軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

強者の戦い

「まずはお前からだ!」

ダグルードはキナコに攻撃を仕掛けた。さっきより速い動きでキナコの側面に移動し、蹴りを放つ。

「くっ……」

キナコは左手の肉球で蹴りを受けるが、その体が真横に飛ばされる。

「キナコっ!」

倒れたキナコに近づこうとした瞬間、僕の手首をメタリックドールが掴んだ。強い力で引っ張られて、僕は地面に叩きつけられる。

「ぐっ……う……」

僕は転がりながら、メタリックドールの追撃をかわす。

痛みはあるけど、まだ戦える。アルミーネが作ってくれた魔法の服のおかげだ。

片膝をついて立ち上がり、魔喰いの短剣に魔力を注ぎ込む。長く伸びた青白い刃がメタリックドールの首の下に刺さった。ガラスが割れるような音がして、メタリックドールが倒れた。

「ヴヴ……ヴッ……」

もう一体のメタリックドールが細長い手を真っ直ぐに突き出す。尖った指の先が僕の目を狙う。

僕は頭を下げて、魔喰いの短剣でメタリックドールの左膝を斬った。メタリックドールの体が傾き、地面に倒れる。

立ち上がろうとしたメタリックドールの首の下に、僕は魔喰いの短剣を突き刺す。

「ヴ……ヴ……」

二体のメタリックドールからカチカチと音がした。

僕は粘着質の紙を具現化して、メタリックドールの体を包む。

同時に爆発音がして、一瞬、紙が風船のように膨らんだ。

よし! これでキナコを助けにいける!

視線を動かすと、巨大な柱の前でキナコがダグルードと戦っていた。

ダグルードは左右のパンチをキナコに叩き込み、キナコの肉球をかわしている。

ダグルードのパワーとスピードが上がってる。あの不気味な鎧の効果か。

「遅いぞ、猫人族!」

ダグルードの蹴りがキナコの腹部に当たった。

「ぐっ……」

キナコの顔が歪み、ぐらりと上半身が傾く。

僕は唇を強く結んで走り出す。

背後からダグルードの首を狙う。そこなら鎧は関係ないっ!

ダグルードまで残り五メートルになった時、鎧に埋め込まれていた無数の眼球が視線を僕に向けた。

ダグルードが振り向き、左手を前に出す。手のひらから赤黒い火球が発射された。

僕は魔喰いの短剣の刃で火球を受ける。赤黒い炎が周囲に飛び散った。

「先に死にたいようだな」

ダグルードは一瞬で僕に近づき、右のこぶしを突き出す。予想以上の速さに僕の反応が遅れた。

こぶしが僕の胸元を叩く。

強い衝撃を感じると同時に僕の体が飛ばされる。

ぐっ……ただのパンチでこのパワーか。まともに戦うのはまずいな。

僕は突っ込んできたダグルードの前に九枚の紙を具現化した。

「小細工をしおって」

ダグルードの爪で紙が斬り裂かれた。その間に僕はダグルードから距離を取る。

「逃げ回るつもりのようだな。ならば、こいつを使わせてもらう」

ダグルードは手のひらから紫色の水晶玉を具現化し、それを地面に叩きつけた。

紫色の煙といっしょに巨大なドラゴンが現れた。ドラゴンは黒いウロコを生やしていて、両脚の爪は金色だった。

「ダークドラゴン! 人族どもを殺せ!」

ダグルードがドラゴンに命令する。

「ゴアアアアアッ!」

ダークドラゴンは巨体を揺らして、僕に突っ込んでくる。

ここでドラゴンかっ!

僕は骸骨兵士たちと戦っているみんなの位置を確認する。

こいつをアルミーネたちに近づけるわけにはいかない。別の場所に誘導しないと。

「『風手裏剣』!」

僕は数十本の紙の手裏剣を具現化し、ダークドラゴンを攻撃する。黒いウロコに手裏剣が刺さるがダメージを与えたようには見えない。

でも、これでいい。ダークドラゴンが僕を標的にした。

僕はダークドラゴンから逃げながら、意識を集中させて、自分の基礎魔力を確認する。

残り30万マナぐらいか。ポケットに入れてた紙もほとんどなくなったし、まずい状況だ。

とにかく、できるだけみんなから離れて……。

一体の骸骨兵士が僕の行く手を塞いだ。

僕は魔喰いの短剣で骸骨兵士の首を飛ばす。しかし、残った胴体が曲刀を投げ捨て、僕の体に抱きついてくる。

「ぐっ……」

僕は両手の肘を使って、骸骨兵士の体を引き剥がす。

その数秒の時間でダークドラゴンとの距離が一気に縮まった。

「ゴアアアアーッ!」

ダークドラゴンのノドが大きく膨らんだ。

ブレスを吐くつもりか。

こうなったら、切り札のあの紙を使って……。

その時――。

ダークドラゴンの後方から銀髪の少女が走ってくるのが見えた。

あれは……シルフィール!?

シルフィールはダークドラゴンの背に飛び乗り、その上を駆け抜ける。

ダークドラゴンは首を捻って黒い炎を吐き出した。同時にシルフィールが高くジャンプして、その炎を避ける。

「気づくのが遅いのよ!」

シルフィールは体を回転させながら、双頭光王を振った。ダークドラゴンの首から黒い血が噴き出す。

「『風神斬空』!」

シルフィールはダークドラゴンの背に飛び降りると同時に双頭光王を投げた。双頭光王はくるくると高速で回転しながらダークドラゴンの首を斬った。巨大なダークドラゴンの頭部が地面に落ち、双頭光王がシルフィールの手に戻る。

ぐらりとダークドラゴンの巨体が傾き、横倒しになった。