軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第101話 リースさんの初めての家事・後編

洗った洗濯物も地面に落とさず、リースは干し切ることが出来た。

これで午前中で、ほぼ家事を終わらせたことになる。

そんなリースは現在、オレと一緒に昼食を作っていた。

朝、スノー&クリスに作ってもらったため、昼はオレ&リースが作ると名乗りを上げたのだ。

メニューは魚介類のパスタ、サラダに野菜スープ。

オレは先程、買ってきた魚介類&エビなどを適当に切って、オリーブオイルっぽい油で炒める。同時に魚介類と野菜で出汁を取ったスープを作る。

リースはオレの側でレタスに似た野菜を手で千切っていた。

これなら包丁で指を切るというベタなドジっ娘イベントもおきないだろう。

実際、切っても治癒魔術ですぐに治るんだけどね。

「しかし蓋を開けてみたら、リースも問題なく家事出来たじゃないか」

「はい、最初に心配していたのが嘘みたいでした」

それに――と彼女が皿に千切った野菜を盛りつけながら、

「リュートさんのお嫁さんらしいことが出来て本当に嬉しいです」

リースがはにかみながら微笑む。

その笑顔は本当に可愛いらしい。

オレもこんな可愛らしくて、健気なお嫁さんが貰えて本当によかったよ。

オレは沸騰しかけた鍋を火から下ろす。

味を一口確認。

「うん、ちょっと塩気が足せば問題ないな。リース、この鍋に塩をひとつまみ入れておいてくれ」

「分かりました」

オレは最後の味付けをリースに任せる。

そろそろパスタを入れた鍋が頃合いだからだ。

オレはぐだぐだに茹であがったパスタは絶対に認めない。

――だが、最後の最後。『味付けの調整ぐらいリースに任せて大丈夫だろう』というオレの不注意が不幸を呼び寄せてしまう。

「ご飯できたぞー」

リビングにいるスノーとクリスに声をかける。

2人は仲良くハイエルフ王国で買ったエノール限定品のハイエルフリバーシで遊んでいた。

君たち本当に好きね。

戦況はやはりスノーが有利。

だが、前に比べるとクリスは善戦しているようだ。

「わぁ、美味しそう!」

「お、いし、そうです」

テーブルには短いショートパスタが混ざった魚介類のパスタ。

リースが手で千切って作った簡単サラダ。

魚介と野菜で出汁を取ったスープが並ぶ。

「おかわりもあるから遠慮なく食べてくれ。それじゃいただきます」

『いただきます』と皆が、オレのマネをして手を合わせると、木製のフォークをそれぞれ伸ばす。

うん、パスタの茹で加減はちょうどいい。

さすがオレ。

「リュートくん、このパスタ美味しいよ」

「魚、さんの味、いっぱい」

「リュートさんの私達に対する愛情が一杯入っているのを感じます」

最後のリースの台詞に口元がにやける。

もちろん鍋どころか、家から溢れて洪水になるぐらい嫁達に対する愛情を注いで作ったに決まってるじゃないか!

オレ達は皆、ニヤニヤと照れ笑いしながら、模写したようにスープにスプーンを伸ばした。

「ぶぐっふぅッ!?」

オレは音を立て全力でスープを噴き出す。

スノー達も噴き出すことはなかったが、口を押さえるほどの衝撃を受けている。

「しょ、しょっぱ! なんだこれ! 海水!? ぐあぁあッ、しょっぱすぎて喉が焼ける!」

「り、りゅーひょくん、これ何したの……ッ。みじゅ~ッ」

「~~~~~~~」

スノーは耐えきれず、水差しに手を伸ばす。

クリスも口元を抑えて空のコップで催促する。

オレ&リースにも冷たい水がコップに注がれ差し出される。

皆、一気に飲み干した。

全員で飲みきってしまったため、スノーが魔術で補充する。

その水もすぐに飲みきる。

落ち着いたところで兵器のようなスープを改めて見つめた。

「り、リュートくん一体、何が憎くてこんなにしょっぱい、海水みたいなスープを作ったの?」

「別に何も憎んでないよ。おかしいな。味見した時は少し、塩っ気が足りなかったぐらいなんだけど……だから、リースにひとつまみ塩を……」

手順を思い出し、原因を探っていると言葉が詰まる。

皆の視線がリースに注がれた。

彼女は引きつった顔をしている。

「……リースさん、さっき鍋にどれぐらいの塩を入れたんだ?」

「あ、あの私も可笑しいとは思ったんですが……リュートさんに塩を『ひと掴み』と言われて……」

『ひとつまみ』ではなく、『ひと掴み』!?

そりゃ海水みたいにしょっぱくなるよ!

自分の失敗に気付き、リースはテーブルに額が付くほど頭を下げる。

「ご、ごめんなさい! 私の勘違いで食材を無駄にしただけじゃなくて、皆さんにご迷惑をかけて! 本当にごめんなさい!」

「いや、リースが悪い訳じゃないよ。最後に確認をしなかったオレも悪いんだから」

パスタの茹で加減に気を取られているだけじゃなく、最後に確認を怠ったオレにも責任はある。

しかしリースの顔色は晴れない。

「ごめんなさい……最初に家事が上手く言っていたので油断して……こんなドジをするなんて」

「リース」

オレは彼女のすぐ側に寄り添い、その手に自身の重ねる。

「いいじゃないか、失敗しても。少しずつ上手くなっていけばいいんだから」

「で、でも私はリュートさんの奥さんなのに、スノーさんやクリスさん達と違って足を引っ張ってばかりで……」

「いいんだよ、引っ張っても。だってオレ達は4人揃って夫婦じゃないか。夫婦は家族で、助け合って行くもんだろ? だから失敗してもいいんだよ」

「リュートさん……」

「そうそう、リュートくんの言う通りだよ。わたし達は夫婦なんだから、皆で支え合っていこう。今度、わたしの得意な簡単に作れるスープも教えてあげるよ」

「私、も、まだ料理、得意じゃないから。一緒、に勉強、しましょう」

「スノーさん、クリスさん……ッ」

オレだけじゃなく、スノー、クリスもリースの側に寄りそう。

彼女は浮かんだ涙を拭い、曇った表情から一転、晴天のような笑顔を浮かべる。

「はい! 私達、一緒にずっと支え合って生きていきましょう」

小さな前進だが、リースの花嫁修業はこうして幕を開けた。

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その日の夜。

妻達が一緒にお風呂に入った後、オレは遅れて体を洗う。

風呂から上がり向かった先は、夫婦の寝室だ。

部屋に入ると魔術明かり、蝋燭の火も消され真っ暗だった。

目が暗闇に慣れると、そこには……

「リュートさん、お、お待ちしてました」

リースがいつの間にか買ってきていたのか、フリフリでふわふわのレースがふんだんに使われているエプロンを裸で着ていた。

思った通りリースにはお菓子のような甘いフリルのエプロンが似合う。

身長が低い割りに胸が大きく、フリルのエプロンを押し上げる。それが恥ずかしいのか両手をクロスして下を抑える。結果、胸が両側から挟まり圧迫され、さらに強調されてしまう。

新雪より白い肌が、羞恥心から暗闇でも分かるほど火照り赤くなっている。

その姿は堪らなく嗜虐心をそそる。

また似たデザインの色違いをスノー、クリスも身に付け天蓋付きベッドで3人が待っていた。

「は、初めてで怖かったので……その、お2人にも同席してもらおうと思って……駄目でしたか?」

「い、いや! そんなことないよ!」

「よかったです……」

リースはオレの同意を聞いて心底安堵した表情を浮かべる。

そして、真っ白なシーツの上、正座して三つ指を付き深々と頭を下げる。

「初めてで拙いとは思いますが、宜しくお願いします」

「オレの方こそ……痛かったら、すぐに言うんだぞ。無理はしなくていいから」

「はい、ありがとうございます。あなた」

彼女は顔をあげニッコリと照れ臭そうに笑う。

そんな彼女にオレは唇を重ねた。

「んぅ……」

そのままベッドへと押し倒す。

両手はスノー、クリスが握り締めている。

怖いのか微かに震えていた。

オレとリースは、スノーとクリスが見守る中体を重ねる。

180年生きて初めての行為。

夜は更けていく。