軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三百四十一話 ギルドマスターがやる気です

冒険者ギルドに入ると、すぐさま連絡が行ったのかギルドマスターが俺たちの前へと現れた。

「おう、来たか。んじゃ、2階へ」

「いや、それが……」

『おい、この後は狩りへ行くのだ。早く済ませろ』

『そうだぞ、狩りへ行くんだからな』

『狩りー』

「そういうわけなんで」

俺とギルドマスター、2人して当然だという顔をしているフェルとフェルの上で飛んでいるドラちゃんとフェルの上にちょこんと乗ったスイを見た。

ギルドマスターにはドラちゃんとスイの声は聞こえないものの、みんなが狩りに行きたいというのは伝わっているようだ。

「ハハッ、狩りか。それでうちもその恩恵に預かれるんだから早く済ませにゃならんな。よし、直接倉庫に行くぞ」

ギルドマスターと俺たちは連れ立って倉庫へと向かった。

「おう、ヨハン来たぜ」

そこで待ち受けていたのは当然ヨハンのおっさんだ。

「来たか、兄さん。オークジェネラルとリーダーの解体も終わって肉も用意できてるぜ」

俺は、オークジェネラルとオークリーダーの肉を受け取った。

ヨハンのおっさんは仕事が早くて助かるね。

とは言っても、ヨハンのおっさんはこの後もオークの解体だってボヤいてるけど。

俺が持ち込んだ一昨日から、他の解体担当の職員とともにオークの解体作業に勤しんでいるとのことだ。

オークはまだ手持ちの分がかなり残ってるからって、今回の分は上位種を除いて全部買い取ってもらっちゃったからねぇ。

大変かもしれないけどがんばってください。

「買取代金の内訳だが、オークは肉と睾丸で1匹金貨2枚に銀貨2枚だな。それが136匹で金貨299枚と銀貨2枚。オークリーダーとオークジェネラルは睾丸のみだが、今ちょうどオークの上位種の睾丸の需要が高まっていてな、少し高めの買取になってオークリーダーが金貨11枚でオークジェネラルが金貨12枚だ。〆て金貨322枚と銀貨2枚」

ヨハンのおっさんが作業台の上に麻袋を置いた。

「今回は大金貨で用意させてもらったぜ。中に大金貨32枚と金貨2枚と銀貨2枚入ってる。確認してくれよ」

中身を確認していく。

1、2、3…………、うん間違いないね。

「大丈夫です」

「よし、次は討伐報酬だが、急な依頼だったこともあるからな、少し色を付けて金貨200枚だ。こっちも大金貨で用意しておいたから確認してくれ」

ギルドマスターから受け取った麻袋の中を確認すると大金貨20枚が入っていた。

「はい、間違いなく」

買取代金の入った麻袋と討伐報酬が入った麻袋をアイテムボックスにしまうと、見計らったようにヨハンのおっさんが声をかけてきた。

「よう兄さん、そんで珍しいもんは獲れたかい?」

「まぁ、少しは。……あ、買取してもらっても大丈夫ですか?」

この間の狩で、フェルたちが獲ってきたギガントミミックカメレオンとガルーダ。

あれどう見ても食えそうにないし、アイテムボックスの肥やしにしておくよりは売った方がいいな。

「ま、見てからだな。お前の持ってくるもんはいいもんではあるが、オルトロスだのキマイラだの 地竜(アースドラゴン) だの突拍子もないもんもあるからなぁ。うちみたいな規模のギルドじゃなかなか手が出せないもんまで平気で出しやがるんだから」

そう言ったのはギルドマスターだ。

突拍子もないもんって言われてもねぇ。

フェルたちが獲ってきちゃうんだからしょうがないんですよ。

「そう言われると、出し難いんですけど、これもSランクなんで……」

「ったく、Sランクか。とりあえず出してみろ」

「えーっと、それじゃあ……」

倉庫の中の開いている場所に、アイテムボックスからギガントミミックカメレオンとガルーダを出した。

………………。

「「ブーーーッ」」

ヨハンのおっさんとギルドマスターが噴いた。

汚ねっ。

「こ、こりゃギガントミミックカメレオンか?」

「こっちはガルーダっすね。俺、初めて実物見ましたよ。兄さんに会ってから、本でしか見たことのない魔物の実物をよく見るようになったわ。ハハハッ」

ヨハンのおっさん、そんな乾いた笑い声出さないでよ。

珍しいもん獲れたかって聞いてきたのヨハンのおっさんじゃないか。

ギルドマスターもそんな驚かないでよー。

最初にSランクだって言ったじゃん。

「それで、買取の方は……」

「うん、無理だな」

そうだと思ったよ。

「ま、もう少しすればギガントミミックカメレオンならなんとかいけるかもしれんが、何せこの間キマイラを買取したばっかりだからなぁ。残念ではあるが」

ギルドマスターの話では、そのキマイラの素材の代金が入ればなんとかなりそうだけど、今のところは無理のようだ。

このギガントミミックカメレオン、肉は食用には向かないがそれ以外の皮から内臓から舌や血まで素材になるとのこと。

しかも、普段は森の奥深くにいて擬態しているから見つけること自体が困難らしく、市場に出れば高値が付くことは間違いなしとのことで、買取できないことをギルドマスターも残念がっていた。

「ま、今回は見送りってことで。他に売る予定がなかったら、また声かけてくれや」

「はい」

ガルーダは、ギルドマスター曰く「これの買取をしてもらうんなら王都かダンジョン都市のギルドにでも行かないとな」とのこと。

これもしばらくはアイテムボックスで塩漬けだな。

「そうだ、ギルドマスターちょっといいですか?」

「何だ?」

「ええと、例の……」

俺がギルドマスターの頭を見ると、ピンときたようだ。

「おお、あれかっ」

「はい。ランベルト商会で売り出すことになりましたので。それで、実は……」

伯爵様の紹介がないと買えないことやギルドマスターだけは買えるように話をつけてあることなどを話した。

「はぁ、そうなったか。しかし、金貨50枚か。まぁ、この効果じゃその金額でも安いくらいか。こりゃ休みの日にがんばるしかないな」

「休みの日にがんばるって、何か副業でもされるんですか?」

「副業っつうか、まぁ冒険者稼業にちょっとばかし戻るってこったな」

ギルドマスターが言うには、冒険者を引退しても、特に高ランクの冒険者の籍はそのままにしていることも多く、急に金が必要になったときなどに魔物を狩って換金するなんてことも間々あることらしい。

「儂も元はAランクだからな」

ギルドマスターがそう言ってニヤリと笑った。

そういうことなら大丈夫でしょう。

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「それじゃ、これで。フェルたちがヤキモキしてるんで」

「おう、これから狩りだったな。気を付けて行けよ。ってお前らなら、大丈夫だろうがな」

冒険者ギルドから出ると、フェルとドラちゃんが『遅い』と文句を言ってくる。

「ごめんごめん」

『まったく、あれほど早くするのだぞと言ったのに。お前という奴は』

『フェルの言うとおりだぜ。スイなんて寝ちまってんじゃん』

ドラちゃんの言うとおり、スイはいつの間にか革鞄で寝ていた。

「ごめんって。でも、そんな言うほど時間経ってないだろ。まだ狩りの時間だって十分あるよ。早く行こ」

『フンッ、乗れ』

「ハイハイ」

俺を背に載せたフェルは早歩きで門へと進んでいった。