軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

隠れ村

森の中を歩いていたアルミーネの足が止まった。

アルミーネは半透明のカードを右目に当てて、結んでいた唇を開いた。

「あの大きな木……怪しいなぁ」

アルミーネが指さした木は周囲の木と変わらないように見えた。

「何か変なの?」

僕の質問にアルミーネは半透明のカードを僕の顔の前に差し出した。

カード越しに木を見ると、木全体が青白く輝いている。

僕たちは周囲を警戒しながら、その木に近づいた。

アルミーネが木の幹に触れると、人が通れるぐらいの穴が開く。

「ちょっと待って」

アルミーネは呪文を唱えて、穴に右手を入れる。

「……うん。問題なさそうね」

アルミーネは木の中に入っていく。僕、ピルン、キナコもその後に続いた。

穴から出ると、目の前に村があった。

村には百軒ほどの家が建っていて、中央に巨大な穴があった。穴の周囲には黒いローブを着た信者たちがいる。

「やっと見つけたね」

アルミーネがキナコの肩を叩いた。

「……ああ。感謝するぞ」

キナコは瞳孔を縦に細くして村を見つめる。

僕はキナコの隣で村の様子を確認する。

信者の数は……四百人以上はいそうだな。武器は……短剣が多いか。

その時、穴の近くに司教のルーガルがいることに気づいた。ルーガルは数人のダークエルフと話をしている。

ダークエルフもいるのか。

ダークエルフは全員が銀髪で褐色の肌をしていた。耳はエルフと同じように尖っていて、整った顔立ちをしている。

「ゼルディアの部下だろうな」

キナコが牙を鳴らす。

「ゼルディアは自分の軍隊から離れて動くことがある。そういう時にも十人のダークエルフの護衛だけはいっしょに行動している」

「強いの?」

「全員がAランククラスの冒険者だと思っておけ」

「Aランクが十人か……」

僕は唇を噛んでダークエルフを見つめる。

面倒だな。ルガールの盾の魔法もあるし、ドールズ教の信者にも強者はいるはずだ。

「……キナコ。夜になるまで様子を見よう。まずはゼルディアがどこにいるのか確認したほうがいい」

「そうだな」

キナコは視線を村に向けたまま、口を動かす。

「村に潜入して情報を集めるにも夜のほうがいいだろう」

「それなら、僕は村の周囲を確認してくるよ。ゼルディアを倒した後に逃げるルートを見つけておきたいし」

「わかった。気をつけろよ」

キナコは僕の腰を肉球で叩いた。

その後、僕は森の中を移動しながら、周囲の地形を確認する。

村を囲うように枝葉の多い木が生えてるな。それにトゲ草の茂みも多い。トゲ草は葉がノコギリのようにギザギザで肌や服を傷つける。多分、村が見つからないように信者たちが植えたんだろう。

数十メートル移動すると、崖の上に出た。

「崖か……」

この崖は利用できそうだ。ここで紙の橋を具現化すれば、逃げる時に距離を稼げる。

その時、村のある方向から、声が聞こえてきた。

僕は音を立てないように移動して、木の陰から村を確認する。

信者たちが武器を持って広場に集まっているのが見えた。

ダークエルフの女が信者たちに向かって何かを話している。

んっ? どうしたんだろう?

数分後、二百人を超える信者たちがダークエルフの女といっしょに森の中に入っていった。

これは何かあったな。戻ったほうがよさそうだ。

僕は頭を低くして、その場から離れた。