軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第17話 成果報告

鎧戸から零れる微かな朝日にまぶたをくすぐられ、眼を覚ます。

「うー……」

孤児院に居た時は誰かしらに起こされていたので、1人で起きるのはしんどい。

もそもそと薄手の服を脱ぎ、外出着に袖を通す。

テーブルの上に置いたガンベルトを腰に巻く。

『S&W M10』を手にして、シリンダーを押し出す。全弾入っていることを確認。

一緒に置かれていた冒険者タグを首から提げ、スノーとの婚約腕輪を左腕に付け直す。

宿屋の店番をしているおじさんに、今日も泊まることを告げ大銅貨5枚を支払う。

隣の飲み屋は流石にまだ開いておらず、オレは途中の屋台で再びサンドイッチを買った。

今回のは大麦を使ったパンにサーモンのような魚の切り身、玉葱に似た野菜が入っている。

値段は銅貨3枚。

行儀悪く歩きながら食べ、 冒険者斡旋組合(ギルド) へと向かう。

ちょうど食べ終わる頃に到着した。

午前中のわりと早い時間にも関わらず、 冒険者斡旋組合(ギルド) には人が多数集まっている。

中に入ると受付案内壌から木の札を手渡された。

番号は『12』。

昨日より断然早い。

10分もかからず、番号『12』が呼ばれる。

担当者は、昨日色々親切に応対してくれた 魔人種族(まじんしゅぞく) のお姉さんだ。

「おはようございます、リュートさん。今日はどういったご用件でしょうか?」

「昨日のクエストを終えたので、今日はまた新しいのを探しに来ました」

「もうですか? では、タグをお借りしてもよろしいでしょうか」

お姉さんに首から提げていたタグを渡す。

『お預かりします』とお姉さんが言って、タグを確認する。

「えっと確か昨日クエストは、ガルガル1頭以上の駆除ですよね……ふえぇ!?」

お姉さんが受付嬢らしくない声を出す。

オレの成果に驚いているようだ。

他の冒険者や同僚から奇異の眼で見られるが、本人は気付かず狼狽し続ける。

「き、昨日だけでガルガルを31匹も狩るなんて!? 凄すぎです!」

「それってそんなに凄いことなんですか?」

早く冒険者レベルを上げたかったが、どれだけガルガルを狩れば冒険者レベルをⅡに上げてもらえるか分からなかった。

そのため頑張って狩りまくったのだが、驚くほどなのか?

「当たり前ですよ! いいですか、この 冒険者斡旋組合(ギルド) では、新人が1日目にガルガルを倒した最高記録は10体です。ちなみに、その人は当時魔術師Bプラス級ですよ」

……そりゃ驚くわな。魔術師でもない子供が31匹も狩ってくれば。

お姉さんが続けて喋る。

「魔物も馬鹿ではありませんから、魔力を察知すると逃げに転じるんです。だから魔術師の方でも、これほど多くは狩れないんですよ」

だから自分はあれだけの魔物を倒すことができたのかもしれない。

魔力を感じさせず、まだガルガルが学習していない未知の武器だったから。

受付のお姉さんは疑わしげに眼を細める。

「もしかして協力者とか使いました?」

「まさか1人ですよ。使っている武器が良かったんです」

「そう、ですよね。これだけ狩れる凄腕の協力者なら、もっと割の良い報酬を自分でこなす方が稼げるでしょうし……」

納得し、お姉さんは魔術道具羽ペンでタグを操作する。

「それでは改めておめでとうございます。今回のクエストで、リュートさんの冒険者レベルはⅡに上がりました」

おお、こんなに早く上がるとは!

例え子供だろうが、結果さえ出せば 冒険者斡旋組合(ギルド) は公平に評価してくれるらしい。

「本日はレベルⅡのクエストでよろしいでしょうか?」

「はい。前と同じく、魔物と戦うのでお願いします」

「魔物討伐系のクエストですね。レベルⅡからは森などに入って頂き、より強い魔物を倒して頂くことになります。常時掲示されている討伐クエストで、報酬金額は1匹あたり銀貨1~3枚となります」

彼女は討伐対象の魔物と、それぞれ1匹あたりの報酬を羅列する。

ガルガル、銀貨1枚。

ゴブリン、銀貨1枚。

大蜘蛛、銀貨2枚。

人食いトカゲヘビ、銀貨2枚。

オーク、銀貨3枚。

この辺が海運都市グレイ周辺の森に住む大まかな魔物らしい。

ガルガルは昨日倒した。

ゴブリンは昔、8歳の時に倒したな。

大蜘蛛は通常の蜘蛛より6倍くらいでかい蜘蛛で、森の生物を集団で襲う魔物だ。

人食いトカゲヘビは毒を持ち、毒で動けなくなった獲物を食べる大きな蛇。

オークは身の丈2~3mある魔物で、知能は低いが力は強い。

どれもそこそこの強さではあるが、恐らくAK47の敵では無いだろう。

どうやら、レベルⅡ程度ではまだ大した魔物はいないようだ。

この中で唯一気を付けないといけないのが、人食いトカゲヘビの毒だろう。だが、その毒も道具屋で売っている毒消しの実を食べればすぐに中和される。

冒険者斡旋組合(ギルド) を出たら、いくつか買っておけば問題ないだろう。

これならきっと、レベルⅡクエストも順調にこなせそうだな。

現代武器である『S&W M10』『AK47』があれば、討伐系クエストは難しくなさそうだ。

(別に冒険者の師匠なんていなくても、楽勝じゃん。よーし、頑張ってレベルⅤにしてスノーを驚かせるか)

――と、オレはあっさりレベルⅡに上がったせいで、激しく調子に乗っていた。

この時、自分の運命を大きく歪めるほどの落とし穴があるとも知らずに。

「リュートさんはお1人ですよね? 初めて森に入る場合は、 冒険者斡旋組合(ギルド) 協賛店で地図を買うことをお薦めします」

「地図ですか?」

「森の中で迷わないためです。熟練冒険者と一緒でない限りは、持って行くのが無難ですよ。お値段は銀貨3枚です」

地図1枚に銀貨3枚は高い、と一瞬思う。

しかしこの世界では印刷技術は無く、全て手書きだ。

そう考えれば納得の値段だろう。

それにいくらAK47等を持っていても、森の中で迷ったら危険だ。弾切れを起こすかもしれないし、食料の心配もある。

忠告通り、地図を買っておこう。

「それではレベルⅡになりましたので、最低でも肉食ガルガル2匹以上を駆除してから戻ってきてくださいね。クエスト期限は無期限です」

オレはレベルⅡのクエストが刻まれたタグを受け取り、首に掛け直す。

受け付けのお姉さんにお礼をつげ、 冒険者斡旋組合(ギルド) を出る。

早速、地図と毒消しの実を買うため、 冒険者斡旋組合(ギルド) 協賛の道具屋へと向かった。