軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キツネとスキルは使いよう

有馬温泉の慰安旅行二日目。

そして、俺たちにとってはメインイベントの日でもある。

「泰良、今日はどうするんだ?」

「一応、茶道体験の施設を予約しているから参加できるぞ。俺たちは別件で用事だ」

「別件ってなんだ? 昨日すべった宴会芸のリベンジに備えて練習か!?」

「それを言うなっ!」

昨日の夕食、めっちゃ豪華で美味しかったし、事務員のみんながそれぞれ余興を用意して披露してくれた。

それで、面白かった! で終わったらいいのに、青木の奴が俺にも何かするように誘導してきて、結果、俺が宴会芸をするはめになったが、めっちゃ滑った。滑り倒した。

俺、受験生なんだけど。

半分内定貰ってるようなものだけど、それでも滑るのは怖いぞ。

「悪かったって。特別に炭酸せんべいやっただろ?」

「部屋に置いてあったやつな――美味かったけど」

美味しかったので、実家の分と兄貴の家の分と閑さんの分、あとダンポンと俺の分で合計六箱購入したくらいだ。

一箱多いのは、ダンポンの分として、PDとお宝ダンジョンのダンポン、それぞれに購入したからだ。

「で、別件ってなんだ? 言えないことか?」

「んー、言っていいのか?」

「お宝ダンジョンに行くのよ」

そう言って姫が入ってきた。

この旅館の部屋はオートロックでもないし鍵を開けていたら出入りは自由だけど、ノックくらいしろよ。

「言っていいのか?」

「お宝ダンジョンについては問題ないわ。これを読んでみなさい」

姫がスマホで何かを見せてくれた。

見せてくれたのはいいのだが――英語で書いてあるから内容が全くわからない。

「って、イタリア語だから読んでもわからないわね」

イタリア語だった。

中途半端な日本語に翻訳されたページを見せてくれようとしたが、結構長いのでわかりやすく要約してもらう。

すると、十月の時点で『宝の地図』が発見され、お宝ダンジョンについての情報も公表されたそうだ。

お宝ダンジョンはPDと違って俺たち専用というわけではない。

日本でも七年前にお宝ダンジョンを利用した人がいたみたいだし。

と話を聞いていたら、ミルク、アヤメ、トゥーナ、水野さんも入ってきた。

「へぇ、そんなダンジョンがあるのか。俺も行ったらダメか? もちろん手に入れたアイテムは全部泰良に渡すからよ」

「悪いが、お宝ダンジョンはパーティメンバーしか入れないんだよ」

「……ん、だったら、ここにいる七人でパーティを組めばいい」

「いや、トゥーナ。パーティは四人まで……って何食べてるんだ?」

トゥーナが棒状のものを食べている。

「……ん、炭酸せんべいカレーパン」

なにそれ?

有馬駅の駅前に売ってた?

マジで?

パンの周りに砕いた炭酸煎餅が散りばめられていて、ほんのり甘くてスパイシーで美味しい?

そうなんだ――あとで買って食べてみよう。

「泰良、話が逸れてるわよ。それで、トゥーナ。七人でダンジョンに入れるの?」

「……ん、二人まで臨時パーティとして追加できるスキルがある。それを使えばいい」

「トゥーナが二人追加しても一人足りないぞ?」

「……泰良様も同じスキルを持っている」

「俺はそんなスキル持ってないぞ」

「……妖精の輪」

妖精の輪?

そういえば、そんなスキルを持っていた。

「妖精の輪ってそんな効果だったのか? ただ、エルフ同士が仲間と認識するためだけのスキルだと思ってた。なんで教えてくれなかったんだよ」

「……? 知らなかった?」

知らなかった。

「つまり、俺とトゥーナがいたら、八人までは入れるってことか?」

「……ん、そういうこと」

「じゃあ、水野さんも入れるのか」

「え? でも、私、ダンジョンはやっぱり怖いかな? それに弟と妹もいるし」

「大丈夫だよ。お宝ダンジョンには攻撃してくる魔物は一匹もいないから」

「それに、あの子たちは明石たちが面倒を見てくれてるわ」

あの兄妹、昨日の夕食時も事務員のみんなと遊んでもらっていたしな。

「じゃあ、俺たち七人で入るか? それとも胡桃里さんを連れていくのか?」

「だったら妾もパーティメンバーとして一緒に行くのじゃ」

と言ってミコトが現れた。

「狐耳のじゃ巫女娘!? タイラ、この子は誰だ!? 仙〇さん!? 仙〇さんなのかっ!?」

「トゥーナの召喚獣のミコトだよ」

アニメキャラの名前を連呼するな。

「どうじゃ? これで八人のメンバーが揃ったな!」

「ミコト、パーティメンバーが増えたところで宝箱の数が増えるわけじゃないし、別に来なくていいぞ?」

「おや、そんなことを言っていいのか?」

ミコトが腰に手を当て、ドヤ顔で言う。

なんだ?

「妾の(神としての)権能は豊穣じゃ。トゥーナのごえ――召喚獣となってから溜め込んだこの力、存分に使えば一時的じゃが、ダンジョン内で手に入る宝箱の数を倍くらいには増やすことができるぞ?」

ガチかっ!?

いなり寿司を食べているだけのなんちゃって神様じゃなかったのか。

「つまり、メンバーが八人に増えても一人当たり手に入る宝箱の数は前回と一緒ってことね。だったら、八人全員で行きましょ」