軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ガルディ

数秒後、針のように目を細くしたガルディが口を開いた。

「お前……名前は?」

「アルミーネ。見る目のあるパーティーリーダーだよ」

「アルミーネか。お前に圧倒的な力を見せてやるよ」

ガルディは右手の人差し指を立てて、呪文を唱える。

指の先に黒い球体が具現化し、その球体がどんどん大きくなる。

球体の直径が一メートルを超えると同時に、ガルディは指を動かした。

球体が僕たちに向かって動き出す。

ま、まさか?

身構えた僕たちの前で黒い球体は軌道を変え、魔鋼蜘蛛の死体に当たった。爆発音がして、魔鋼蜘蛛の硬い体が四散する。

「これが強者の力だ!」

ガルディは唇の両端を吊り上げる。

「お前たちが倒した魔鋼蜘蛛の群れなど、俺の魔法なら、一発で消せる」

「そんなことを証明するために、魔鋼蜘蛛の死体をバラバラにしたの?」

アルミーネが呆れた顔で頭をかいた。

「基礎魔力の無駄遣いだよ」

「これぐらいたいしたことねぇよ。俺は【魔力強化】のスキルを持ってるからな。基礎魔力の量が10万マナ以上あるのさ」

「へーっ、【魔力強化】か。いいスキル持ってるね」

「他にも二つの戦闘スキルを持ってるぜ」

ガルディは右手の指を三本立てた。

「上に立つには強さこそが重要なんだよ」

ガルディがこぶしを握り締めた。

「強いからこそ相手の実力もわかる。こいつが弱いことは俺も見ただけでわかったぜ」

ガルディの人差し指が僕に向けられた。

「そんな奴が入ってるパーティーは二流……いや、三流ってことだ」

「どうやら、意見が分かれたみたいね」

アルミーネが頭をかいた。

「まっ、どっちが正しいのかは、そのうちわかるでしょ」

「……ふん。すぐに自分の間違いに気づくことになるぞ」

「あなたがね」

「ちっ! 自分が言った言葉を忘れるなよ」

そう言うと、ガルディは僕たちに背を向けて歩き出す。聖剣の団の団員たちが慌てた様子でガルディを追いかけていった。

アルミーネは頭をかきながら、ふっと息を吐く。

「これじゃあ、聖剣の団と協力するのは無理そうね」

「アルミーネ」

僕はアルミーネに声をかけた。

「ありがとう。僕をかばってくれて」

「事実を言っただけだよ」

アルミーネは肩をすくめる。

「すぐにあのAランクも気づくと思うよ。ヤクモくんの強さにね」

「うーん。強さか……」

「ん? どうしたの? 変な顔して」

「いや。僕も少しは強くなったと思うけど、まだEランクだからなぁ。模擬戦でもキナコに全然勝てないし」

「当たり前だ」

キナコが僕のおしりを肉球で叩く。

「お前は【紙使い】のスキルを封印して戦ってるじゃないか。単純な白兵戦でAランクの格闘家に勝てるわけがない。だが……」

キナコはじっと顔を見つめる。

「お前は経験不足なところがあるが、瞬時の判断が速いからな。それに相手の攻撃を読むのも上手い。スキルの力を使わなくても、ほどほど以上に戦えると思うぞ」

「ほどほど以上か……」

僕は口元に指を当てて考え込む。

頭を打ってから戦闘時の思考が速くなって、相手の動きに対応できることが増えた。思考に体がついていけるようになったのは、キナコとの訓練のおかげもあるだろうな。

でも、まだまだだ。もっと強くなってパーティーの役に立たないと。

僕は両手のこぶしを握り締めた。