軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

洞窟2

一時間以上歩き続けていると、ふいに視界が広がった。

その場所は円形で壁に三十以上の穴が開いていた。

この穴……奥が見えないな。一つ一つを調べていくと時間がかかりそうだ。

「どうやら、ピルンの能力が役に立つ時がきたのだ」

ピルンがカラフルなハンマー――マジカルハンマーを取り出し、地面に立てた。マジカルハンマーがゆらりと傾いて倒れる。

マジカルハンマーの頭の先にある穴をピルンは指さす。

「この穴の先にドールズ教の神殿があるのだ!」

「また、それ?」

僕はため息をついた。

「それって、運で決めてるだけだろ」

「ピルンは運がいいから、大丈夫なのだ」

「まあ、運はよさそうだけど……」

その時――。

ドンと大きな音がして、地面が大きく揺れた。

「なっ、何だ?」

視線を動かすと頭上から岩が落ちてくる。

僕は近くにいたピルンの腕を掴み、岩を避けた。

他の冒険者たちも慌てて岩を避ける。

数十秒後、揺れが収まった。

「アルミーネ、キナコ!」

「私たちは大丈夫だよ」

僕の言葉にアルミーネが反応する。

「でも、入り口が……」

アルミーネが指さした入り口は、無数の岩が積み重なっていた。

「これじゃあ、外に出られないよ」

「運が悪いね。こんなにしっかりと入り口を塞がれるなんて」

「いや……」

キナコが口を開いた。

「この崩れ方はおかしい。入り口を塞ぐために何か仕掛けをしていたのかもしれない」

「それって、ドールズ教の信者が?」

僕の質問にキナコがうなずく。

「どうやら、これは……」

突然、頭上に巨大な半透明の板が現れた。

魔法攻撃かっ!

僕はアルミーネを守るように前に立つ。

周囲にいた冒険者たちも素早く戦闘態勢を取った。

しかし、頭上の板からの攻撃はなかった。

やがて、板に黒いローブを着た白髪の男が映し出された。

男は五十代ぐらいの見た目で、赤黒い首飾りをつけていた。

あの板は映像送信用か。

「ふっ、ふふふっ」

板から男の笑い声が聞こえてきた。

「愚かな冒険者たちよ。罠にかかってくれて感謝する」

「罠だと?」

メルトが板に映る男に向かって叫んだ。

「お前は誰だっ?」

「私はルーガル。ドールズ教の司教だよ」

男――ルーガルは唇の両端を吊り上げた。

「メルトよ。お前に真実を伝えてやろう。この洞窟に神殿などない」

「神殿がないだと?」

「そうだ。お前たちをおびき寄せるために、わざと神殿がここにあるような会話を信者にやらせたのだ。間抜けな冒険者の前でな」

その言葉を聞いて、ダズルの目と口が大きく開いた。

「そして、お前たちはのこのことやってきたわけだ。自分の死に場所とも知らずに」

「舐めるなよっ!」

メルトがルーガルをにらみつける。

「たかが入り口を塞がれただけで、私たちが死ぬとでも思っているのか」

「入り口を塞いだのはお前たちが逃げられぬようにしただけだ」

ルーガルは目を細めて微笑する。

「メルト。お前たち炎龍の団は多くの信者を捕らえ、殺した。その報いを受けてもらう」

「何を言ってる? お前たちこそ、多くの者を自分の欲のために殺してきた狂信者ではないか!」

「それは私たちの特権だ。ドールズ様が許されているからな。信者以外の者は自由に殺していいと。ふふふっ」

「ぐっ……」

怒りのためか、メルトの体が小刻みに震え出した。

その姿が見えているのか、ルーガルの口角がさらに吊り上がる。

「本当の恐怖はこれから始まる。楽しみにしておくといい」

ルーガルは両手を左右に広げて、胸元で両手の指を奇妙な形に絡ませる。

「邪神ドールズ様、愚かな冒険者たちの命をあなたに捧げましょう」

そう言うと同時に頭上に浮かんでいた板が消えた。

「やられたな」

キナコが白い爪で頭をかいた。

「どうやら、こっちの動きが漏れていたようだ。しかも、ずいぶん前から」

「みたいだね。この仕掛けは速攻で作れるようなものじゃないし」

僕は入り口を塞いでいる積み重なった岩を見る。

炎龍の団はレステ国からドーズル教の信者を捕らえる仕事を多く請け負っていた。そのために狙われたんだろう。ガホンの森に神殿があるという情報を流して、ここにおびき寄せたんだ。

「炎龍の団の実績は認めるが、今回は後手に回ってるな。まあ、お前の元パーティー仲間のミスのせいだが」

キナコは体を震わせているダズルを見つめる。

「この手の罠に引っかかる冒険者は多い。お前も気をつけろよ」

「……うん」

僕は唇を強く噛んだ。

◇ ◇ ◇

お知らせ

「雑魚スキル」と追放された紙使い、真の力が覚醒し世界最強に ~世界で僕だけユニークスキルを2つ持ってたので真の仲間と成り上がる~のコミカライズが決定しました。

これも原作小説を応援してくれた皆さんのおかげです。

ありがとうございます。大感謝です。

詳しい情報がわかりましたら、またお知らせします。

原作小説も、現在2巻まで発売中! 書き下ろし小説もあるのでよろしくです。