軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キナコと仲間たち

僕は驚いているキナコに歩み寄った。

「どこに行くの?」

「……いや、酔い覚ましにゴブリンでも倒して小銭でも稼ごうと思ってな」

「ウソが下手だね」

僕はじっとキナコを見つめる。

「ゼルディアを倒しに行こうと思ってるんだろ?」

「どうして、それを知ってる?」

「メルトさんに聞いたんだよ。キナコが無茶なことを考えてるってね」

「……メルトめ」

キナコが尖った牙を鳴らした。

「キナコ……」

僕は片膝をついて、キナコと視線を合わせた。

「僕たちは仲間だろ? どうして、ひとりでゼルディアを倒しに行こうとしてるんだよ?」

「……もう決めたことだ」

キナコは視線を僕からそらした。

「俺はひとりでゼルディアを倒す。お前たちの助けは必要ない」

「僕たちのことを心配してるんだね」

「……お前たちは、まだ未熟だからな」

「それでも、僕はキナコについていくよ」

僕はきっぱりと言った。

「六魔星のゼルディアを倒せば、国から報奨金も出るみたいだしね。僕も分け前が欲しいし、名声も手に入れたいから」

「ウソをつけ!」

キナコが肉球で僕を叩いた。

「お前が名声など気にするはずがない。もうちょっとバレないウソにしろ!」

「あ、でも、お金は欲しいよ。孤児院への寄付を増やしたいし」

「……はぁ」

キナコは大きなため息をついた。

「お前、わかってるのか? ゼルディアは多くの町や村を滅ぼした魔族だぞ。Sランクの冒険者も奴に殺されている」

「もちろん、わかってるよ。六魔星の強さは魔族の中でも別格だって」

「それなのにゼルディアと戦うと言うのか?」

「うん。キナコを助けたいから」

僕は即答した。

「ピルンたちもなのだーっ!」

ピルンがキナコの背後から現れた。ピルンの隣にはアルミーネもいる。

「ごめん。遅くなって」

アルミーネが僕に声をかけた。

「いろいろ準備に時間がかかって」

「大丈夫だよ。この通り、足止めしておいたから」

「アルミーネ、ピルン」

キナコの目が丸くなる。

「お前たちもいっしょに来るつもりなのか?」

「当然でしょ」

アルミーネが言った。

「私たちは同じパーティーの仲間なんだから。それに六魔星を倒せば、『混沌の大迷宮』に入れる許可を国からもらえるかもしれないし」

「死ぬかもしれないんだぞ」

「弱いモンスターと戦う時だってそうでしょ。ゴブリンに殺された冒険者だって、いっぱいいるから」

「……はぁ」

キナコは白い爪で頭をかいた。

「バカな奴らだ。俺につき合う必要などないのに」

月光に照らされたキナコの瞳が僅かに潤んだ。

「……わかった。俺たちでゼルディアを倒して、報奨金を手に入れるぞ!」