軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

危機

その言葉に反応して、僕たちを取り囲んでいた骸骨兵士たちが動き出した。

「おっ、応戦しろ!」

Bランクの団員が叫ぶと、呆然としていた他の団員たちが我に返った。

「シルフィール様を守れーっ!」

四人の団員が倒れているシルフィールに駆け寄り、他の団員たちは近づいてくる骸骨兵士に武器を向ける。

「俺たちも動くぞ!」

キナコが言った。

「調査団の奴らを逃がすんだ!」

「それなら、南側の骸骨兵士を倒して!」

「南側でいいのか? そっちは大穴があるぞ」

「大丈夫だから!」

「……わかった」

キナコは正面にいた骸骨兵士の曲刀の攻撃を避けてジャンプする。ピンク色の肉球が骸骨兵士の額の宝石を砕いた。

「カ……カカ……」

三体の骸骨兵士が側面からキナコに突っ込んできた。

「そうはさせないっ! 『魔防壁強度四』!」

僕は白い紙の壁を具現化した。その壁が骸骨兵士の行く手を塞ぐ。

「ヤクモくん、魔法を使うから!」

アルミーネの声が背後から聞こえた。

空中に数十の小さな魔法陣が現れる。その魔法陣から、オレンジ色に燃える炎の剣が出現した。その剣が数十体の骸骨兵士たちに突き刺さる。

骸骨兵士たちは炎に包まれて、次々と倒れた。

これで南側に骸骨兵士はいなくなった。

僕は骸骨兵士の死体を飛び越え、大穴のふちまで移動する。

向こう側まで……五十メートルってところか。具現化時間が長い紙を使えばなんとかなる。

僕は地形をしっかりと確認して、意識を集中させる。

数万枚の紙が具現化し、それが僕の意思に従って動き出す。

紙と紙が組み合わさり、巨大な橋を作った。

この橋なら、一気に距離を稼いで逃げることができるはずだ。

「皆さん、こっちです!」

僕は調査団の人たちを手招きした。

「この橋から逃げてください! 急いで!」

「こ、この橋は?」

調査団のリーダーのサイラスが口を半開きにして、紙の橋を凝視する。

「そんなことより、早く逃げてください!」

「あ、はっ、はい! みんな、逃げるんだ」

サイラスは他の調査団の人たちといっしょに橋を走り出す。

よし! これで残りは月光の団の人たち……あ……。

メタリックドールから逃げているコリンヌの姿が目に入った。その背中にはシルフィールが背負われている。

まずい! まだ、シルフィールは意識が戻ってないみたいだ。

僕はコリンヌを追っているメタリックドールに向かって走り出す。

メタリックドールの弱点は首の下の核だ。それがわかってれば、なんとかなる!

僕はコリンヌを守るようにメタリックドールの前に立った。

メタリックドールの細長い右手が斜めに振り下ろされた。その攻撃を僕は魔防壁で止める。一瞬、メタリックドールの動きが止まった。

僕は魔喰いの短剣に魔力を注ぎ込む。青白い刃が長く伸び、メタリックドールの首の下に突き刺さった。

しかし、刃の先端が途中で止まる。

くっ! 硬いな。核まで届いてないか。

「ヴ……ヴヴ……」

メタリックドールの左手が僕の腕を掴んだ。みしりと骨がきしむ音がする。

くっ! パワーもオーク並みに強い。

僕は顔を歪めながら、魔喰いの短剣に追加の魔力を注ぎ込んだ。青白い刃の輝きが増し、その先端がメタリックドールの背中から突き出る。

ガラスが割れるような音がして、メタリックドールの動きが止まった。

僕は素早くメタリックドールから離れる。

数秒後、メタリックドールが爆発した。

よし! なんとか倒せたか。魔力をたくさん使っちゃったけど仕方がない。

僕はぽかんと口を開けているコリンヌに駆け寄った。

「コリンヌさん。橋を渡って逃げてください!」

「ですが……」

「今はシルフィールさんを安全な場所に移動させるのが先決です」

「……わかりました。よろしくお願いします」

コリンヌは僕に頭を下げて走り出した。

僕は骸骨兵士と戦っている月光の団の団員たちを見回す。

このままじゃダメだ。骸骨兵士の数が多すぎる。

それに……。

二体のメタリックドールが僕に近づいてきた。

今度は二体か。

僕の額から冷たい汗が流れ落ちる。

紙の橋と魔喰いの短剣で基礎魔力を五割以上使っている。まだ、余裕があるけど、そろそろ気にして戦ったほうがいいか。