軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三百十六話 靴と服

「こんにちは、ランベルトさん」

14人を連れてまず訪れたのは、ランベルトさんの店だ。

「おお、ムコーダさんじゃないですか。おや、早速奴隷を購入されたんですね」

「はい、その節はありがとうございました。今はいろいろあるのに、こんな大人数で押しかけて申し訳ありません」

ランベルトさんの店の周りを嗅ぎまわっている奴らがいるのもあってどうしようかと思ったんだけど、やっぱり靴を買うならランベルトさんの店でって思ったんだ。

「いやいや。ちゃんと戦闘のできる奴隷も買われたようですな。なかなか腕の立ちそうな奴隷ではないですか」

「はい。ランベルトさんの紹介状もありましたので、元冒険者のいい奴隷を紹介していただけました」

何せタバサとバルテルは元Bランクだし、アホの双子もアホとはいえ元Cランク、ペーターも元Dランクだけど有望株だったしな。

「それは良かった。件の輩もムコーダさんのことを察知したようなので、ここでこの奴隷たちを見せ付けるのもありだと思いますよ。戦闘のできる奴隷がいるとなれば、あちらも慎重にならざるを得ませんからな」

確かに。

それが、タバサたちみたいな腕の立つ元冒険者ならなおさらだろう。

「それで、今日はどんなご用件で?」

「それなんですが、この14人に靴を新調しようかと思いまして」

うちで働いてもらうのにも、さすがにこれではね。

14人の靴を見て、ランベルトさんも「ああ」と納得している。

「確かにこれであの素晴らしい家に入られるのは躊躇しますな」

ということで、ランベルトさんにみんなの靴をみつくろってもらった。

「こちらはレッドボアの皮を加工して作ったものです。お値段は少し高くなりますが、水にも強く丈夫で長持ちしますよ。それにこの艶のある加工を施していますから見た目にも美しくどんな装いにも合います」

ランベルトさんが出してきたのはレッドボアの皮に艶のある加工をほどこした濃茶の紐の革靴だ。

見た目もいいし、なかなかいい感じ。

すぐにダメになるより少々高くても長持ちするならその方が断然いいな。

「それじゃこれでお願いします」

「はい。あと、元冒険者たちには、こちらのブーツはどうでしょうか? 先ほどと同じレッドボアの皮を使っていますが、つま先に鉄の板を仕込んであるので丈夫なのはもちろん、無手になってしまったときの攻撃にも使えます」

そう言ってランベルトさんがつま先部分を叩くと、コンコンと硬質な音が鳴った。

元冒険者5人もランベルトさんの説明に食い入るようにブーツを見ている。

確かに丈夫そうだな。

それに鉄板を仕込んでいるなら、これで蹴りを放ったらけっこうな攻撃力になりそうだ。

「こちらの元冒険者5人はこれでお願いします」

みんなのサイズを合わせてもらって購入した。

子どもたちの分はこれからのことも考えて少し大きめのものを選んだ。

靴などめったに買い替えるものではないらしく、みんな感謝しきりだった。

紐の革靴が1足金貨1枚と銀貨6枚、鉄板入りのブーツが1足金貨2枚と銀貨4枚。

14足合計金貨26枚と銀貨4枚。

俺とランベルトさんの 好(よしみ) で金貨26枚に負けてくれた。

ありがたや。

「ランベルトさん、石鹸やらシャンプーのことも彼らに任せることになると思いますので、よろしくお願いします」

「はい、分かりました」

ランベルトさんの話だと、卸すときはランベルトさんの店から馬車を出してうちまで取りに来てくれるそうだ。

件の輩に襲われたりしないか心配したけど、俺の家からランベルトさんの店までは街中ということもあり、人通りもそれなりにあることもあって、目撃者が多数出るような街中ではまず襲ってはこないだろうということだった。

「ランベルトさん、もし、何かあった場合は……」

ランベルトさんに、何かあった場合にはこの14人を匿ってほしいとお願いしたところ快く引き受けてくれた。

ランベルトさんには世話になりっぱなしだな。

今度心付けに何か渡しておこう。

「それではお世話になりました。あ、1つだけお聞きしたいんですが、服を買うのにおすすめの店ありますか?」

「それなら、ここをまっすぐ行った最初の角を左に曲がったところにあるマルタン服飾店が種類も豊富でおすすめですよ」

俺たちはランベルトさんの店を後にして、ランベルトさんおすすめのマルタン服飾店へと向かった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「それでしたら、やはりこれでしょうな」

店主が俺に見せたのはヴィクトリアンメイドというのか、足首まである黒のロングドレスに白のエプロンの組み合わせのメイド服だった。

ランベルトさんおすすめのマルタン服飾店は、ランベルトさんの言うとおり種類も豊富だった。

何でも店主は、俺も訪れたことがある紡績で有名なクレールの街の出身で、その伝手でいい服が手に入るとのことだ。

店に入り、すぐに対応しれくれた店主に、14人が奴隷でトニ一家とアルバン一家の女性陣には主に家のことをやってもらって男性陣には庭の手入れをやってもらうこと、そして元冒険者5人には警備を担当してもらうことを話してどんな服がいいかを相談してみた。

そして、女性陣に合う服として見せてくれたのが、さきほどのメイド服だった。

「お屋敷の奴隷でしたら、間違いなくこれでしょうな。格調高い見栄えに、黒のドレスは汚れも目立ちません。汚れてもこのエプロンを交換すればいいわけですし」

なるほど。

メイド服はメイド服でも実用的な仕様に納得だ。

女性陣にはこれを替え用も含めて1人3着。

エプロンはこまめに変えることを想定して6着購入した。

5歳のロッテちゃんには普通の服でもいいかなと思っていたんだけど、「ロッテもこれがいい!」という本人のたっての希望で同じメイド服を。

この店、種類もサイズも豊富で、何でか幼児用のメイド服もそろえることができた。

「男性陣にはやはりこれですね」

店主が男性陣にとすすめてきたのはオリーブ色のオーバーオールだ。

生地も厚くて丈夫そうだな。

植木職人でもあったトニに聞いてみると、仕事着はこれだったとのこと。

それなら、これがいいだろう。

オーバーオールを1人3着とシャツは汗もかくだろうから多めに6着購入した。

「元冒険者にはこれがいいでしょう」

店主が出したのは厚手の濃いグレーのズボンだ。

スティールスパイダーという魔物の糸を混ぜ込んで織った布で非常に丈夫だとのこと。

ナイフ程度の刃であれば防ぐそうだ。

しかも、通気性も抜群で冒険者にも人気の品とのこと。

あれ、これ俺も欲しいかも。

ちょっと高めではあるが、この5人にはいざというときには体を張って守ってもらうんだからこれでいいだろう。

ズボンは1人3本でシャツは6枚購入だ。

もちろん自分の分のズボンも3本購入したぞ。

下着類は、俺も口を出しにくいから(特に女性のはね)各自自分で5枚ずつ選んでもらったよ。

「それでは、全部で金貨77枚となります」

やっぱり服はそれなりにするね。

支払いを済ませてマルタン服飾店を後にした。

替え用まで買ってもらえるという好待遇に大人たちは少々困惑していたけど、俺にとっては少々金がかかっても清潔にしていてもらった方が断然いいからな。

「ちゃんと替え用も買ったんだから、清潔を心掛けてね」

そう言うとみんな神妙に頷いていた。

とは言っても、靴もそうだけど服も滅多に買い替えることはないみたいで、みんな新しい服に感激してたよ。

肌着や靴下は、俺も愛用しているネットスーパーのものを渡すつもりだ。

特に肌着は肌触りも値段もネットスーパーのものの方が断然いいからな。

さて、これで生活必需品はある程度そろったかな。

これなら明日から仕事を始めてもらってもいいかもしれないな。

それから自分たちで自炊してもらうのも。

よし、それなら食料品の確保だな。

肉は俺の手持ちの分を渡すとして、野菜類は市場で調達しないといけないな。

そうなると次は市場か。

みんなの荷物を預かって俺のアイテムボックスへと一時保管して、俺たち一行は市場へと向かった。