だけ勘定するなら、耳とかで良いらしいが、今回は悪党共の顔の確認が必須だ。何と言っても、報奨金の金額がデカいからな。

それが、この世界の 掟(ルール) なのだ。さすが異世界、甘いものじゃなかった――一歩、街から出れば、コレだ。

腹から湧き上がってくる物を無理やり飲み込むと、獣人達の所へ行き落としたばかりの生首を掴んだ。

「そ、それじゃ、首は俺のアイテムBOXへ入れとくよ」

ガクブルしながら、アイテムBOXへ突っ込む。

「そいつは助かるぜ! 何しろ時間がかかると臭くてなぁ。塩でも大量に有れば良いんだが、さすがにこんなに沢山の首を埋めるだけの用意はねぇし。運ぶのさえ大変だぜ」

アイテムBOXへ入れていけば腐る事もないからな。しかし――まさか、こんな物をいれる羽目になるとは……。

どうしてこうなった! スローライフはどこへいったんだ?

首をよく見ると黒い刺青をしている者がいる。

「ニャケロ、この首の黒いのはなんだ?」

「旦那、知らないのかい? そいつは奴隷ですよ」

「奴隷?」

「恐らく逃亡奴隷でしょ」

彼の話では逃亡奴隷を見つけたら、通報して金をもらうも殺すも自由だと言う。つまり、この世界の奴隷には人権は無いのだ。

「それじゃ奴隷を 匿(かくま) ってやる代わりに悪事を手伝わせていたってわけか」

「まぁ、この手の話は結構ありやすぜ」

彼は俺との話をしながらも、耳をくるくると回して辺りを警戒しているようだ。

「お前の耳や鼻でも、潜んでいるような敵の気配は無いのか?」

「ありやせんぜ」

「そうか……」

屍(かばね) を数えると、52体だな。50と聞いていたから、ほぼ数は合っていたようだ。

俺が調子に乗ってユ○ボアタックをした 屍(かばね) はバラバラだ。 腸(はらわた) がそこら中に散らばって、生臭さと酸い臭いが辺りに充満している。

うわぁ――マジでやっちまったぁ、トラウマになりそう……。

頭を抱えていると、ふと広場に置きっぱなしの相棒が目に留まる。

あ、その原因となったパワーショベルを出しっぱなしだわ――収納しないと。

その前に、ポリタンクの水を取り出して軽く洗浄した。 なんでこんな事をする羽目に……。

ユ○ボをアイテムBOXへ入れていると、女達がランタンを片手に俺が渡した服を着て広場へやって来た。

「おお、みんな似合うじゃないか」

「こんな上等な服を、もらっちまってぇ……」

「何、良いって事よ」

見れば、皆の髪――黒茶金赤、色とりどりの毛がまだしっとりと濡れている。長い髪が多いからな簡単には乾かないだろう。

そうだ、あれが使えるか。

俺は、アイテムBOXからジェットヒーターとテーブルを取り出した。

「え? それって何ですか?」

テーブルの上に現れた、銀色のジェットエンジンのような物体を女達が食い入るように見ている。

まだ燃料も残っているし、これで女達の髪の毛を乾かせば良い――と、思ったが――。

これって、100Vがいるんだったわ。発電機は持ってきてないし、モバイルバッテリーも家に置いてきてしまった……。

どうしよう……新しいバッテリーを買っても良いが――しばし考える。

そうだ! トラックがあるんだ、シガーソケットから取るタイプのインバータ(昇圧器)を買えば良い。ジェットヒーターのファンは30W程だから、一番容量の小さい奴で十分だ。

シャングリ・ラでインバータを見ると――3500円で目当ての物が売っていた。

「よし、【購入】! ポチッとな」

落ちてきたインバータをトラックのシガーソケットへ突っ込み、ジェットヒーターの電源コードを繋ぐと、スイッチを入れて点火ボタンを押す。

カチカチという点火音が鳴って、すぐに轟々という赤い火が出始めた。

「ほら、ここから熱い風が出るから、ここで髪の毛を乾かせば良い」

「ほぇ~これって魔法っすか?」

「まぁ、そんなもんだ」

「ほぇ~」

女達が不思議そうに機械を覗きこんでいる。

「お前さん、そんな物を、いくつ持っているんじゃ?」

「それは内緒だよ爺さん」

ジェットヒーターを見たミャレーが指差して叫んだ。

「この前使ったやつにゃ! それがあるなら、うちも身体洗ってきて良いかにゃ?」

「これ石鹸ですだ」

ミャレーは石鹸を受け取ると井戸の所へすっ飛んでいった。彼女は灯りが無くても眼が見えるからな。

獣人達は毛皮を着ているので、血糊が乾くと面倒な事になるらしい。

俺は 虱(シラミ) 取りのシャンプーを貰って、アイテムBOXへ収納した。

「ケンイチさん……これを、あの娘が使ったって……」

「ああ……その、なんだ――家に森猫がいただろ? 彼女を見たいって、ミャレーの奴がな……」

「呼び捨て……私はまだ 『さん』 づけなのに……」

「いやぁ、君は大事な取引先のお嬢さんじゃないか、ははは」

プリムラさんの目が怖いのだが。

「極悪野盗を皆殺しにするぐらい強くて、こんだけ気前も良いんだ、そりゃ女は放っておかないよ、ねぇ?」

女達が皆で 頷(うなず) く。

まてまて――だが、助けた女達に悲壮感があまり無いのが良い。もしかして無理をしているだけだと困るのだが。

実際、彼女達は明るく振舞い笑っているのだが、笑い顔が痛々しく硬い。

そりゃ酷い目に遭ったんだ。心を壊していてもおかしくはない。全く笑わずに、もくもくと髪を乾かしている女もいる。

だが、ダリアへ行きたいと言う女達は皆が前向きのようだ。

プリムラさんから逃げるようにニャケロの所へやって来た。

こっちはこっちで死体から首をちょん切っている真っ最中だ。どんなカオスな状況なんだよ。

ニャケロの方を見ないようにしながら放置されているポリカーボネート製の盾を人数分回収した。

特に獣人達が使っていたバックラーは白い傷が入りまくっている。

そうそう、クロスボウとミャレーのコンパウンドボウも回収して矢も集めないとな。

矢はカーボン製だし矢じりは合金製だ。この世界にはオーバーテクノロジーすぎる。

「この後どうするんだ?」

首を切っているニャケロに恐る恐る話しかける。

「どうする? って勿論、装備を剥ぎ取るでしょ?」

「ああ、やっぱり……」

「明るくなりゃ家の中も探して、金目の物は片っ端からから全部かっぱらいましょうや!」

「どっちが盗賊だか解らねぇ……」

「ははは! 悪事を働かなけりゃ、こいつらも死ぬこともなかったんですぜ?」

「そりゃ、そうだが。その前に身体を洗ってきたらどうだ」

「おっと! そういえばそうだ。首を切るのに夢中ですっかり忘れてたぜ」

井戸へ走っていくニャケロ達を横目で見ながら、俺は意を決して生首を次々とアイテムBOXへ突っ込んでいく。その数52――。

当然アイテムBOXの中には【首(人間)】×52――という表示が追加された。一体どういう状況なんだよ……。

女達の方を見れば、さっきの子供が髪を短くカットされてジェットヒーターで頭を乾かしている。

よくよく見れば女の子のようだ。

「ああ、女の子だったのか?」

「……」

女の子がコクリと 頷(うなず) いた。

「それじゃ女の子にも服をやらんとなぁ」

早速、シャングリ・ラで検索する。あまり派手なのはダメだろうし、シンプルなやつだな。

紺のワンピースで襟が白い物を見つけた。これがシンプルでいい感じだ――3000円で購入。合わせ目も無いし、これならOKだろう。

「ほら、これをやるから着ていいぞ」

女の子にワンピースを渡すのだが、じっと見ている。

「着方が解らんか? ちょっと着せてやってくれ」

「はいよ~」

女の子が着ていたボロボロの服を、女の1人がスカートの裾を持って一気に脱がせる。

裸になった彼女の頭から紺のワンピースを押し込んだ。

「中々似合うじゃないか、名前は何て言うんだ?」

ショートボブ風になった黒い髪の毛に、紺色のワンピースがよく似合う。ちょっとつり目がちな目で、俺をじっと見続けている。

「……アネモネ」

「アネモネか――いい名前だ、宜しくな」

獣人達は暗闇の中で宝探しに没頭している。夜目があるから暗闇でも関係無いしな。

それは彼等に任せて俺と女達は寝ることにした。

シャングリ・ラからブルーシートを買って地面へ広げた。

少々ゴツゴツするが寝れない事もない。女達は、ろくに毛布も与えられず皆が雑魚寝だったらしいが、今日は俺がやった毛布がある。

俺が寝転がって星空を眺めていたら、女の子――アネモネが俺の隣へ来て抱きついてきた。

反対側には、プリムラさん。そして、ミャレーがアネモネの隣へ来たいようなのだが躊躇している。

恐らく 虱(シラミ) の心配だろう。

――実に温かいのだが、ちょっとこれは困ったな……。

ミャレーじゃないが、 虱(シラミ) が伝染らないだろうな?

まぁ、シャンプーして 櫛(くし) も掛けたらしいから今日は大丈夫だとは思うが。

何日一緒かは解らんが、毎日シャンプーしてやらんとな。

俺は石鹸の香りの中で眠りに落ちた。