軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

黒蛇との第二ラウンド

ミルクの使った 活力の蕾(ブーストオーラ) は、幸運値以外のステータスが三割ほど上昇している感じか。

幸運値が上昇しないのはミルクらしいと思ったが、同時に俺の幸運値が三割も増えたらとんでもないことになるな。

黒蛇が動く。

さっきよりも速い。

だが、いまの俺の俊敏値があれば――

「 双剣斬波(そうけんざんぱ) 」

向かってくる黒蛇に対して飛ぶ剣戟で迎え撃つ。

黒蛇は咄嗟に頭をずらして避けるが、尻尾に近い部分の胴体を捉える。

やはり飛ぶ剣戟の速度も上がっている。

尻尾から先を失った黒蛇だったが、まるでトカゲのように尻尾が再生する。

普通の魔物とは思っていなかったが、とんでもない回復力だな。

だが、体力が回復しているわけではあるまい。

もしも無限に再生ができるなら、魔物を食べて回復する必要がないからだ。

だったら、斬って斬って斬りまくる!

黒蛇は今度は紫色のガスを吐いた。

毒か。さっきの蜥蜴の能力か。

だが、今の俺には八尺瓊勾玉がある。

毒ガスなんて効果はない。

むしろ毒ガスで視界が遮られている中、気配を頼りに近付いて相手にトドメを――

「泰良くん、そのガスから離れろ!」

牛蔵さんが叫んだ。

直後、後ろに飛び退いた黒蛇が炎を放つ。

まさか、このガスって、毒の成分があるだけではなく――

次の瞬間、爆発を起こした。

「泰良ぁぁぁぁぁあっ!」

ミルクの悲痛な叫びがロビー内に響いた。

だが――

俺はその爆発した炎の中を突っ切り、

「双燕飛翔」

燕返しの応用技、飛び交う燕のような軽快な動きで黒蛇を斬ろうとする。

だが――

「くっ、硬いっ」

防御値が跳ねあがってるのか、今度は切断には至らない。

「泰良、無事なの?」

「さっき奴が炎を吐いたとき、避ける時にちょっとだけ当たっておいたんだ」

「あ、そうか。対応力」

ミルクが納得した。

俺のスキル、対応力は一度当たった攻撃の属性の耐性を得るというものだ。

つまり俺は火属性に耐性を得ている状態にある。

それがなくても、俺が着ている闇火鼠の外套は闇と火属性の耐性を持つ。

「とはいえ、ちょっと熱かったけどな。ちょっと火傷してるかも」

「もう、無茶をして」

ミルクがそう言って魔法で作った回復薬をぶっかけてきた。

ひりひりした火傷が消える。

そして――

「あれだけだと死なないよな」

真上から黒蛇が落ちてきた。

さっき上に飛ばされてから天井にへばりついていたのは知っていた。

だが、ここなら――

「双剣竜巻切り!」

同じ轍は踏まない。

さっきは風に乗って逃げられたが、ここから放てば敵を斬撃の竜巻の内部に捕らえることができる。

竜巻が無くなっても、まだ黒蛇は生き残っていた。

さて、ここでトドメの――

と黒蛇が大きな口を開け、

『GWAAAAAAAAAA』

黒蛇が突然大きな声を上げた。

さっきからずっと感じていた第六感の嫌な予感が最大限に高まった。

スタン効果を持つ咆哮か。しかし、俺にはそんな状態異常も効果が……あれ?

黒蛇はそのまま止まり、そして灰のようなものになって崩れていく。

気配も消えていく。

第六感の嫌な感覚もなくなった。

もしかして、これで終わったのか?

いや、嘘だろ?

あんな強敵感出しておいて、もう死んだの?

第二形態になるんじゃないのか?

それで、あと二回変身を残してるんじゃないのか?

こっちはまだまだ戦いは続くと思って、琴瑟相和を使わずにとっておいたのに。

「魔物の気配がなくなったな。どうやら終わったようだ」

「泰良、お疲れ様。怪我はない? 回復薬(ポーション) ぶっかけておく?」

「ああ、なんか拍子抜けする終わり方だったけどな。体力も問題ないよ」

それにしてもあいつは一体なんだったんだ?

終末の獣――もしかして、地下深くに封印されているあの……

いや、考えてもわからない。

とりあえず、姫たちにもこっちは無事に解決したと連絡を――

『泰良っ!』

と噂をすれば姫から念話が届いた。

『姫、安心してくれ。こっちは無事に解決した』

『アヤメが倒れたの! 胸を抑えて苦しんでる! 急いで戻ってきて』

『なんだってっ!?』