軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

狂信者

一時間後、僕たちは炎龍の団と合流した。

「早速、狂信者どもが動いたか」

炎龍の団の副リーダー、グレッグが拘束された信者を見下ろして言った。

グレッグは三十代半ばの男で身長が百八十センチを超えていた。がっちりとした体格で魔法の鎧を装備している。太いベルトにはAランクの証である銀色のプレートがはめ込められていた。

「よくやってくれた。君たちを警戒地域に配置しておいたのは正解だったな」

「警戒地域?」

アルミーネが首をかしげた。

「ああ。この辺りは洞窟が多いからな。信者の目撃情報もあった。そういう地域には強いパーティーを配置するようにしてたんだ」

グレッグはちらりとキナコを見た。

「このパーティーにはAランクのキナコがいるし、君はCランクの冒険者だが、上級の錬金術師の資格も持っているからな」

「ちゃんと調べてるんですね」

「もちろんだ。ヤクモのパーティーを今回の作戦に加えたのは、ラックスを見つけてくれた礼のつもりだったが、ここまで仲間が実力ある者たちだったとはな。予想外の幸運だ」

「ヤクモくんも強いですよ」

「ん? ヤクモはEランクだろ?」

「それでもヤクモくんは強いんです。うちのパーティーの要ですから」

「……ほぅ」

グレッグは値踏みするかのように僕を見つめる。

「君は戦闘スキルを持っているのか?」

「いえ。ユニークスキルだけです」

僕はグレッグの質問に答える。

「紙を具現化する能力ですけど」

「……かっ、紙か。それはまた……珍しい能力だな」

グレッグの頬がぴくぴくと動く。

やっぱり、紙の具現化の能力はいまいちと思われるな。それは仕方のないことかもしれない。

Sランクのキルサスだって、全く認めてくれなかったし。

「とにかく、この信者が神殿の場所を知ってるかもしれない」

「残念だが……」

捕らわれていた信者が口を開いた。

「俺は神殿の場所を知らん。だから、攻撃をまかされたんだ」

「……なるほど。雑魚ってことか」

グレッグは冷たい視線を信者に向ける。

「だが、尋問はさせてもらうぞ。その言葉がウソかもしれないからな」

「好きにしろ……と言いたいところだが、お前たちにつき合う理由がないからな」

信者は素早く呪文を唱えた。

「貴様っ!」

グレッグは右手で信者の首を掴み、呪文を止めた。

「この状況で逃げられると思っているのか」

「……逃げる気など……ない……があっ!」

突然、信者の目と口から血が流れ出し、体が小刻みに痙攣した。

「邪神ドールズ様……最後に我が肉体を捧げ……」

信者は言葉を言い終える前に絶命した。

「毒か……」

キナコがぼそりとつぶやいた。

「あらかじめ体に毒を仕込んでおいて、簡単な呪文で自死できるようにしていたんだろう」

「そんなことまでするのか……」

僕の口から掠れた声が漏れる。

ドールズ教の信者は組織的に行動して、多くの人々を殺している。だから、捕まると死刑になることが多い。

だけど、自分で死を選ぶなんて。

「狂信者の考えなど、常人にはわからん」

僕の考えが読めたかのように、キナコが言った。

「ただ、自分の死を恐れていない者と戦う時は注意しろよ。予想外の攻撃を仕掛けてくる場合もあるからな」

キナコの忠告に僕は首を縦に動かした。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

2024年2月29日、この小説の2巻が発売されます。

タイトル:「雑魚スキル」と追放された紙使い、真の力が覚醒し世界最強に ~世界で僕だけユニークスキルを2つ持ってたので真の仲間と成り上がる~ 2

出版社:双葉社(Mノベルス) 作者名:桑野和明

応援してやるか、と思った方は、ぜひ、購入よろしくお願いいたします。

今回の話の続きがすぐに読めて、書き下ろし小説もあります。