軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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目が覚めたら、身体が重かった。

いつものように私室の寝台で寝ていたようだけど、

両脇にはクリスとカイルも寝ている。

…ん?どういう状況?あぁ、王宮に帰ってきたんだ。

え?今、いつ?どのくらい寝ていたんだろう。

少しでも早く周辺国に連絡しなきゃいけないのに!

すぐに起き上がろうとしたけれど、力が抜けてまた寝台に倒れこむ。

ううう…身体のあちこちが痛い。どうして?

「…姫さん?起きたのか。

ちょっと待って、動かないでそのまま寝てて。」

「…クリスぅ。身体中が痛い。なんで?」

「あれだけ無茶苦茶な旅だったんだ。そりゃ身体に影響が出て当然だ。

王宮に着くまでは魔力で補っていたんだろうけど、

湯あみして気が抜けて、そのまま倒れたんだ。」

「あぁ、そっか。そういえば湯あみしてた。」

旅の間は湯あみできなかったから、王宮に戻って来てまず湯あみに連れていかれて。

三人に洗われていたのは覚えているけれど…その後の記憶が無いな。

湯あみの最中に倒れたのか…みんな心配してるだろうな。

今は倒れている場合じゃないのに。

「ほら。薬湯用意しておいた。ゆっくり飲んで。」

クリスが私を抱き起して薬湯を飲ませてくれる。

苦いけど冷たくて気持ちいい。もしかして熱があるのかな。

「どうしよう。時間ないのに。」

「いや、それは大丈夫。まだ期限内。

姫さんが倒れてから半日もたってない。」

「でも、周辺国にも事情を説明しないと。」

「それについては義父上が連絡してくれていたらしい。」

「え?フリッツ叔父様が?」

「外交官として他国をまわっていただろう?

ココディア以外の周辺国に事情を説明する手紙を送ってくれたらしい。

今はまた離宮に戻ってしまったけれど、

姫さんが落ち着いたらまた顔出すって言ってた。」

「…そうなんだ。叔父様が…それなら大丈夫ね。」

ココディアへ人質として送られていたフリッツ叔父様だが、

お母様がココディアに帰ったことにより自由に動けるようになった。

それ以来、ココディアで出会った他国の大使たちとのつながりをもとに、

周辺国をまわって外交していた。

ココディア以外の国から魔石を輸入できるようにするためである。

外交官として他国に信頼があるフリッツ叔父様の説明であれば、

他国がココディアの言い分だけを信用することは無いだろう。

急いでやろうとしていたことがもうすでに終わっていると聞いて、

ほっとして身体の力がぬける。

「だから、とりあえずはゆっくり休め。

明日の朝まで起きて動くのは禁止な?」

「明日の朝?今は?」

「今は夜になったばかりだ。

カイルはさっきまで休憩もとらずに姫さんの看病してたんだが、

一緒に倒れられても困るからな。無理やり眠らせた。」

「そうなんだ…看病してくれてたんだ。」

寝ているカイルの顔が疲れているように見えて申し訳ないと思いながら、

こうしてクリスとカイルがそばにいてくれるのがうれしい。

「なぁ、姫さん。さっきカイルから聞いたんだが、

倒れている間、夢でうなされていなかったか?」

「え?夢で?」

たしかに夢を見ていた気がする。

うなされていたのなら、また塔の夢だったのかな。

今日のがどんな夢だったのか覚えていないけれど、

最後はとてもいいことがあった気がする。

「…もしかして、今までも何度もうなされていたのって、

塔の中にいる夢を見ているのか?」

「今までも何度もうなされていた?」

「ああ。監視していた時から何度もだ。

俺は…ずっと虐待されていた時のことでうなされているんだと思ってた。

夜にうなされている時もあれば、朝寝ぼけながら泣いてた時もある。

姫さんにはその時の記憶が無いみたいだったから黙ってたんだ。

だけど、塔の話を聞いてから、もしかしてって。」

「あぁ、うん。確かに夢の中で塔にいることはあるね。

うなされているとは思わなかったけれど。」

「そうか。」

飲み終わった薬湯の器を取り上げられ、そのまま抱きかかえられる。

私の熱が高いからか、クリスの身体が少し冷たく感じる。

「…姫さんが寝ている時、たまに起きて人の気配を探しているとは思ってた。

俺やカイルがいるのがわかると、笑ってまた寝るんだけど。

安心するんだと思ってたけど、意味が違ったな。

一人じゃないことを確認して安心してたんだ。」

「それは…うん。人がいるってわかって、ここは塔じゃないって。

もう一人じゃないんだって安心してたと思う。」

記憶が戻ったばかりの頃は、自分がどこにいるのか確認する癖がついていた。

もう塔じゃない。もう一人じゃない。

天井裏にいるカイルやクリスがいることで、ようやくソフィアだと安心できた。

どうしてあの頃の記憶が全部残っているのか。

忘れてしまっていたら、そんな夢なんて見なくて済むのに。

「…これからはずっと俺とカイルがいる。

王宮に帰って来てからも、一緒に寝て、うなされたら起こす。」

「うなされてたら起こしてくれる?」

「ああ。俺は一秒だって、姫さんをあんな塔に一人でいさせたくない。」