軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

激戦3

「いい加減に諦めたらどうだ?」

ゼルディアは血だらけで七光彩剣を構えているアスロムに声をかけた。

「もう、基礎魔力も残ってないはずだ。これ以上戦っても無意味だぞ」

「無意味じゃないさ」

アスロムが肩で息をしながら、ゼルディアをにらみつける。

「僕が粘れば、シルフィールが生きている剣を壊してくれるかもしれない。そうなれば、また、二人で戦うことができる」

「それは難しいと思うがな。生きている剣の攻撃は変則的で速い。しかも何日戦っても疲れることもない。結局、あのハイエルフも死ぬことになる」

「ならば、私がアスロム様といっしょに戦う!」

戦士のテレサがアスロムの隣に立った。

「アスロム様、私も戦わせてください!」

「ダメだ、テレサ。君は下がって!」

「力不足なのはわかってます。でも、盾ぐらいにはなれます!」

テレサはロングソードの先端をゼルディアに向ける。

「私がゼルディアに突っ込みます。その間に私ごとゼルディアを斬ってください!」

「……ほぅ。面白いことを考える女だ」

ゼルディアが笑った。

「いいだろう。どんな策でも使ってこい。それが無意味だと教えてやる」

「わかった」

突然、ゼルディアの背後から声が聞こえた。

ゼルディアが振り返ると、そこにはキナコがいた。

「『肉球波紋掌』!」

キナコはピンク色の肉球でゼルディアの腹部を叩いた。

ゼルディアの皮膚が波打ち、その表情が僅かに歪んだ。

「……っ、お前。どうしてここにいる?」

「ルーガルとダークエルフを殺したからに決まってるだろう」

キナコは腰に提げたひょうたんを手に取り、中に入っていたチュル酒を一気に飲み干す。酒の香りが周囲に漂った。

「今度は逃げるなよ、ゼルディア」

「逃げるだと?」

ゼルディアの声が低くなった。

「それはどういう意味だ?」

「そのまんまの意味だ」

キナコはゆらゆらと上半身を揺らす。

「さっき、お前は俺から逃げた。弱い種族と言われている猫人族の俺からな。そして、この後もそうなるだろうな。お前の顔を見て確信した」

「我の顔?」

「ああ。お前は不利になったら、転移の魔法で逃げるつもりだろう。六魔星とは名ばかりの雑魚魔族だからな」

「……ふっ、ふふっ」

ゼルディアが痩けた頬を痙攣させるように笑った。

「いい度胸だ。お前に我の真の強さを教えてやろう」

「アスロムっ! 少し休んでろ!」

キナコはアスロムに声をかけながら、ゼルディアに突っ込んだ。

「バカがっ!」

ゼルディアは左右の赤い爪を連続で突き出した。キナコはその攻撃を上半身だけでかわす。

「ならばっ!」

ゼルディアの右手の指先から紫色の光線が発射された。キナコはぺたりと地面に背中をつけて、光線を避けた。

ゼルディアはキナコを踏みつけようと右足を上げた。その動きに合わせてキナコは立ち上がり、肉球でゼルディアの太股を叩く。

ドンと大きな音がして、ゼルディアが飛ばされた。

「むっ……」

ゼルディアは驚いた顔でキナコを見つめた。

「……なるほど。大口を叩くだけはあるということか」

「驚くのはまだ早いぞ」

キナコは上半身を揺らしながら、腰を深く落とす。

「お前を倒すために生み出した『肉球酔拳』の技。存分に味わうがいい」

そう言って、キナコはゼルディアに突っ込んだ。

◇ ◇ ◇

少し離れた場所で、シルフィールは生きている剣と戦っていた。

シルフィールは大きく足を踏み出し、双頭光王を強く振る。

金属音が響き、生きている剣の刃が欠けた。

生きている剣はふわりと頭上に浮き上がり、刃に刻まれた魔法文字が輝く。一瞬で欠けた部分が修復した。

「ちっ! またなのっ!」

シルフィールが舌打ちをして、頭上に浮かぶ生きている剣をにらみつける。

――面倒な相手ね。剣の軌道が読みにくいし、何度も修復してくる。連続で攻めようとしても、空中に逃げられちゃうし。なんとか早く倒さないと。

その時、生きている剣が真下に落下した、地面ぎりぎりで角度を変え、シルフィールに突っ込んでくる。

シルフィールは双頭光王を真横に振った。その刃が当たる寸前、生きている剣がくるりと回転して、柄の部分の眼球がシルフィールを凝視する。その目から黄白色の光が放たれ、シルフィールの視界を奪った。

「くっ……」

一瞬、シルフィールは生きている剣の位置を見失った。シルフィールの後方から生きている剣が突っ込んでくる。

その時――。

数十枚の黒い紙が宙に現れ、生きている剣を包み込んだ。その紙は粘着質で刃にべ

ったりと張りつく。

「紙……」

シルフィールが視線を動かすと、近づいてくるヤクモの姿が目に入った。