軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

Aランク冒険者キナコ

「ヤクモ、あいつらは俺にまかせろ」

キナコが僕の前に立って、腰に提げたひょうたんを手に取った。そのフタを外し、

中の液体を飲み干す。周囲にチュル酒の香りが充満した。

「こんな時にお酒っ?」

「ふっ、そのほうが俺は強くなるからな」

そう言って、キナコはにやりと笑った。

「酔えば酔うだけ強くなる。これが俺の肉球酔拳だ」

ゆらゆらと上半身を揺らしながら、キナコは前に出た。

二体のメタリックドールが左右から同時にキナコに攻撃を仕掛けた。その攻撃をキナコは上半身を大きくそらしてかわす。さらにその状態から体を半回転してメタリックドールの左足に背中を当てる。その状態からキナコは体を捻って、メタリックドールの腹部を肉球で叩く。メタリックドールの体が五メートル以上飛ばされた。

もう一体のメタリックドールが右手を伸ばし、キナコの頭を掴もうとする。

「おっと……」

キナコはぺたんと背中を地面につけた。メタリックドールは腰を曲げて、右手のこぶしをキナコの頭部に振り下ろした。その攻撃をキナコは首を曲げてかわす。メタリックドールのこぶしが地面に穴を開けた。

「残念だったな」

キナコは本物の猫のように体をくねらせて立ち上がり、メタリックドールの首の下を肉球で叩いた。

ガラスが割れるような音とともにメタリックドールが地面に倒れる。

キナコは素早くその場から離れて爆発を避けた。

「ふっ、俺の肉球なら、皮膚が硬くても中の核にダメージを与えることができる」

キナコはふらふらと体を揺らしながら、近くにいた骸骨兵士に攻撃を仕掛ける。

さすがキナコだ。ここは問題ないな。

僕はエルフのミルファと戦っていた骸骨兵士に走り寄り、側面から魔喰いの短剣を突いた。長く伸びた青白い刃が骸骨兵士の首の骨を砕き、頭部が地面に落ちる。

「ミルファ! 月光の団のみんなに伝えて! 南側に橋があるって」

「……あ……う、うん。わかった」

ミルファは戦っている団員たちに僕の言葉を伝える。

「撤退だ! 下がるぞ!」

Bランクの団員が叫ぶと、全員が戦闘を停止して南側に走り出す。

団員と骸骨兵士の距離が開くと、僕は意識を集中させる。

「『魔防壁強度七』!」

骸骨兵士の前に金属の性質を持つ紙の壁が具現化する。

これで時間が稼げるはず。

そう思った瞬間、壁の一部が斬り裂かれて、そこからダグルードが姿を見せた。その手には黄金色の剣が握られている。

くっ! 強度七の魔防壁が一瞬で斬り裂かれた。あの剣、要注意だな。

「ヤクモ! 俺たちも下がるぞ」

キナコが僕に駆け寄った。

「この状況ではダグルードを狙うのは難しい。骸骨兵士の数が多すぎる」

「うん。下がったほうがよさそうだね」

僕はダグルードの側にいる二体のメタリックドールを見つめる。

ダグルードを狙うなら、メタリックドールと骸骨兵士をなんとかして、こっちが有利な状況で戦わないと。

僕は唇を強く結んで、キナコといっしょに走り出した。