作品タイトル不明
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「やっぱりそうだろう?イディア様にそっくりだからすぐにわかったよ。
俺はハイネス・ココディア。
イディア様の甥ということはソフィア王女の従兄弟になる。
学園ですぐに会えると思っていたのに会えなくて。探したよ。」
「そう。ハイネス王子でしたの。はじめまして。
ソフィア・ユーギニスよ。
学園では学年が違うと授業時間が違うの。
今後も会うことは難しいと思うわ。」
失礼にならない程度に微笑んで会話しているが、
自分になびかないと気が付いたのか、ハイネス王子は怪訝な顔をする。
「昼休憩の時間くらいは取れるだろう?
明日からは一緒に食事したい。いいだろう?」
「悪いけど、昼も仕事をしながら食事をとっているの。
王太子代理の仕事が忙しくて。
王政に関わることだから、他国の王子に見せるわけにはいかないわ。
あぁ、もう時間だから行きます。それでは。」
昼休憩の時間が終わることに気がついて、会話を終わらせる。
ハイネス王子はまだ何か言いたそうにしていたけれど、
気にすることなくそのまま食堂をでた。
後ろからハイネス王子がブツブツ言っている声が聞こえたけれど、
何を話しているのかまでは聞き取れない。
きっと後から影が報告してくれるだろう。
「ソフィア様…あんなにはっきり拒絶するのはめずらしいですね?」
「うん…なんていうか、嫌な印象しかなくて。
これ以上、王子と話したくなかったのよね…。」
心配そうにルリが小声で話しかけてくる。
ルリから見ても、私の王子への対応は冷たいと感じたようだ。
わかっている。
今の態度は失礼にならないぎりぎりの対応だった。
本当ならば、同盟国の王子なのだし、もう少し柔らかく対応するべきなのだと思う。
だけど…あのこみあげてくるむかつきはなんだったんだろう。
一刻も早く立ち去りたい、王子と話したくない気持ちでいっぱいになった。
これまで私を虐げてきた人たちと会っていても、
制御できないほど嫌な気持ちになることなんて無かったのに…。
「え!あんなに綺麗な王子様だったのにですか!?」
「綺麗?あの王子が?」
ルリにはハイネス王子はとても美しい王子様に見えたそうだ。
綺麗だと言われたお母様に似ているのならば王子も綺麗なのだろうとは思うが、
近くに寄りたくない、話したくない、そんな気持ちでいっぱいで、
好意的な気持ちは持てなかった。
「俺から見ても綺麗な王子だと思ったぞ。
…まぁ、ソフィア様は綺麗な男性を見慣れているのかもしれないけどさ。」
「ん?私が綺麗な男性を見慣れている?」
「ソフィア様の護衛騎士の二人は美しいと言われると思うが。」
「あぁ、クリスとカイルね。
そう言われてみたらそうかも。
顔立ちが整っていると言われたらそうよね。
それが理由で選ばれたわけではないのだけど。
クリスとカイルとは幼いころからずっと一緒にいるから、
そういう意味で私が目を奪われることはないでしょうね。」
クリスとカイルを見てから答えたら、二人とも微妙な顔になる。
綺麗な男性と言われてもうれしくないんだろうと思う。
二人とも外見を褒められることになれていない。
というよりも、外見を褒められたくないのだろうと思っている。
帰りの馬車でクリスから影の報告を受ける。
さっきハイネス王子がブツブツ言っていたのが気になっていた。
すぐに報告されると思っていたのに、
クリスは私の顔色を窺うように確認してきた。
「…姫さん、報告するけど、怒るなよ?」
「ん?王子の報告よね?私が怒るようなこと言ってたの?」
「ん、まぁ。王子が言っていたのをそのまま報告するよ?
…さすが叔母上の娘だけあって綺麗だが、ずいぶんと幼いな。
俺としては胸があって肉付きが良いほうが好みなんだが…全く無いな。
そう侍従に話していたそうだ。」
「は?」
ずいぶんと幼い?胸が全く無い?
おもわず胸に手をあててみるが、たしかに胸は大きくない。
身長もルリよりも小さい。きっと学園で一番小さいと思う。
…じわじわと怒りがこみあげてきて、向かい側にいたカイルにぶつける。
「ねぇ、私って、そんなに幼い!?
胸って無くちゃダメなの!?
ねぇ、カイルも胸があったほうがいいの!?」
「え。ちょっと待て、落ち着けって。」
「もう、あの王子なんか嫌い!」
「わかったって。大丈夫だ。
姫様はまだ成長するから…。」
「胸は大きくならないかもしれないよ!?」
「…いいから、そのままでも大丈夫だから。」
「大丈夫って、なに!?」
「あ~ありゃ、意外と気にしてたんだな。
ルリ、このことは王宮にはこっそりと報告しておけ。
この話題には今後ふれないようにと。」
「わかりました…クリス様、カイル様を助けなくていいのですか?」
「いいの、いいの。姫さんだって、たまには怒ったほうがいいんだよ。
王子に会ってイライラしたみたいだし、カイルに受け止めてもらえばいい。」
「大丈夫でしょうか?」
「大丈夫。あぁ見えて、カイルは姫さんのわがまま受け止めて喜んでるから。」
「そういうことですか。わかりました。」