軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第240話 異世界の真実

昔々、遠い昔――高度に栄えた文明が自壊してしまった。

生き残った人々は壊れてしまった世界を前に嘆き、悲しんでいた。

そんな彼らの目の前に、天から1人の神が姿を現す。

嘆く人々を憐れに思い、1柱の神が地上へ降りて来てくださったのだ。

神は自身のことを『天神』と名乗り、傷つき嘆き悲しむ人々を救ってまわった。

その過程で天神は、6人の弟子――少女1人に、男5人――をとる。

彼らは天神に付き従い世界をまわり、人々を救い、各地を復旧していった。

世界は天神と弟子達の手により、自壊してしまった世界とは異なる世界へと変化していった。

世界の変質は彼らが望んだ訳ではなく、強すぎる天神の力の影響を受け変質してしまったのだ。

そんな天神の持つ奇跡の力に6人中、5人の弟子が目が眩んでしまう。結果、天神を殺害し、奇跡の核となる『 神核(しんかく) 』を手に入れることができた。

だが、『神核』の力が強すぎるのと、誰か1人が独占すれば遺恨が残ってしまう。それ故、弟子5人は『神核』を6つに割り、天神の弟子全員へと分け与えた。

6つに別れてしまったため『神核』は、その一欠片を『 魔法核(まほうかく) 』へと力の強さを落としてしまう。

最後まで天神殺害に反対していた姉弟子である少女にまで力を与えたのは、共犯とするためと、他5人と比べて小さな力のため男達に与えるより、少女に持たせた方が安全という面から力を押し付けられたらしい。

以後、弟子5人は不可侵条約を締結。それぞれ5大大陸を占拠し、人々を移住させ好き勝手に振る舞った。

その大陸に強制的に住まわされた人々にとっては正に地獄だ。

『魔法核』で力を手に入れた弟子達にただの人が抗えるはずもない。

気ままに殺して、犯され、焼かれ、氷らされ、串刺すなどは当たり前。

嬲られ、殺し合いをさせられ、狂わされ――。

戯れで反乱を野放しにして、タイミングを計って叩きつぶし心をへし折ることもあった。

5人の弟子の狂気はまだ終わらない。

ある大陸では『魔法核』の力によって獣と遺伝子を掛け合わさせられた。

男も、女も関係なくだ。

ある大陸では『魔法核』の力で無理矢理、姿を変えられた。

またある大陸では多数の人々を生け贄にし、『魔法核』の力で異界の民や動植物達を強制的に連れて来る弟子もいた。

そしていつしか、一つの大陸内で自身の欲望を満たす男弟子達を人々は、魔王と呼んだ。

そんな天神殺害の復讐、魔王達から人々を救おうと誓う者がいた。

天神、最初の弟子である少女だ。

しかし彼女が持つ『魔法核』は、他魔王達より小さく弱い上、もっとも扱いが難しい箇所を凝縮されていた。

さらに彼女に押し付けられた大陸は、天神の力の影響で変質してしまった獣達が集められた大陸だった。

そのため彼女はまず慣れない『魔法核』の制御を学び、この大陸で生き延びる必要があった。

どれぐらいの月日が流れただろう。

長い長い時間を少女は費やした。

お陰で彼女は無事、『魔法核』を扱うことに成功する。

そして、ようやく少女は、他魔王達に苦しまされている人々を救うため立ち上がったのだ。

まず彼女はひとつの大陸へ向かい、虐げられていた人々と手を取り合い1人目の魔王を倒す。

魔王から抜き取った『魔法核』を自分自身には取り込まず、一緒に戦った人々に分け与えた。

細かく分割した『魔法核』は、『 魔術核(まじゅつかく) 』へとランクを下げてしまう。

『魔術核』を手に入れた人々は、もう二度と魔王に屈しないため、命を磨り減らし、時に失う程の覚悟で研鑽を積み『魔術師』となる。

少女も仮に自分が破れ、命を落としても人々に戦える武器を残したくて、彼らの手に預けたのだ。

しかし『魔術核』を与えられた人々に差異があった。

『魔術核』を与えられ、非常に上手く扱える者。

『魔術核』を与えられたが、あまり上手く扱えない者。

『魔術核』をまったく受け付けず、魔術を扱えない者。

この差異がどうして発生するのか?

天神の弟子である少女にも理由は分からなかった。

そして力をつけた人々と少女は、順番に大陸を巡り魔王を倒していった。

魔王側もただ倒されるのを待っていた訳ではない。

『魔法核』の力を使用し、より強力で凶暴な怪物を作り出したり、大陸に住む民達を変質させ兵士とした。

だが、少女と魔術師、他人々が協力し合いそれらを倒していった。

解放した大陸で、魔王に虐げられていた人々を次々に取り込み仲間にし、『魔術核』を与えて『魔術師』を量産したのが功を奏した。

魔王という『質』に対して、少女達は『量』で対抗したのだ。

また『魔術核』を非常に上手く扱える者――5人の若者達の存在も大きかった。

少女の下で、若者5人は率先して魔王と戦った。

いつしかこの5人の若者達は、ちょうど1大陸に1人存在したために、人々から『5大陸勇者』と呼ばれ崇められるようになる。

少女と5大陸勇者は、他魔術師や人々の先頭に立ち、魔王と戦う日々を送った。

そして、長い長い時間が経ち――ようやく各大陸を支配していた5大魔王を討ち倒す。

人々は長い間、支配されていた魔王からようやく解放されたのだ。

人々が魔王を倒し、平和を享受するのも束の間――事件は起きる。

『5大陸勇者』と呼ばれ喝采を浴びる若者達が、自分達に力を分け与えてくれた少女を罠に嵌め殺害しようとしたのだ。

彼らは彼女を殺害して、少女が持つ『魔法核』を手に入れようとした。

魔王達と同じ元天神の弟子である少女が、いつ自分達を裏切り魔王になるか分からないという恐怖故に、彼らは殺害を計画したのだ。

『魔法核』を持つ少女は重傷を負いながらも危機を脱し、元居た大陸へと逃げ延びる。

ここなら5大陸勇者達も手出しを躊躇う怪物達が蠢いているため、すぐには追って来ないだろうという目算もあった。

少女は悲しみで涙を流した。

他の『魔王』を倒したのは――天神を殺害された復讐を果たすため、という理由ももちろんあった。

だが、彼ら彼女達を救うために、少女は懸命に努力して協力してきたつもりだった。

皆と確かな信頼関係を築けたと1人思い込んでいた。

しかし愛した人にさえ裏切られ、再び始まりの大陸へと舞い戻る結果となってしまう。

少女は涙を流す。

流し続ける。

ひたすら泣いた後、彼女は5大陸勇者に罠へ嵌められ負わされた傷と魔力を癒すことにした。

負った傷と魔力を癒すとして――問題はその気配が外部に漏れることだ。その気配を辿られ、5大陸勇者に居場所を特定される可能性が高い。

そのため彼女は残り僅かな魔力で地下に穴を掘った。

地下に広大な洞窟を作り出し、自身で自分を封印。

封印されている間は傷と魔力の治りが鈍くなってしまうが、気配が外部に漏れる心配はない。

大陸を跋扈する強力な怪物達は、最初こそ少女を苦しめたが、今では5大陸勇者を阻む優秀な壁となってくれた。

そして、少女は怪物達すら近寄らない地下深くで眠りにつく。

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彼女が傷と魔力をある程度回復させたのは、それから数千年後。

少女は地上の様子を探るため、幼い少女の思念体を作り出す。

地上に出て、怪物達を避け、他大陸へと情報を収集しに向かう。

情報収集の結果、5大陸勇者は『5種族勇者』と呼び名が代わり、魔術の扱いに長ける者達はランクでわけられていた。

魔術を非常に上手く扱える者、5種族勇者達をS級。

魔術をある程度扱える者をA~B級。

魔術を扱えない、下手な者達をそれ以下に。

そして自分は他魔王達と同じ『魔王』扱いされていることを知る。

5種族勇者に破れた自分は、彼らが『魔物大陸』と呼ぶ大陸に存命し、再び世界を滅ぼそうと虎視眈々と狙っている――そう世の中には伝わっていた。

少女――幼い少女の思念体は、再び涙をこぼした。

しかしいつまでも泣いてはいられない。

いつ自分がその魔王だと気配を悟られ気付かれるか分からない。

彼女はすぐに思念体を魔物大陸へと戻し、再び長い眠りへとついた。

何度も目覚めては情報を収集するため、思念体を地上へと送った。

1人で情報を収集する限界を感じ、二度と裏切られないよう奴隷を中心に人材を揃える。

その奴隷達がいつしか、彼女が眠る洞窟を守護する番人となった。

そして、再び長い長い年月が過ぎ去る。

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「そして、我輩が先代の守護者と交替して、彼女の守護についたのだ」

今、語ってくれた話は守護者が少女から聞いた話を、受け継ぐ際に聞かされるものらしい。

「我輩はその話を聞いて、憤りを覚えた。まったく紳士的ではないと。だから、奴隷として先代守護者と彼女の思念体に買われたのは確かだが、先祖の罪を償うためにも彼女を守ると誓ったのだよ」

(なるほど……だから旦那様は『この世界に住む者の償い』なんて言ったのか)

オレはこの地で久しぶりに再会した時の台詞を思い出す。

ちなみに旦那様と交替した先代は、すでに亡くなっているらしい。

死期を悟っていた彼が、旦那様を見付け少女の思念体を連れて吟味。購入した。

またこの地下に広がる建物群も、旦那様のように守護についた歴代の守護者が、暇潰しとして建物を建てたり、芸術品(女神像や柱)などを作り出したらしい。

旦那様がオレに改めて向き直る。

「リュート、我輩の発言を覚えておるか?」

「…………」

オレは無言で頷く。

旦那様は言った。

『我輩を倒せない程度でこの地に残る理由を知ってしまったら、逃げることも出来ず死んでしまうだろうからな』

この台詞から導き出せる答えは導き出せる答えは――

「五種族勇者の子孫達はまだ少女の『魔法核』を諦めていない。そして、『勇者』と大陸中の人々に褒め称えられている自分達の祖先が、実は恩人を裏切り殺害しようとした事実を消すため、真実を知った者達を亡き者にしているんですね?」

「ふむ、さすがリュート。まさにその通りだ」

恐らく、この異世界でのオレの父、シラック国王はこの真実を研究の結果知ってしまった。そして、その事実に耐えきれず一時は心の病にかかってしまったのだろう。

その後、シラック国王が真実を知ったことに気付いた大国メルティアが、その事実を広められる前に国ごと消しにかかったのか……。

そして、オレ達が真実を知ってしまったことをメルティアに知られたら、命を狙われるだろう。

また5種族勇者の子孫達が集まり立ち上げた 軍団(レギオン) 、 始原(01) も敵にまわる。

軍団(レギオン) ランキング、最高位の『 神鉄(オリハルコン) 』。魔術師S級が率いるあの 始原(01) がだ。

確かに旦那様に勝てない程度の実力で、こんな事実を知ったら無惨に殺されるのがオチだろう。

これがこの異世界のトップ陣が隠し続けていた真実だった。