軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第105話 15歳誕生日

妖人大陸では、誕生日を祝う概念がない。

一般的に『15歳になれば成人として一人前の大人として扱われる』という区切りがあるだけだ。

大人になったからと言って、盛大に祝う習慣はない。

オレとスノーはめでたく15歳を迎えることが出来た。

15歳を祝う風習は無いが、折角だからとオレがパーティーを提案したのだ。

誕生日と成人式を足したようなイベントになるだろう。

そこで昔、この家に引っ越してきた初日のように自宅でパーティーを開くことになった。

オレ、スノー、リースは食事作り。

クリス、シアはデザート。

メイヤは前の時と同じで酒精を持ってくる約束を交わす。

夕食の時間。

居間に皆が集まりささやかなパーティーが開かれる。

「何これ! 美味しい! 外はカリカリで中はすごくジューシー!」

『唐揚げという物です。お兄ちゃんが作ったんですよ』

「凄い、リューとん! リューとん、お菓子作りも上手なのに、こんな料理まで作れるなんて。料理人でもやっていけるね!」

オレが上座に座り、左側の席にクリスとルナが並んで座る。

相変わらず2人は仲が良く、こうしていると本当に姉妹のようだ。

オレは上座に、右側側にスノーが座っている。

オレの正面、下座にメイヤが腰を下ろしていた。

「リュートくん、メイヤちゃんが持ってきてくれた酒精も凄く美味しいね」

「だな。口当たりが本当良いよ。メイヤ、これ結構高い物じゃないのか?」

「いえ、大したことありませんわ。それにリュート様とスノーさんの15歳を祝う席ですもの。本来ならこの日を記念日として、リュート様達を祝う式典を開くべきですわ」

メイヤは笑顔で――目にはまったく笑っていない真剣な光を宿し断言する。

彼女の場合、本当にそんな記念日制定を実行しようとするから危険だ。

オレは適当に笑って誤魔化す。

「シア、貴女も座って食べたら?」

「いえ、ボクは姫様の護衛メイド。席を同じにする訳にはいきません。ボクは後で頂くので気にしないでください」

「もう頑固なんだから」

スノーの隣にリースが座っている。

彼女の背後にはメイド服姿のシアが、皆に酒精を注いだり、皿の片付け、落ちたフォークを拾い新しいのに代えたりなどの給仕を務めていた。

オレもリースの意見に同意だが、パーティー前にシアが固辞したのだ。

『これがボクの仕事ですから』と。

本人がやりたがっているのを無理に止めることは出来ない。

一応、シア用にパーティー料理の一部を取り分けておいた。彼女にも伝えてあるから、時間を見計らって食べて欲しい。

「はふぅー♪ 唐揚げにマヨネーズをかけて食べるとめっちゃくちゃ美味!」

「はっはっはっ、食え食え。どっちも油と油だから、太っても知らないけどな」

「もう、リューとんの馬鹿。女の子に太るなんて言っちゃ駄目じゃない! それにどうせルナは太っても、お肉はお姉ちゃんみたいに全部おっぱいに行くから大丈夫だもん!」

「る、ルナ! 人前で胸の話をするなんてはしたない!」

「ですがルナ様の場合、リース様よりララ様に似てらっしゃいますから御胸の方はあまり期待を寄せない方が宜しいかと」

どうやらハイエルフ王国、エノールの第1王女、ララ・エノール・メメア様は貧にゅ――……ではなく、スレンダーな体型の持ち主らしい。

ルナはシアの言葉に青ざめ震える。

「だ、大丈夫だもん! ルナ、成長期だし! まだ100歳にもなってないし!」

「そうそう大丈夫だよ、ルナちゃん。それにおっぱいが大きくても肩がこったり、動き辛かったりあんまり良いことないよ?」

「ですね。あんまり大きすぎると足下も見えなくて危ないですし。私のドジの大半はきっと胸が大きいせいですよ!」

いや、絶対にそれは違う――とオレは思わずリースの見解に反論しそうになるのを堪える。

「お姉ちゃんも、スノっちはおっぱい大きいからそういえるんだよ! おっぱいが大きくなるなら、肩がこったり、動き辛くなるぐらい望む所だよ!」

スノー&リースは頬を酒精で仄かに赤くしながら、ルナを諭すが本人にはあまり届かなかったらしい。

ルナの魂から訴える言葉に、皆が一斉に笑い出す。

部屋を照らす 魔術光(まじゅつこう) が、幸せそうに笑い合う皆の顔を照らし出す。

(ああ、これが幸せなんだろうな……)

体温、気温とはまた違う温かな空気が皆の心まで包み込む。

そんな雰囲気が永遠に続けばいいのに――そう思わせる力強さがある。

そしてパーティーは注ぎ込まれる酒精と共に進んでいく。

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そしてパーティーは進みすぎた。

「リュートくん、リュートくん、スノーね、リュートくん、大しゅきなの!」

「はいはい、僕もスノーのことが大好きだよ」

「おにい、ちゃんの首筋、とってもキレイ……美味しそう」

「怖い、怖いよクリス! 本気で首筋に歯を立てないで!」

「リュートしゃん、なんだかお部屋あちゅくないでしゅか? あちゅいでしゅよね。ちょっと脱ぎましゅね」

「リース! 部屋だからって上着を脱ごうとしないで!」

皆、酒精を飲み過ぎて酔っぱらってしまった。

ソファーに座ったオレの右手にスノー、膝の上にクリス、左手はリースに押さえられていた。

スノーは酔っぱらうと頬を赤くして『大好き』『愛している』と笑顔で告げてくる。可愛い。

クリスは膝に座りオレの首筋を愛しげに舐めたり、軽く歯を立てたりしてくる。耳まで赤くなり、いつもの幼い顔つきが色っぽくなる。

リースは普段、羞恥心が高く肌の露出を嫌う癖に酔っぱらうと脱ぎ魔になるらしい。今もソファーに座りながらすでに上着を一枚脱いでいる。お陰で上は薄着になり、オレの左腕は彼女の大きすぎる胸の感触を味わうことが出来る。

しかしリースはさらに脱ごうとするので、必死に止める必要があった。

他にもルナは――

「う~ん、もうにょめないよぉ~」と可愛らしく酔いつぶれ、机に突っ伏している。

メイヤの場合は――

「ひっ、ぐす……ひっく……」

泣いていた。

泣き上戸なのか?

「ごめんなさい。わたくしが美し過ぎて、リュート様の次に魔術道具開発の天才で、実家は貴族、良家の血筋で、魔術師としての才も持ち、民衆から愛される優れた女性だから王子が執着するのですわね。ごめんなさい、リュート様! わたくしがあまりに優秀過ぎるせいで、リュート様の妻になるのが遅れてごめんなさい!」

いや、これ泣き上戸じゃなくね?

なんて言えばいいんだろ……己惚れ上戸?

シアはそんなメイヤの杯に酒精を注ぐ。

「おい、シア! もうメイヤに飲ませるなって!」

「ご安心を若様。酔っぱらいのあしらい方、後処理、二日酔いの処方まで護衛メイドとして全て習得していますから」

そんな問題じゃねぇよ。

でも、そんな技能までメイドさんは習得しているのかよ……。

「リュートくん、色々落ち着いたらいっぱい子供作ろうね。いっぱいって何人だろ? 100人ぐらい?」

「お兄ちゃんの、血は綺麗、だから。綺麗な、うえに美味しい……ふふふ」

「リュートしゃん、熱いでしゅ、もう全部にゅいでもいいでしゅよね?」

「スノー、100人はいくら何でも産めないだろ。クリス、本気で怖いから首筋に歯を立てるの止めてくれ。だからと言って耳を舐めるな! 噛むな! リースは許可取る以前に脱ごうとするな! しかもオレの手を股で挟んで太股をモジモジさせるな! なんで酒精を飲んでいないのにさらに顔が赤くなるんだよ!?」

スノーのアホの子は加速し、クリスはちょっと怖いけど色っぽい、普段お淑やかなリースは兎に角服を脱ぎたがる。

この子達には外で絶対に酒精を飲ませないようにしようと、オレは固く心の中で誓った。