軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

217話 村が完成した

30人の移住希望者をマイクロバスに乗せて連れてきた。

サクラから10kmほど離れた森の中に入植させるのだが、そのまま放置ってわけにはいかない。

俺の重機とアネモネの魔法で森を切り開き、アイテムBOXに収納してある彼らの家を出す。

前代未聞の村の丸ごとの移転だ。

朝飯を食い終わると、アイテムBOXからSUV車を出して乗り込む。

村の家屋は半分残っているので、そいつを片付けてしまわないといけない。

アネモネと獣人たちも一緒だ。

昨日はついてきたエルフは、今日は同行しないという。

あまり面白くなかったらしい。

まったく気まぐれで困るが、エルフとはこういう生き物のようだ。

森猫たちも、今日は村には行かないという。

ベルたちが広範囲をパトロールしてくれた結果、魔物の影はなく村の周囲の安全が確かめられた。

定期的にお母さんたちにパトロールを頼めば、魔物の被害を減らせるだろう。

この仕事は獣人たちにも頼んで、その範囲を広げている。

彼らは狩りをしながら警戒の仕事もできて、金ももらえるので好評だ。

俺がオダマキから連れてきた犬人のワルターもその仕事についた。

仲間がいない彼にも単独でできる仕事だ。

村に到着すると、早速作業を始める。

村人たちも開墾をしたいと言うので、村長と相談。

シャベルとツルハシを10本ほどずつ与えた。

俺の重機とアネモネの魔法で木を倒し、輪切りにしてアイテムBOXに入れる。

木がなくなったら重機の排土板で土を均し、カタピラで踏み固め、水平を確かめてから家をアイテムBOXから出す。

前日に半分の家屋の設置を完了していたが、残り半分も午前中のうちに設置が完了した。

村の真ん中には広場があり、馬蹄形になるように家屋が並んでいる。

「やったぁ!」「家が並んだぞ」「元の村のまんまだ!」

村人たちから歓声があがる。

そこに村長がやってきた。

「ケンイチ様、ありがとうございます」

「午後は、井戸を掘ってやるからな」

「あの、まさか今日中に井戸ができるとか?」

「まぁ、多分な」

「本当でございますか?」

「形にはなるけど、水が濁るので綺麗になるまでは数日使えないぞ?」

「それはもちろん存じ上げておりますが……」

どうも村長は信じられないみたいだが――まぁ家と一緒で、見せてやるのがいいだろう。

昼になったので皆で飯を食うが、簡単にインスタントにした。

獣人たちはいつものカレー。

俺とアネモネは、カップ麺を食べた。

サンバクの料理は素晴らしいが、根っからの貧乏人の俺は、たまにこういうものが食いたくなる。

こういうジャンクな食い物には、離れがたいなにかが存在しているのだ。

それは人間の原始衝動に訴えかけるなにかだと思うが、まるで黒い情熱のように俺を縛っているように思える。

これは、どんな生活をしても変わらないだろう。

某国の大統領になった男も、ハンバーガーが大好きって話だったし。

アネモネがカップ麺を食べながら、俺の膝の上にいる。

「なんで、そこに座るの?」

「えへ、座りたいから~」

ラーメンを食べながらアネモネが笑う。

子供っぽいとか言うと怒るから言わないが。

微笑むアネモネの頭をなでてやる。

「ふわぁぁ……」

うちの大魔導師様の頭をなでていると、獣人たちがなにかの接近に気がついたようだ。

「ケンイチ、誰か来るにゃ」「旦那!」

ちょっと身構えたが、正体はすぐに解った。

「あら、ケンイチ様じゃねぇか」

森の中から現れたのは、崖にある洞窟に住んでいるドワーフだった。

太くて背が低く、腕は極太。いかにもドワーフという体つき。

洞窟の奥に村を作ったのだが、そこで見た顔だ。

「なんだ、ドワーフだったか。ここに領民が入植するからな。仲良くしてやってくれ」

「それはいいんだが、数日前まではここにはなにもなかったと思ったが……」

「昨日と今日で、村を作ったんだよ」

俺の言葉にドワーフが固まる。

「……ケンイチ様のこったから、冗談ではねぇんだよな?」

「その通りだよ」

「昨日と今日で、村を丸ごと移植したにゃ!」「アイテムBOXから村の家を出したんだぜ」

ドワーフが獣人たちの説明に驚いて聞き入っている。

「はぁ――言葉もでねぇって――むむむ!」

「どうした?」

突然、ドワーフが村人の所に向かうと、手に持っていた鍬を奪い取った。

「むむむ! こりゃまた見事な鍬だな! これもケンイチ様が魔法で作ったもんだろ?」

「そうだ」

ドワーフの姿を見た村人たちが集まってきた。

「ど、ドワーフだ」「エルフの他にもドワーフが……」

「ああ、心配することはない。向こうに崖があるんだが、そこの洞窟に住んでる連中だ」

「こんな上等なものを、ただで村人に与えてどうするんだ」

ドワーフは鍬を掲げて、ぐるぐると回して見ている。

普通の村人が買えるような代物ではないと見ているのだろう。

「そんなことはないだろう。村が豊かになれば、それはすなわち領が豊かになり――つまり俺が儲かる。先行投資だ」

「そりゃ理屈は解るが……」

「そう思っているから、ドワーフたちにだって、凄いものを色々とやったろ?」

「おう! あんなすげぇものを持っているのは、大陸のドワーフの中でも俺たちだけだろうな」

「それを使って凄いものをたくさん作ってくれればいいんだよ」

「あれがあれば――俺たちの部族は、ドワーフの中でも2段も3段も階段を上れる」

「他の部族を寄せ付けないほどの技術を身につけることができるってことだろ?」

「その通り! ははは! あんな酒だって、ほかの部族はもってねぇしな!」

ものづくりも凄いが、彼らの醸造技術も凄い。

ドワーフたちは、シャングリ・ラに売っている酒に匹敵するような酒を作っているのだ。

サトウキビの絞りカスから酒を作っているので、ラムに近い酒になるのだろうか。

上機嫌だったドワーフだが、突然顔が曇る。

「話には聞いていたが、本当にエルフがいるんだな」

「彼女は大使だよ。エルフとも協力関係を築かないと」

「 政(まつりごと) のためとはいえ、あんな連中と付き合うことになってる領主様に同情するぜ」

えらい言われようだが、そのぐらいドワーフとエルフは仲がよろしくないらしい。

ファンタジーでは、そんな話があったような気がしたが、この世界でもそれが当てはまるようだ。

「別に、エルフと仲良くしろとは言わんよ。喧嘩をしなければいい」

「まぁ、向こうもそのつもりだろうし」

洞窟にいるドワーフたちにも、ここに村ができることを伝えてくれるよう頼む。

俺の言葉を持ってドワーフは、仲間の所に帰っていった。

さて、井戸を掘らなくては――村長を呼ぶ。

「村長、井戸はどこに掘ったらいい?」

「できれば村の真ん中に……可能でございましたら――の話でございますが……」

村には広場があり、そこに井戸を掘れば皆が使いやすい。

ここは湖の近くなので、どこを掘っても水は出ると思うが――とりあえず、やってみるか。

村の外れにあった重機を、一旦アイテムBOXに入れて、広場で再び出す。

そのまま移動してもいいのだが、カタピラで地面がガタガタになってしまう。

せっかく地面を均したのに、また整地をしなくてはならない。

黄色い鉄の魔獣に乗り込んでエンジンを始動させる。

黒煙を吐き出して息を吹き返した魔獣。彼の長いアームを伸ばすと、地面を掘り始めた。

掘って掬って、土を移動させると小山を作る。

アネモネのゴーレム魔法でも、穴を掘ることが可能だろうとは思うが、細かいコントロールができない。

表面は腐葉土なので、掘りやすくあっという間に穴が開く。

「「「おおおっ!」」」「もう、こんなに深い穴が!」「あの鉄の爪の威力は凄い!」

土の下に砂の層が現れると、水が湧き出てきた。

水が湧けばこっちのもんだ。

シャングリ・ラから購入したコンクリブロックで組むと、水の溜り場を作る。

次に、太い塩ビ管を購入して、つないで穴に立てて再び埋め戻す。

埋め戻した周りを踏み固めたあと、地面から飛び出した塩ビ管に細い管を挿入。

設置台を置いて、そこにガチャポンプを繋げば――井戸の完成だ。

「村長、完成したぞ」

俺の言葉に、集まっていた村人たちが、訝しげな顔をする。

「こ、これが井戸でございますか?」

「あー! ここの村人は帝国で流行ってるガチャポンプを知らないのにゃ」「まぁ、見たことがないのも当然だと思うぜ」

獣人たちの言うとおりだな。

村人を集めて、使い方を説明する。

「使い始めのときには、呼び水を入れる」

「はい」

ポンプに水を入れて10回ほどポンピングすると、コーヒー牛乳みたいな水が出てきた。

「「「おおお!?」」」

「ケンイチ様! これは魔法でございますか?」

「違う違う、普通に水を揚げるカラクリだから、女子どもがやっても同じように使える」

試しに、俺がシャガの所から助けた女を呼んでやらせてみた。

「こうやって、上下に」

「こうですか?」

白いブラウスに青いロングスカートを穿いた女が、おっかなびっくりポンプを動かしている。

当然、誰がやっても水が 滔々(とうとう) と溢れ出てくる。

「凄い!」「俺にもやらせてくれ!」「もう、重い釣瓶を上げなくてもいいのね!」

「そうだ、これを使えば、簡単に揚水できるってわけだ」

代わる代わる、村人たちはガチャポンプを動かしてはしゃいでいる。

まだ水が濁っているが、2~3日すれば澄んでくるだろう。

「ありがとうございます!」

村長が、俺の前にやってくると深々と礼をした。

「村長、こいつは結構高価なものだから、盗まれないようにな」

「心得ました!」

シャングリ・ラなら2~3万円で買えるこいつも、この世界では金貨数枚の価値がある。

盗まれることも十分に考えられる。

時間が余ったので、畑の開墾もする。

アネモネのゴーレムで木を倒し、ぶつ切りにするとアイテムBOXに入れる。

畑のスペースができたら、ゴーレムを使って天地返しをする。

「アネモネやってくれ」

「解った。むー!」

彼女の魔法で青い光が集まると、コアに腐葉土が集まっていく。

栄養豊富な表面の腐葉土を土に混ぜ込むのだ。

ゴーレムのコアを使えば、土をひっくり返すのも簡単にできる。

盛り上がってはひっくり返り、まるで生き物のように動く土に、村人が驚いている。

「土が生きているようだ」「なんと、畑もこんな簡単に……」

「畝を作ったりするのは、そちらでやってくれよ」

「村を作って畑を作って、出血大サービスだにゃ」

ミャレーが妙なことをいい出した。

出どころは多分アキラだ。

「アキラからそんな言葉も習ったのか?」

「にゃー!」

本当にもう、どうでもいい言葉ばかり覚えて。

この世界に定着したらどうする。

少々心配だが、変な言葉を喜んで使っているのは、ミャレーだけだ。

多分、大丈夫だろう。

村長にトウモロコシなどの種と、サトウキビの苗も渡す。

「この絵に描いてある、黄色い実がなるのですか?」

村長が見ているのはトウモロコシの写真が載っている袋だ。

「実というか、そいつは穀物なので、麦みたいなものだと思ってくれ」

「こ、これがでございますか?」

「ああ、そのまま煮たりしても食えるが、乾燥させて粉にして使ったりもできる」

この世界でもトウモロコシの栽培が始まっているが、実を間引いたりしないので、あまり甘くない。

「こちらの草は?」

村人たちがサトウキビを見ているが、たしかに草にしか見えんよな。

「それは湖で見せた、砂糖ができるサトウキビだ。植えるなら水際でないと駄目だな」

「栽培は難しいのでございますか?」

「いや、地下茎でどんどん増えるし、難しくはないと思う。砂糖の作りかたについては、サクラまでやって来て習ってくれ」

「承知いたしました」

「初めての栽培だ。失敗しても怒ったりしないので、色々と試行錯誤してみてくれ」

「ケンイチ様のご期待に添えるよう、村人一丸となって粉骨砕身いたします」

「よろしく頼む」

そろそろ暗くなりそうなので、サクラに戻ろうとすると――獣人たちの様子が変だ。

「どうした?」

「多分――あの犬コロにゃ」「ああ、においで解る」

ちょうど風向きが、においを運んでくる方向に吹いている。

森の中から現れたのは――彼女たちが言うようにワルターだった。

「ようワルター、おつかれさん」

「これは、ケンイチ様。村を作っていたのはここでしたか」

「ああ、ここの近くを通ったら、なにか問題がないか村人に聞いてみてくれ」

「かしこまりました」

彼は、領のパトロールをする仕事をしているので、その成果を聞いてみる。

「魔物はどうだ?」

「獲物は多いですが、魔物は見当たりませんねぇ」

「俺が初めて来たときには、牙熊がいたりしたんだが……」

「そうにゃ! ウチがおびき寄せて、ケンイチが倒したにゃ」

え~? ミャレー、それは違ったと思ったぞ?

まぁ、そんなツッコミはやめておく。

「ここらへんは黒狼も多いんだが、犬人に神の遣いを倒せとは言わんから、見かけたら報告だけしてくれ」

「はい、申し訳ございません」

やっぱり犬人は、黒狼を手にかけるのは禁忌みたいだな。

「森猫を仕留めるのもやめてくれよ」

「ケンイチ様の森猫の可愛がりようをみれば、そのようなことをできるはずもありません」

「今のところ、犬人はお前1人だが、他の犬人がやってきたら伝えてくれ」

「承知いたしました」

犬人から見れば――森猫を飼って、猫人の女を愛人にしている俺は、猫人族びいきに見えるかもしれないが、仕方ない。

村人に別れを告げると、アイテムBOXから車を出した。

「ワルター、お前も乗っていくか?」

俺の言葉にミャレーとニャメナが慌てている。

「いいえ、私は自分の脚で参りますので」

「そうか」

車に乗り込むと、ミャレーとニャメナがワルターに向かって舌を出す。

「やれやれ……」

それを見たワルターが呆れた顔をしている。

「ミャレー、喧嘩をするんじゃないぞ?」

「奴らから売ってこない限りは、しないにゃ」

平和に暮らしてもらいたいというのが、領主の願いではあるが――人が多くなれば、それだけトラブルも増える。

みんな仲良くってわけにもいかなくなるだろう。

小さな会社でも、皆を100%満足させるってわけにはいかないからな。

ちょっとのことで仲違いして分裂していく。

元世界での仕事のことを思い出して気が重くなるが、なにもかも自分で背負ってしまったのが敗因だ。

ここには優秀な人材が揃っている。

皆の力を借りて、領を運営していかねばならない。

決意を新たにしていると、サクラに到着した。

車から降りると、メイドたちが出迎えてくれる。

「「「おかえりなさいませ、ご主人様」」」

「はい、ただいま」

食事の準備は整っており、並べられたテーブルには美味しそうな料理が並んでいる。

テーブルにつこうとすると、アマランサスが抱きついてきた。

「聖騎士様ぁ」

「なんだ、アマランサス。暇そうだな」

「聖騎士様との波乱万丈の旅に比べれば、 政(まつりごと) のなんと退屈なこと」

「そうは言っても、それが仕事だし」

そこにリリスがやってきた。

「村の移築はどうなったのじゃ?」

「すべて終わったよ。明日から普通の生活が送れるだろう」

「なんと――数日で引っ越しが終わり、村の開墾まで終わってしまうとは……」

「そこが、聖騎士様の凄いところですわぇ……」

そこにアネモネが割り込んできたのだが、アマランサスはびくともしない。

「アマランサス、離れて!」

それどころか俺の首に腕を回して唇を狙ってくる。

「うふふ~」

「ほら、アマランサス。飯だぞ」

「……」

彼女が黙って俺から離れた。

奴隷契約がある彼女は、俺に逆らうと転げ回るからな。

今日のテーブルには、プリムラがいた。

「プリムラ、アストランティアでカナンに会ったかい?」

「お会いしましたよ。ケンイチを待っておいででした」

「そうか――村の移築は終わったので、明日アストランティアに行ってこようかなぁ」

「私も行く!」

すでにテーブルについて、食事を食べ始めていたアネモネが手を挙げた。

「カナンの所に泊まるかもしれないから、俺1人で行ってくるよ」

「むー」

アネモネがむくれているが、カナンに服を作ってもらいたいのだ。

いい加減、シャングリ・ラで買った適当なコスプレ服でごまかすわけにはいかないだろう。

まじまじと見られれば、安物だってバレてしまうしな。

要は、しっかりとした材料でコスプレのような服を作ってもらえばいいわけだ。

考えごとをしながら、目の前の黄金色のスープを啜る。

美味い。

肉は黒狼だろうが、臭みもまったく感じられない。

まるで高級レストランの味――というか、作っているのは王宮の料理人なのだから、当たり前田のクラッカー。

チラリと、作ったサンバクの顔を見れば満足そうな表情。

さすが、プロは違う。

腹も膨れたので、帰ってきた森猫と獣人たちにブラシをかけてから、崖の上の離れに向かった。

寝るのには少々時間があるので、ちょっと工作。

離れに続く道に街灯を置きたい。

輪切りにした丸太を置いて、その上にシャングリ・ラで買った街灯を設置する。

ちょっとブロンズ像のような色合いで金属風に見えるのだが、実はプラ製で軽く片手でらくらくと持ち上げられる。

そいつを丸太の上に設置すれば、起き上がりこぼしのように倒れる心配はない。

太陽電池とLEDで光るので面倒な配線もなく、暗くなると勝手に光りだす。

LEDの光には虫が集まらないので、夜の間光らせても平気だ。

設置した街灯は充電した状態だったのか、すぐに光りを灯し始めた。

離れまで、一直線にオレンジ色の街灯が並んでいい感じ。

できあがった街灯を眺めていると、LEDランタンを持ったマイレンとリリスがやってきた。

「ほう! 明かりを灯したのじゃな?」

「こいつは、暗くなると勝手に光るから手がかからない」

「虫が集まっておらんので魔法の光じゃな」

マイレンがそっと手を挙げた。

「あの、恐れ入りますが――自宅の周りにも何本か立てられないでしょうか……」

家やメイドたちの宿舎の周りは、往来が激しい。

いくらか明かりがあったほうがいいか……。

「こんなに暗くてもいいのか?」

本当に微かに足元が見えるぐらいの明るさだからな。

「真っ暗よりは……」

「そうだな、何本か立てるか」

「ありがとうございます」

大型の太陽電池と、普通の街灯の組み合わせもあるのだが、設置に手間がかかってしまう。

それでも主要な場所には設置してもいいと思うが……。

盗まれたりすることも考えなくてはならないし。

今日建てた街灯モドキは、プラなので安い。

なにかあっても懐が傷まない。

離れに入ると、女性たちが裸になる。

いきなり裸になられると情緒もなにもあったもんじゃないな。

まぁ結局、やることは一緒なのだが。

マイレンもメイド服を脱ぐが、髪型とメガネはそのまま。

これは譲れない。

「お許しを~お許しくださいませ~」

マイレンとお許しを~ごっこしながら、リリスと話す。

「カナン殿の所になにか用があるのかぇ?」

俺の隣には裸のリリスが座っている。

「ああ、そろそろ正式な貴族用の服を作ってもらおうと思ってね」

「いつもの服でもいいと思うがの」

「ああ~お許しを~」

「ええ? あれか――じっくりと見れば、作りが悪いとバレてしまうんだが……」

ナイロン素材とかは、この世界にないから、新鮮といえば新鮮だといえるかもしれないが。

リリスを抱き寄せて、唇を重ねる。

「リリスも、カナンに服を作ってもらえばいいじゃないか。新進気鋭で人気らしいぞ?」

「もう、頼んである!」

代金は彼女のポケットマネーで払うようだ。

公私混同はよくないが、ある程度なら公費として認めてもいいと思うが……。

「そういうことをすると、プリムラの追及が厳しいのでな」

「なにか事業を始めて、儲けた金で買うとかしないと……」

「それゆえ考え中じゃ」

「お許し――あ~っ!」

お許しごっこが終わったマイレンが手を挙げた。

「わ、私もカナン様の服が欲しいのですが……」

「カナンの服は人気らしいからなぁ、頼んでもいつになるか」

「そ、そこはケンイチ様のお力でぇ」

裸のマイレンが俺に胸を押し付けてきた。

リリスが俺のほうをじろりと睨む。

「公私混同はいかんな」

「申し訳ございません……」

俺の言葉に、しょんぼりしているマイレンの頭をなでる。

「ふわぁぁぁ……」

まぁ、注文するだけ注文してみればいいが、やっぱり上客優先だと思うしなぁ。

俺の服を作る暇もないかもしれない。

とりあえず、明日アストランティアに行ってみよう。