軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

研修会の後に

研修の開始時の内容は、まず日本国内のダンジョン内の死傷者数から始まる。

万博公園ダンジョンや石舞台ダンジョンのような事件はなくても、やっぱり死者はいるんだな。

今回、一番死傷者数が多いのは二階層らしい。

探索者が身の丈に合わない武器をダンジョンに持ち込んだ挙句、その武器をゴブリンに奪われた結果、その武器で殺されるらしい。奪われた探索者だけでなく、全く関係ない人まで巻き込まれる。

あとは二十階層以降でもひとり死んでいる。

ここからは安全マージンもないからな。

結構有名な探索者で、ニュースになっていた。

次に法律について。

6階層より下に潜る場合、一つのパーティにつき一つ配信クリスタルの携帯が義務化されることになった。

配信クリスタルを持っていない場合は受付でレンタルをしなくてはいけなくなる。

それに伴い、ダンジョン内の救護義務も法律として義務化された。あくまで努力義務ではあるが、EPO法人の探索者は他の探索者の見本になるように持っていくようにと言われた。

怪我人を発見した場合、可能ならば治療、それができない場合は配信クリスタルを用いて応援要請をする必要がある。

交通事故の場合と違い、加害者でなくても罰せられる。

迷宮内遺棄罪という地上とは違う罪状で、懲役一年以下の処罰の対象になる。

それに伴い、ダンジョン内で怪我人を見つけたときの救護方法について学んだ。

なんか、学校でも小学校とか中学校で学んだ奴だが、状態異常の人の薬以外での治療とかは結構興味があった。

ここまではお勉強会だな。

次に、ダンジョン局で新たに販売されるアイテムについて。

水野さんが魔道具を開発してくれているように、世界中でも新しい魔道具は次々に開発されている。

明らかにネタアイテムから、便利そうな魔道具まで様々なものがある。

この、フィンランド産の各属性のボウガンの矢とかは普通に便利そうだが、かなりのお値段がする。

国内で販売されていない海外産の魔道具もダンジョン局でも輸入販売してくれるらしい。

『この魔石コンロって欲しいかも……火力10段階調整可能だって』

『ダンジョンの中でも使える万歩計は距離を測るのに良さそうです』

『時間差で大きくなる投げナイフだって……クナイか手裏剣で作ってくれないかしら?』

女性陣から念話が飛んでくる。

買い物を楽しんでいるみたいだな。

国内で新たに販売している魔道具についても紹介されていた。

このダンジョン内で使える方位磁針は普通に便利そうだ。

ダンジョンの中って普通の方位磁針は使えないんだよな。

製作者はトヨハツ探索開発部……トヨハツ探索か。

トヨハツにも鍛冶師がいるんだな――あの規模の企業だと当然か。

ただ、水野さんみたいに魔道具製造スキルではなく、水野さんのところで働いている子みたいに簡易魔道具作成スキルで作っているみたいだ。

次に行われたのは、今年度のダンジョン局の予算の使われ方についての報告が行われ、最後に貢献値ランキングが公開された。

1:讃岐造(1,297,211)

2:トヨハツ探索(538,421)

3:天下無双(377,744)

4:月見里研究所(304,289)

5:ダンジョンシーカーギルド(290,541)

前回と算定方法が変わっていて、全体的にポイントは半分くらいになってる。

俺としては十分な結果に思えるが、姫はなんか不服そうだ。

だけど、算定方法も公開されているので見てみると、トヨハツの依頼達成数が天下無双の十倍くらいあったから、追いつけないのも納得だ。

というか、俺たちが上位にいるのって、水野さんの魔道具の納品が大きいぞ。

実は彼女がうちの真エースじゃないだろうか?

んー、来月の冬休みは本格的にクエスト受注しようかな?

でも、ダンジョン局は年末年始休業だからクエストの報告ができないんだよな。

と考えていたら研修は終了。

さて、これから名刺交換再びかな? と思ったら、

「それと、トヨハツ探索、天下無双、月見里研究所の方々。少し話がありますのでこちらに来てください」

局長さんが申し訳なさそうに、だが有無を言わせる様子もなく言う。

一体何があるのだろう?

名刺の交換タイムが無くなったのは少しラッキーだけど。

そう考えながら、俺たちと本城さんと、一緒に来ていた兎束さんと一緒に別室に移動する。

廊下もなぜかさっきより多くの人がいる。

一体何が待っているのだろう?

研修会場よりも狭い部屋に通された。

「ああ、皆さん、すみません。東京本部の研修がまだ終わっていないみたいでして」

局長さんが時計を見ながら言う。

部屋の後ろには飲み物、ジュース、お弁当とサンドイッチがあった。

ま〇泉のカツサンドがある。

お茶の時以上に太っ腹だな。

「少し小腹も空きましたのでいただきましょう」

「さすがにビールはありませんね」

本城さんと兎束さんはそれぞれ助六寿司、九つのマス目になっているお弁当を選んで持っていく。

俺はヒレかつサンドにしようかな? と思ったが、牛ステーキ弁当があったのでそれを貰った。

ミルクたちもそれぞれお弁当を選び、席に着いて食べる。

このステーキ、冷めてるけどうまいな。

玉ねぎのソースがいいんだな。

「しかし、これはただ事ではありませんね」

ヒレカツサンドを食べながら、本城さんが兎束さんに声をかけていた。

「所長、何か気付いたんですか?」

「さっき、廊下にいたのはダンジョン局の職員ではなく、防衛省本部の人間です」

本城さんが言った。

ダンジョン局は防衛省の管轄だから、防衛省の人間がいてもおかしくないのでは?

「皆さん、お待たせしました。これから話をする前に、一つお願いがあります。これから話すことは絶対に外部に漏らさないようにお願いします。これを破ったら、即時EPO法人の資格をはく奪することになります」

俺たちは頷き、口外しない約束をする。

『これは本当に大変な事態ね』

姫から念話が届く。

個人のものではなく、四人のグループ通話のようなもので。

『EPO法人の資格って、ダンジョン局が単独で認定、剥奪できるものじゃないのよ』

『今回の件、ダンジョン局より上、たぶんさっき本城さんが言っていたように防衛省が関わっているということですか?』

『そうでしょうね』

そして姫たちの予想は当たった。

スクリーンに東京本部の映像が写しだされ、そこには俺たちの見知った人物――上松防衛大臣がいた。

それだけではない。

富士山のダンジョンを攻略しているはずの竹内さんや牛蔵さん、それについ先日会ったばかりの不破さんまで東京のダンジョン局本部にいる。

これはタダ事じゃない。

そんなヤバそうな案件だったら、ステーキ弁当じゃなくて俺もサンドイッチとかにしておけばよかった。