軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第68話 お引越し

「よっこいしょと。これで全部だな」

「おう、お疲れさん。意外と早く済んだな」

新たな拠点が見つかった翌日、俺達は引っ越しの作業に勤しんでいた。

とりあえず大きな家具は後回しにして、まずは衣服などの身の回りの物や小さな家電。趣味の私物。個室に持っていきたいそれらをレンタカーで順番に運び込む。

各部屋にベッドはあるからな。とりあえず運べる物を持ってくるだけで普通に暮らせるのは助かる。

最悪丸一日かかるかもと思ったが、正午を過ぎたあたりで全員の家を周り、荷物を運びこむことが出来た。

「荷物が多くてすみません。だけど助かりました」

「ありがとうございまーすっ!」

七海姉妹は揃ってお礼を言う。

それに、川辺は軽く笑って答えた。

「気にしなくていいぞ。そんなに重くなかったしな」

流石女の子と言うべきか、服関係の荷物は確かに多かった。俺らは服なんか季節ごとに数セットずつあるだけだからな。服だけでどれだけ持ってるんだと逆に感心する。

まぁ、荷物の総量で言えば俺らも負けてないけどな。

「皆さんもその……凄い量ですね」

「わぁー! これ全部漫画とかゲームですか? 凄いですねー! 逆に服は少ないですねー……」

服を纏めた段ボールの数倍の数はある私物に、二人は呆れと感心混じりの声を漏らす。

ふっ、オタクならこれくらい当然の嗜みよ。むしろ本物に比べれば、俺らはまだ少ないほうだ。

「ゲームもあるけど、大体漫画とかラノベとかだな。押し入れに仕舞っている本も全て持ってきた」

「ああっ、そういうことですかー! 明らかに部屋に在った量より多いと思ってました!」

ウチに遊びに来てた時、チヨちゃんはちょくちょく俺の漫画読んでたからな。そりゃ気づくか。

「それが三人分ともなると、凄い量ですね……」

「ふっ、まぁな。最近は増えすぎて処分しようかと迷っていたんだが」

「やはりオタクとして、コレクションを処分するのは躊躇いがあってね。こうして本を置ける場所に引っ越せて助かったよ」

川辺と伊波はしみじみと頷く。だけど七緒ちゃんは決して褒めてるわけではないぞ。呆れてるんだ。

まぁでも、それは本当に嬉しい誤算だよな。

どれも名作だと自信を持って言えるものばかりだから、なおさら捨てられなくてな。どんどん溜まる一方だったんだ。

とはいえこうして改めて見ると、本当によくこの量を短時間で運べたもんだ。

「今日ほどステータスが上がって良かったと実感した日はないかもしれないな。特に川辺が居なかったらもっと大変だった」

「まぁな。お前は碌に役に立たなかったしな」

「ほとんど僕と川辺で運んだような物だぞ」

うるさいな。レンタカーの手配とかそもそも拠点の入手で貢献しとるやろがい!

「これを全部部屋に運ぶとなると、また大変ですね」

「……七緒ちゃん。それなんですが」

「え? なんです? そんな怖い顔して」

ここは真剣勝負。どれだけ俺達の覚悟が伝わるかが大事だ。

小さく汗を流す七緒ちゃんに、俺達はしっかりと頭を下げた。

「ここに在る漫画やラノベ、円盤、ゲーム各種はどうかこのリビングに」

「ちょっとした漫画喫茶風にしたいと思ってまして」

「三人分あればジャンルも様々。お二人も存分に楽しめるかと」

「えっ!? ここに置くんですか!? こんなにお洒落な良い雰囲気のリビングに!?」

「私は良いですよ~! むしろ好きな時に見れて嬉しいですっ!」

チヨちゃんには意外と受けがいい。この子はなんだかんだ俺らの趣味に付き合ってくれるからな。

やはり七緒ちゃんがネックか。まぁインテリアにこだわりのある女子なら無理もない。正直提案しておいてなんだが、俺も暴挙だと思う。

しかし、七緒様は疲れたように溜息をしながらも、太っ腹な所を見せてくださった。

「楓太さんの家みたいなものですし、私に文句は言えませんから別にいいんですが……本やゲームをしまう棚とか、おねだりしてもいいですか?」

「いいよいいよ! 全然いいよ! 経費で落とします!」

小さく両手を合わせてお願いされたら、そりゃ許しますわ。可愛い。

まぁそういう家具まで経費で落とせるかは分からんけど、なんだったらポケットマネーで買ってあげるよ。俺らの漫画を置かせてもらえる訳だし。

――ピンポーン。

昼もだいぶ過ぎたし、そろそろご飯にしよう。

そう話し合い、出前でも取ろうかとなっていた時、チャイムが鳴った。

「あん? なんだ?」

「この拠点に来客? 小畑会の人でも来たかな?」

「ああ〜、いや、心当たりあるわ。川辺と伊波は来てくれ。そのまま二人はピザを頼んどいて。好きなのでいいよ」

「はーい! ピーちゃんとマルはどれが良い?」

「川辺さんはいっぱい食べるわよね。ピーちゃん達も食べるなら、Lサイズ3枚くらい頼んだ方がいいかしら? いえ、それでも足りないか……」

そいつらも食うんかい。人の食べ物なんて贅沢な。

でもダメだって言ったらぶっ殺されそうだな。マルなんか結構食い意地張ってるし。

♦ ♦

「おお、これはまたなんとも立派な」

「ここまで大きいと釜とか鍋には見えねぇな」

伊波と川辺が、感心した声を上げてそれを見ている。

来客だと思った相手は宅配の人だった。

届けられた物をアトリエまで運ばせ、三人がかりでその包みを解く。

そうして出てきたのは、超巨大な〈錬金窯〉。昨日のうちに注文した拠点用の物だった。

「〈錬金窯〉っていうか、五右衛門風呂みてぇだな。足場を作らないと使えねぇじゃんこれ」

「子供が落ちたら確実に溺れる。なんだったら僕達でも溺れる」

「怖いこと言うなよ。いやでも気をつけないとな」

釜で溺死、なんて恥ずかし過ぎて死のうにも死にきれない。

「しかし拠点を手に入れた翌日に、よくこんな物を用意できたね?」

「いや、正直俺も驚いてる。実は昨日ネットで注文したんだけど、そのすぐ後に協会から電話があってさ――」

♦ ♦

『お世話になっております。私、探索者協会渋谷支部職員の○○ですが。こちら小畑様のお電話でお間違いありませんか?』

『あっ。ああ、受付の。お世話になっております、小畑です。しかし急に電話なんてどうしたんですか? もしかして俺、何かやってしまいましたか?』

『いえいえ、とんでも御座いません! いつも小畑様には渋谷支部職員一同大変感謝しております。今回突然のご連絡をさせて頂きましたのはですね、先ほど確認したのですが、拠点用の〈錬金釜〉を御注文して頂きましたよね? それも最大サイズの物を』

『あ、はい。先ほど注文しましたね。……もしかして、手配するのは時間がかかるとかそういう?』

『いえいえとんでも御座いません! 只今偶然! 丁度! 在庫がありまして! 小畑様が望むなら明日にでも届けられるよう手配致しますが、如何でしょう? もちろん別途費用がかかることもございませんので』

『明日!? いや、それならありがたいのでお願いしたいですけど、良いんですか?』

『ええ、もちろんです。お気になさらず。ただ~、ですね。あれを使うなら大量にポーションを作れるようになりますよね?』

『まぁそうですね。……あ。ああ、なるほど。そういう』

『ご察しして頂けたようで大変恐縮なのですが、出来れば渋谷支部にもいくらか下ろしてくれると助かるなと思いまして。定期的に買わせていただければなおさら』

『……お世話になっている人達に回して、余っていた分でよければ』

『もちろんそれで構いません! ありがとうございますぅ! 今後ともよろしくお願いしますぅ!』

♦ ♦

「とまあこんな感じの話をしたわ。電話越しにでも分かるほど嬉しそうだったよ」

「ああ〜。なるほど、納得したわ」

「協会も必死だね。楓太の為というより、渋谷支部の利益の為にいち早く動いた感がある」

たぶん、というか間違いなくそうだよな。まぁ俺も助かるから良いんだけどさ。

改めて〈錬金窯〉をしげしげと見つめ、川辺は呆れ混じりの声で呟く。

「しかしこの大きさならアホほどポーションを作れそうだよな。何十――じゃ足らねぇか。何百リットル作れるんだ?」

「確かに。むしろそれだけの量を作る材料集めの方が大変そうだね。――ん? いや、待て。こんな大量製造出来る道具があってなんでポーション不足になる?」

「それなんだけどな。この〈錬金窯〉、どうやら使える〈錬金術師〉が居ないらしい」

「ん? 使える者が居ないとは?」

「単純に魔力が足りないらしいぞ。なんでも一度、腕の立つ〈錬金術師〉に大量生産を頼んだことがあるらしい。だけど途中で魔力が足らずに失敗して、大量に集めた素材まで無駄になったみたいだ」

「そりゃまた凄いな。そんなに難易度が高いのか」

ほぇ~と間抜けな声を漏らし、川辺はまた〈錬金窯〉に目を戻した。

だが、俺は違うと思う。

「たぶんだけど、単純にレべルが低いからMPも低いんじゃないかな」

「ああ、そういうことか。ということは、逆に楓太なら可能だという事かい?」

「俺はそう思ってる。なんだったら魔力ポーションを使えばいいしな」

だいぶ力技にはなるが、それなら確実に出来ると思う。

俺の胃袋がはち切れたりしないか、という問題はありそうだが。

「べつにこの〈錬金窯〉いっぱいに作るんじゃなくて、相応の量でやってもいいらしいんだけどな。それなら最初からコレを使わなければいいだけだろ? それに時間の短縮にはなるけど、一度に素材を集めるのも大変だし、失敗して無駄になったらそれこそ意味がない。で、そのまま倉庫で埃を被っていた、ということらしいぞ」

「ほーん。じゃあ結局そこまで意味がないということか?」

「楓太の場合はホムンクルスの作成もあるから必要だけど……」

「いや、それもさ。【生産量増加】と【必要素材量削減】スキルがあれば話が変わって来るんだよ。そのスキルのレベルが上がれば、少ない材料で済む上に、作れる量が増える訳だから、むしろこれで作ると更にお得になる訳で。だから協会の人も最初は期待したらしいんだ。でも、実際これを使いこなすにはレベルが高くないとだめだから、使いたくても使えないという状況になって……」

俺が買うまで不良在庫になっていたということだ。

俺の場合【必要素材量削減】はまだ覚えていないけど、【生産量増加】は持っているから、それだけでこいつを使ってポーションを作る意味が出てくる。

これを使っているうちにこの二つのスキルも覚えてレベルも上がるだろうし、むしろ使わない理由がないんだよな。

問題があるとすれば、それらに成長が取られて肝心の【人工生命体創造】に影響が出たらどうしようってことだが。まぁそれもレベルを上げれば解決するだろう。

「なんだそれは。楓太に風が吹いているじゃないか。ここまでくるとなんだかズルい」

「なんというか、環境がお前を後押ししている感があるな?」

「正直否定できないな」

レベリングを可能とする生産職がどれだけ強いか良く分かるよな。だからこそ、小畑会でレベル情報は独占しなければという想いが益々強くなった。

ここまで恵まれていると、なんだか申し訳ない気がしてくる――が、それはそれとしてこのビッグウェーブには乗らせてもらうけどなぁ!

「お前、今は環境で強キャラになっているだけだからな。インフレして環境が変わればティアー落ちは確実だから、あんまり調子に乗るなよ」

「分かってるわいちいちうるせぇな! 意地でもこの環境を変えないでいてやるわ!」

「うむ。その後ろ向きの覚悟が大事だ」

世界が停滞しようが知ったことか! 一度手に入れた利権は死んでも手放さないのが大人のやり方よ! ぐはははは!

♦ ♦

「さて。そろそろ大事なことを決めようか」

届いたピザに舌鼓を打ちつつ、俺はそう切り出した。

ピーちゃんとマルにピザを取ってやりつつ、チヨちゃんが尋ねる。

「大事なことってなんです? 探索のことですか」

「いや。ある意味それ以上に大事な問題。この拠点生活の当番についてだ」

「ああー。確かにそれは大事だな」

「共同生活である以上、ルールは決めないとね。でないと他人に任せっぱなしの怠け者が出たり、真面目な人が損をする羽目になる」

うむ。まさしく伊波の言う通り。人によって感覚も違うからこそ、当番制でルール化する。大事だね。

共同生活で不公平が生じると、不和を招きかねない。最悪パーティーが解散する可能性もある。ここまで一緒にやってきたんだから、どうせならこのまま仲良くやっていきたい。

「とりあえず掃除だけど、これは共同スペースを区分けして、順番にでいいよね?」

「ええ。それで問題ないと思います」

「どうしても無理な時はお願いして変わってもらいましょー」

「あと、私室ついては周りに迷惑が出ない限り自由ってことにしようぜ」

「確かに。プライベートルームの散らかり具合まで指摘されるのは嫌だね」

あるある。俺も実家に居た時は親がいちいちウザかった。

綺麗な方が良いってのは皆分かってるんだけど、許容できる範囲は人それぞれ違うからな。そこまで突っ込まれるのは地味にストレスだ。

清掃に関しては特に反対意見もなく、それで通った。まぁここは特に問題ないよな。

むしろ大事なのはここから先――!

「で、食事に関して何だけど。これはどうしようか? 当番で決めるか、自由にするか。あるいは自由度高く決めるかといろいろあるけど」

ここは本当に悩むところだよな。毎日作るのも大変だし、料理の腕もそれぞれ違うし。なんだったら気分で外食したいときもあるし。

共同生活なら金出しあって自炊、当番制がやはり妥当だとは思うが……。

何時間でも話し合う覚悟で臨む所存。と思っていたのだが、それなんですが――と、七緒ちゃんが遠慮がちに続けた。

「食事に関してなんですが、私とチヨに任せてもらえませんか?」

「え? 二人で毎日三食作ってくれるってこと?」

「はーい! 任せてくださーい!」

「どうしても無理な時は流石にお願いするか、外で食べるかなりしてもらえると助かります」

思わず聞き返してしまったが、チヨちゃんも七緒ちゃんも嫌がるどころか、嬉しそうにそう返してくれる。

男三人は、困惑して顔を見合わせてしまった。

いや、正直言うとめちゃくちゃありがたい。しょっちゅうこの子達には料理を作ってもらってるし、その腕前は既に知っている。毎日でも食べられる美味しさだ。というか食べたい。

自分で料理する必要もないし、楽も出来て美味しい物が食べられて、良いことしかないんだけど……あまりに都合が良すぎないか?

「えっと、それはありがたいんだけど……」

「流石に申し訳なくないか?」

「うん。僕らもやれない訳じゃないし、そこまで負担をかける訳には」

「気にしないでください! 料理好きなので!」

「ええ、チヨの言う通りです。家賃なしでこんな良い所に住まわせて貰えるのだから、これくらいはしないと。遠慮なく任せてください」

二人はこれっぽっちも嫌な顔を見せずにそう言いきった。

反対に、川辺と伊波の顔がすげぇ気まずそうになってる。

立場的には一緒だからなこいつら……というか、俺も結構罪悪感のようなものが。

「それに男の人の料理は味付けが大味ですし、その、太りやすいので。出来れば私達で作りたいです」

「あっ、そういうことね」

こっちが本音か。それじゃあ仕方ないわ。むしろそれなら任せないと駄目だわ。

ほっと息を吐きつつ、図々しくも川辺が続けた。

「どうしても食べたいものがある場合はどうすればいい?」

「言ってくれれば作りますよ。むしろ毎日献立を考えるのは大変なので、リクエストをしてくれると助かりますね。油物が続くのは流石に断りますが」

「ふむ、なるほど。どうしても外食がしたい、となった場合は? あと、一人で出かける用事が出来た時とか」

「出来れば作り始める前に連絡をください。間に合わなかった場合は仕方ないのでとりあえず冷蔵庫に仕舞いますが」

それなら問題ない。この子達の料理は本当に美味しいからな。次の日の朝に食べればいい。

「それじゃあ冷蔵庫に張り付くホワイトボードでも買おうか。そこに食べたい物とか書けるように」

「ああ、いいですね。それなら分かりやすいです」

「予定とかも書いてくれるとわざわざ声かけずに済みそうですねっ。なんだか楽しそうですっ」

分かる。俺もちょっと楽しそうって思ってる。

こう、口で言わずとも伝わる感じが面白い。あと家の中なのに仕事っぽい感じが。

仕事だと面倒なだけなのに、同じことを違う所でやるとそう感じるのはなぜなのか……。

「じゃあせめて洗濯は俺らがやるか」

「うむ。一番面倒な料理を担当してくれるなら、それくらいはやらないとね」

うん、そうだな。それくらいはやるべきだ。

「あの、ごめんなさい。洗濯も私達に任せてもらえませんか?」

「その、下着があるので……」

「そうだよねっ! ごめんね気が利かなくて!」

顔を赤くする二人にこっちが申し訳なるわ。

しかし、炊事洗濯と面倒な部分全部やってくれるのか……。

「もうこれ完全に七緒ママじゃん」

「七緒マム」

「七緒ママン」

「やめなさい」

「私はいいですよ~」

いや、チヨちゃんは止めなさい。深みに嵌ってしまうから。

年下のお母さんに甘えるなんてっ! そんな悪魔みたいな誘惑をしてくれるなっ!

「せめてゴミ出し! あと買い出しは俺らが!」

「そうですね。ゴミ出しはやってくれたら助かります。でも食材は目利きもあるし自分で選びたいような……荷物持ちは手伝ってくれます?」

「もちろんやるよ! いつでも頼んで!」

「お買い物デートですね~。楽しみにしてますねっ」

「楓太。お前ナチュラルに狙われてるぞ」

「とうとう隠しもしなくなってきたか。恐ろしい姉妹だ……」

たかが雑用に何言ってんだこのアホ共。なんでもかんでもそうやって結びつけてんじゃないよ。

しかしこれでも明らかに俺達が楽をしているな。ちょっと二人に申し訳ない。

「食洗器とかの家電はすぐに用意するから。あといつか人のホムンクルスが作れるようになったら、家事を手伝わせるからね」

「手厚すぎるサポートだとは思いますが、でもそれが出来たらありがたいですね」

「わーいっ! 楽しみに待ってますねー!」

「言うてそいつ自分では一切何もする気がないぞ」

「真っ先に出てくる選択が金で解決とホムンクルスとか、本当に救いようがない」

お前らに言われたかねぇよ!

何だったら俺以上に何もしねぇだろ!

「しかし時間かかると思ったけど、あっさり決まっちゃったな。特にやれることもないし、荷物を運んで明日に備えようか」

「待て。やることならあるぞ。というかお前がもっと早くすべきだったことが」

「えっ? なんだよ、これ以上忘れていることなんかないと思うけど」

この俺がそんな致命的なミスをするわけがない。

自信を持って言ったら、急に川辺はマジな顔で訴えてきた。

「ステータスだよ! いい加減俺らにも教えろ!」

「その通りだ! どこまで引っ張れば気が済むんだ!」

ああ、なるほど。そういえばそれがあったな……。