軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョンルール変更

あと、ミコトの分身が見つけてきたアイテムで面白いものといえば――

【人魚の腕輪:水中で自由に行動できるようになる腕輪】

これが四つもあった。

通常の鑑定だとこれだけしかわからないが、詳細鑑定を使った結果、泳ぎがうまくなるうえに水中で呼吸をしなくても平気になるらしい。

「水の中ですか……戦えるといっても私の魔法はほとんど使えなくなりますね」

アヤメが微妙な顔をした。

まぁ、水の中だと風魔法を使っても威力は減衰するだろうし、雷魔法なんて水中で使ったら俺たちまで感電しかねない。

ミルクの魔法は火薬が湿ったら銃火器は全滅だろうし、火魔法系も使えないから、土魔法と光魔法、無魔法がメインになってくるな。

俺の水魔法は威力に期待できない。

続いて、姫のアイテムを見る。

キノコホイッスルという歩きキノコを召喚するアイテムか。

「これって地上でも使えるのか?」

「使えるんじゃない? なんで?」

「いや、地上で使えるなら、ベルトコンベアのところに召喚しまくって、プレス機で潰して、自動で魔物を退治できる工場とか作れるのかなって思って」

別に人間が笛を吹かないといけないわけじゃないなら、機械で笛を鳴らし続けることもできるだろう。

「できるかもしれないけど、地上で魔物を呼び出すとなると法律で厳しいわね。歩きキノコと言っても魔物であるには変わらないわよ」

そうだよな。

スライムであっても地上に連れ出して研究をするには許可がいる。

まぁ、俺たちには使い道はない。

青木だってもう歩きキノコ退治は卒業している。

使い道はゆっくり考えよう。

他のアイテムは――

「これはヤバイな」

「でしょ? 私にとってはこれが一番当たりじゃないかって思うのよね」

姫がドヤ顔で言うが、そんな顔になる気持ちもわからなくはない。

【ダンジョンルールブック:ダンジョン内のルールを一つ変更することができる】

どういう風にルールが変更できるのか気になる。

詳細鑑定を使っても出てこない。

「ダンポン、これってわかるか?」

「ちょっと待つのです」

「一時停止するのですよ」

ゲームを中断してダンポンたちがこちらを見る。

「ダンジョンルールブックなのですね! 凄いのです。これが世に出るのは十年ぶりで二冊目なのですよ」

「二冊目?」

以前にも手に入れることができた人がいるってわけか。

十年前ってことはダンジョンができて直ぐのころだな。

「泰良、早速使うのです?」

「いったいどんなことができるんだ?」

「使ってみないとわからないのです。キャンセルもできるのですが、その場合はアイテムは消失するのです」

「ちなみに、以前使った人は、ダンジョンの階層上限を撤廃、全てのダンジョンの階層を無限に潜れるように変更したのです」

無限に変更!?

そんな大胆なルール変更をした人がいたのか。

「……ん、エルフの世界のダンジョンは場所によっては階層の上限が決まってた」

「そういえば、エルフの世界のダンジョンには10階層までの低階層ダンジョン、20階層までの中階層ダンジョン、30階層までの高階層ダンジョン、無限ダンジョンの四種類があったっけ」

「……ん、無限ダンジョンは国に一つしかなかった。だから、この世界は全部無限ダンジョンで少しびっくりした」

そう考えると、俺たちにとっては便利だよな。

その一つのダンジョンに高レベルの人間が集中したら魔物の奪い合いとか日常茶飯事だろう。

ルール変更してくれた人に感謝だ。

「よし、使いましょう!」

「え? いや、世界中のダンジョンのルールを変更するんだろっ!? そんなの勝手にやっていいのかよ」

「みんなにとって得になることならいいんじゃないかしら? それに、こんなの政府に渡してみなさいよ。世界中で議論されて、首脳会議とかで決定することになるわ――だったら私たちでパっと使ってしまいましょ! どうせわかりはしないわよ」

姫が大胆なことを言う。

「マジ面白いな。そういう思い切りがいいの好きだわ」

青木が笑い出した。

胡桃里さんと水野さんは心配そうにしている。

他の三人は俺に任せるという感じで、ミコトはあまり興味がなさそう。

「使うのです?」

「ああ、使ってくれ」

俺も腹を括る。

すると、ダンポンが本を浮かせた。

本がパラパラとめくれて行く。

そして、その中から五枚のページが外れ、一枚一枚ゆっくりと並んでいく。

【宝箱のランクが上がる代わりに罠が仕掛けられることがある】

これは却下だな。

宝箱のランクが上がるのはいいが、罠によって怪我した人がいたら後悔する。

【魔物の経験値が二倍になる代わりにDコインが半分になる】

これも却下。

現在の俺たちにとっては異世界に行くためにDコインも必要だ。

【ダンジョン内にDコインを使用して利用できるショップができる】

これは保留。

店や施設ができることは悪いことじゃない。

【宝箱から極稀にダンジョン用の設置アイテムが出現するようになる】

これは保留。

さっきと違い、意味がわからない。

【ダンジョン内の全ての階層の入り口にAEDが設置される】

急に現実的かっ!?

いや、必要かもしれないが。

「宝箱と経験値二倍はダメね」

全員頷いた。

リスクが大きい。

Dコインで生計を立ててる人からしたら収入が半分になるわけだし。

「ダンポン、質問していいかしら?」

「はい、いいのですよ?」

「ショップって何が買えるの?」

「食品や飲み物、あとはトイレやシャワーの利用もできるようになるのです。あと簡易武器の販売や貸し出し、武器を預かったり取り出したりもできるし、換金もできるのですよ」

「あの、ダンポンさん。そのルールってダンジョン学園のダンジョンにも適用されるのですか?」

「ダンプルのダンジョンは僕たちのルールの外にあるから適用外なのです」

「……そうですか」

胡桃里さん、ダンジョン学園のダンジョンにショップが欲しかったのかな。

そういえば生駒山のダンジョンも十階層までしかなかった。

もしも無限階層のルールが適用されていたら、最下層のボスを倒すことなんてできなかっただろう。

「便利だけど、それだけね。ダンジョン用の設置アイテムっていうのは?」

「ロビーに設置するアイテムのことなのです。たとえば、この【招き根っこ】をロビーに設置すると、植物系の魔物の経験値が一割増になるのです」

ダンポンが手の形をした木の根っこ? を見せて言う。

「設置アイテムは一つのダンジョンに最大三個まで設置できるのです」

「また揉めそうな機能を――」

ダンジョン局がパニックになるぞ。

「それって、PDでも設置できるのか?」

「可能なのです」

「お宝ダンジョンには設置できないのです」

「あの、そのアイテム、ダンジョン学園のダンジョンに設置は――」

「そっちは可能なはずなのです。ダンジョン用設置アイテムを設置する機能は最初から備わっているのです」

うん、これが一番良さそうだな。

デメリットがない――ダンジョン局の仕事は増えるかもしれないが。

安心安全を考えるとAEDかもしれないけど――

「決めたわ!」

姫が最終決断を下す。

こうして、世界中のダンジョンのルールはここにいるメンバーによって勝手に変わったのだった。