軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

有馬山お宝ダンジョン

有馬温泉の近くに落葉山城――通称有馬城がある。

南北朝時代からあると言われているが、誰が築城したのか詳しい経緯はわかっていない。

城と言うと、身近なもので大阪城や姫路城をイメージするが、あくまで城跡ということで、あるのは妙見寺というお寺だけ。

ただ、有馬の温泉街を一望できるのは悪くない。

その山頂から少し離れた森の中を歩いていた。

俺たちだけだったら、高校生たちのハイキングと思うだろうが、その周囲を明らかにカタギではない黒服の人たち(公安の護衛)が後ろからゾロゾロとついてくるのは怖いな。

まぁ、トゥーナが一緒だからこうなることはわかっていた。

「お宝ダンジョンの説明できてよかったよ。本当に、このダンジョンを発見したイタリアの名もなき探索者に感謝だな」

「さっき押野さんが見せたページに、発見者の名前も書いてありましたよ? エンリコ・ヴェルディーニさん」

「いや、そこまで読んでない。ポルトガルの航海王子と同じ名前なんだな」

「航海王子はエンリコじゃなくて、エンリケだね。あと、書いてあったのは一行目だったよ」

「……そこから読んでない」

アヤメとミルクに訂正された。

論文の内容を読んでいないのは仕方ないとして、エンリコとエンリケは間違えたのは素だから少し恥ずかしい。

仕方ないじゃないか、俺は社会の授業は日本史を選択してるんだから。

日本史に詳しいとは言ってないけど。

「チーム 救世主(メシア) のベータもミルクたちの前では形無しだな」

青木が他人事のように笑って言う。

「お前だって、エンリケ航海王子とか知ってないだろ?」

「エンリケ航海王子は知らないけど、戦う〇書のエンリケ=ビ〇ハイルなら知ってるぞ。あとはロマ・〇ガ2の――」

青木がよくわからないこと続ける。

全然わからない。

「バカなこと言ってないで、ここから脇道に逸れるからちゃんとついてきなさい」

地図とスマホの地図を頼りに、姫が山の奥に進む。

そして、そこにお宝ダンジョンの入り口があった。

やはり扉には南京錠がかけられている。

淡路島で見たお宝ダンジョンと同じだな。

インベントリから鍵を取り出して鍵穴に挿し込むと、南京錠と鍵が消えた。

「では、いまから豊穣の儀式を行うぞ」

ミコトがお宝ダンジョンの宝箱の量を増やすための儀式を執り行う。

へぇ、結構神聖な雰囲気を出すんだな。

「私たちはこれからこのダンジョンに入るから。これ、ありがとう」

姫が持っていたスマホを公安の人に渡す。

あれ、姫のスマホじゃなかったのか。

そういや、俺もスマホとか電子機器はダンジョンの中に持って入れないから旅館に置いてきたわ。

こっそりお宝ダンジョンと少し離れた場所にPDを設置し、中に入ろうとして改めて人数を数える。

「あの、いまさらっすけど、これ、何をしてるっすか?」

「え?」

振り返ると、キサイチくんを抱いた胡桃里さんがいた。

「え? 花蓮ちゃんついてきちゃったの!?」

「やっぱりまずかったっすかっ!? みんなで茶道教室に行こうかと思ったら、水野先輩たちがどこかに行こうとしてたっすから、慌てて追いかけてきたっす。合流したかったっすけど、黒服の人たちに邪魔されて中々追いつけなかったんすよ」

あぁ、公安の人たち、横列になって道を塞いでいたからな。

明石さんは胡桃里さんがいないことに気付いていただろうが、俺たちがスマホを持ってきていないから連絡できなかったのだろう。

とりあえず、公安の人にもう一度スマホを借りて、姫が明石さんに胡桃里さんがこっちに来ていることを連絡している間に、水野さんが今の状況を説明する。

「え? お宝ダンジョンっ!? そんなのがあったっすか!?」

「うん。どうしよ? 八人しか入れないし。私、やっぱりお留守番してよっか?」

「大丈夫です。私かミコト様が腰巾着を使えば九人まで入れますから」

そういえば、その手があったんだな。

とミコトが儀式を終わった。

ここでミコトに腰巾着を使わせたら「用事が終わったらそれかっ!」って怒られそうだし――

「では、私が壱野さんの腰にくっつきますね」

「……う、うん」

アヤメが俺の腰に手を当てて言う。

別に俺じゃなくて女の子同士でもいいと思うのだが、ミルクと姫が何も言わないあたり、このあたりは容認されているということか。

ということで、改めて九人でお宝ダンジョンの中に入る。

「あれ? バックしてるのです!? どうやったら前に進むのです?」

「わからない、あ、進んだのです! このボタンを押したらいいのですよ」

お宝ダンジョンの中では二人のダンポンが楽しそうに遊んでいた。

俺がプレゼントしたゲームとテレビが役立っているようだ。

「ダンポンさん、初めて見た。うちの 学園長(ダンプル) と見た目は一緒だけど雰囲気は全然違うんだね」

「なんで二人でマ〇カーしてるんだ?」

青木が冷静に疑問を呈する。

うん、まぁおかしいよな。

PDを設置して五分も経っていないのに、なんでもうゲームをしてるんだよ。

「ダンポン、来たぞ」

俺は炭酸せんべいの入った箱を持って言う。

「あ、タイラ! いらっしゃいなのです。あ、それお土産なのです?」

「お客様、久しぶりなのです。二回目だから説明はいらない……あれ? 人数が多いのです。一、二、三……八人?」

「私もいます」

「九人もいるのですか?」

アヤメが腰巾着を解除して俺の横に立った。

「ダメか?」

「ダメじゃないのですよ。マ〇カーだってsw〇tchは通常二人プレイでも、条件が揃えば最大八人までプレイできるのです。ただ、部屋の数は八個までしか用意できないのです」

「そうなのか?」

やっぱり一人だけ留守番か?

だったら――

「なんじゃ? 妾は潜るぞ? ここの宝箱を開けるために来たのじゃからな」

なんでミコトがここまで宝箱に拘ってるんだ?

「だったら私と花蓮ちゃんが一緒に潜るよ。安全だって言われても一人でダンジョンに潜るのは怖いし」

「はい! あたしも一人だと心細かったっす。水野先輩、お伴するっす!」

ということで、改めて九人、八組でお宝ダンジョンへと入った。