軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

幼きライバル達

「む……!」

「むむ……!」

その幼女二人は、顔を合わせた瞬間、互いに直感で理解した。

――この相手は、自分のライバルになり得ると。

「おかエり、エン! その子は、あたらしい子だネ! おナまえは、なんて言うノ?」

「……向こうで仲良くなった。イリル」

「そうナの! よろしくネ、イリル! シィは、シィだよ!」

「あ、よろしくです、シィちゃん! えっと……シィちゃんは、何の種族なんです?」

「シィは、スライムだヨ!」

ニコニコしながら、元気良くそう言う水色の幼女。

「スライム……?」

ヒト種になるスライムがいたっけ……? とイリルは不思議に思ったが、しかしここは魔王が治めるダンジョン内部。

きっと、そんな子がいてもおかしくないのだろうと一人納得する。

と――彼女は次に、一目見た瞬間ビビビと来た少女へ、顔を向ける。

「それで……あなたのお名前は、何でしょう?」

「私は、イルーナだよ。よろしくね、イリルちゃん」

そう表向きには和やかに言葉を交わしながら、彼女らが互いに目をやったのは、まずお互いの身長。

ほぼ、どんぐりの背比べだが……よく見ると、若干ながら高いのは、イリル。

可愛らしいどや顔を浮かべるイリルに対し、むむむと唸るイルーナ。

が、すぐに二人とも表情を真剣なものに戻すと、次に目をやるのは、お互いの胸。

胸の大きい女性は男性にとって魅力的に見えるらしい、ということを、まだそこまでよくわかってはおらずとも、ただ知識として知っていた彼女ら。

その大きさも、身長と同じくほとんど変わらないが……こちらに関しては、イルーナの方が少し、大きく膨らんでいる。

今度は、イルーナがフフンと勝ち誇った顔を浮かべ、イリルがむぅと悔しそうに顔を歪ませる。

「……ここまで、一勝一敗。勝負は引き分け。次の勝負は、お互いがもっと大きくなったら、です!」

「そうだね! 負けないんだから!」

「それはこっちのセリフです!」

そうして、互いを認め合った幼きライバル達は、固く握手を交わした。

「どうしタのかな? イルーナとイリルは」

「……わからない」

二人の様子に、シィとエンは不思議そうに首を傾げた。

「さ、イリル! お外に来たってことは、多分お城を見に来たんだよね?」

「……ん。イリルにここを案内しに来た。あと、皆に紹介」

「そっか、なら、皆で一緒に案内してあげよっか!」

「ぜひお願いす――きゃぁっ!」

突如、自身の足元からにゅっと人の顔が三つ現れ、イリルは可愛らしい声で驚く。

彼女のことを驚かしたのは、例の如くいたずらっ子の三人レイス娘達、レイ、ルイ、ロー。

「お、お、お化け!?」

「あ、違うよ、その子達はレイスの姉妹で、真ん中がレイちゃん、左がルイちゃん、右がローちゃんだよ!」

もう流石に慣れて、あんまり驚かなかったイルーナが、彼女らのことを紹介する。

「え……で、でも、レイスって、お化けの魔物ですよね?」

おどおどしながらそう言うイリルに、イルーナは首を傾げる。

「あれ……じゃあ、お化けで合ってるのかな?」

「さア?」

「……さあ?」

同じく揃って首を傾げるシィとエン。

レイス娘達もまた、よくわかっていなさそうな顔を浮かべ、自分達のことを互いに見合っている。

あれ、自分の方が間違っているのかな……? とイリルが自身の知識を疑い始めた時、イルーナがニコッと笑みを浮かべて口を開く。

「ま、お化けでも何でもいいよ! 三人もお友達だから!」

「そ、そうなのですか……わ、わかったです。よろしくです、レイちゃん、ルイちゃん、ローちゃん」

イリルの言葉に応えるように、レイス娘達は彼女の周りをくるくると回った。

* * *

どうも、イリルはすでに、ウチの幼女組と仲良くなったようだ。

一度ダンジョンの住人達に招集を掛け、軽く我が家の面々にイリルのことを紹介すると、彼女らはすぐに城の方へ仲良く遊びに出て行った。

うーん、幼女達が仲良くしている様子を見るのは、心が浄化される気分だな。

「それにしても、本物の王女様っすか……アレっすよね。ご主人って、意外と手が早いっすよねぇ」

「おう、リューよ。俺を女 誑(たら) しみたいに言うのはやめてもらおう」

好色、ではあるのかもしれないと、ここまでの女性関係から自分でも最近ちょっと思い始めて来たのだが、誑しとは大分意味合いが違うはずだ。

誑しってのは、自分から次々と女に声を掛けて行くヤツのことだしな。

ここにいる女性陣は、シィやレイス娘達なんかは違うが、それ以外の全員が成り行きでここに住むようになったんだし、別に俺が自分から皆を呼び寄せた訳じゃない。

そう、自然の成り行きなんだから、俺は誑しとは違うはずだ。うん。QED。

「またまたぁ。これだけ女の子を 侍(はべ) らして、その辺りの言い訳はご主人には出来ないっすよぉ? このこのぉ、色男!」

何が楽しいのか知らんが、ニヤニヤしながら俺の脇腹を肘で 突(つつ) いて来るリューに若干イラっとした俺は、彼女の頬を掴んでグイと両側に引っ張った。

「いひゃっ、いひゃいっふ! 何ふるんふかぁ!」

「うーん……相変わらずお前のほっぺた、すげー気持ち良いな……」

柔らかくすべすべで、非常に触り心地が良い。

レフィの翼も、中毒性があってヤバいくらい気持ちよかったが……これはこれで別種の気持ち良さがある。

絹の触り心地と、ふかふかの毛布の触り心地の違い、みたいなものだ。

そのまま、リューが涙目になるまで頬を弄り回していると、反撃のつもりらしく、彼女もまたこちらに向かって両手を伸ばして来る。

「くっ、ま、負けないっふよ! ウチひゃって、ごひゅひんの頬をむにむにしてやるっふ!」

「ほう! この魔王ユキに、勝負を挑むか! いいだろう、その勝負、受けて立つ!」

よくわからないテンションで、俺はリューに言い放つ。

そして、魔王と嫁メイドの、負けられない戦いが始まった……!

――それから、少し経った頃。

「お主ら、揃って頬が真っ赤になっとるが……何しとったんじゃ……?」

「「いやぁ……」」

怪訝そうな表情でこちらを見るレフィに、赤くなった各々の頬をさすりながら、我に返り曖昧に笑う俺とリューだった。