軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

京都ダンジョン20階層のボス

なんか視聴者数が大幅に減った気がするが、20階層のボス部屋に辿り着いた。

京都ダンジョンの20階層のボスは鼬神という鼬の魔物。

口から可燃性のガスを噴射し、それが時間差で爆発する。無色無臭のそのガスは、察知して避けるのが難しい。

ただ、ガスは鼬神が噴き出したその場に沈むため、動き回る鼬神の軌道を確認し、そいつが通った場所に近付かずに遠距離から攻撃をするのが正攻法の攻略手順らしいが、

「アヤメ、頼む!」

「はい! 解放:『 火花(スパーク) 』!」

アヤメから火の粉が飛んできて、俺の肩にぶつかった。

全然熱くない。

〔いきなりフレンドリーファイア?〕

〔火だけに?〕

〔しかしこうかはいまひとつのようだ〕

〔ベータさんの着ているコートは火耐性だから〕

〔でも、なんでガンマさんはベータさんに攻撃したの? 仲間割れじゃないよね?〕

おっと、視聴者から疑問が。

このスキルは説明してもいいか。

俺たちのスキルの説明については、一部は秘匿していて、たとえ配信中にスキル名や魔法名を喋ってしまっても自動的に規制が入り配信されないが、別に解説してもいいスキルについてはその規制は入らないし、説明するかどうか、明かすかどうかは自由に任されている。

「俺には対応力っていうスキルがあって、属性攻撃を受けると、一定時間その属性に耐性を持つことができます」

と説明をする。

〔ベータ氏、解説㌧クス〕

〔ナイス対応!〕

〔つまり、ベータさんを魔法で倒そうと思ったら一撃で倒さないといけないわけか〕

倒さないでくれ。

俺はそう思いながら、鼬神を引き付ける姫のところに行く。

「遅い!」

「悪い、交代する」

「気を付けて、ガスが溜まってるわよ」

姫が言った。

「わかった!」

俺は姫と入れ替わり、剣を抜いて鼬神に接近する。

そして、斬りかかる。

さて、俺なら一撃で倒すことができるが――

直後、ガスが爆発した。

俺の視界が爆炎に包まれる。

が、全然熱くない。

とりあえず喉を焼かないように口と鼻を手で塞ぐ。

そして、爆炎が消える前に、鼬神が接近してきた。

鼬神もまた火の属性に耐性を持っているのだろう。

まぁ、自分の爆発に巻き込まれて死ぬような間抜けじゃないってことか。

自爆攻撃だったら楽でいいんだけどな。

俺は鼬神の攻撃を躱し、

――二刀流応用剣術、双剣竜巻切り。

二本の剣を振ると、竜巻が炎をからめとり、炎の竜巻となって鼬神を呑み込んだ。

ずたぼろになりながら宙を舞う鼬神に対し、

「完全武装解放!」

ミルクの周囲に念動力によって展開した五本の銃から一斉に銃弾が放たれた。

並列思考にも慣れて来たのだな。

銃弾を放つには 火薬精製(クリエイトガンパウダー) と 熱石弾(ホットストーンブレット) をほぼ同時に発動させている。それを五発同時に放つということは、魔法を十種類同時に放つということ。

並列思考がなければ普通の人間にはここまで連続で魔法を放つことはできない。

蜂の巣状態になった鼬神に対し、さらにオーバーキルとばかりに、

「解放: 神風雷槌(ゴッドブレスハンマー) !」

アヤメの雷と風の融合魔法が鼬神を呑み込んだ。

残ったのは毛皮のコートと巨大な魔石、そしてDコイン。

ふぅ、疲れた。

本当なら、双剣竜巻切りで倒せる――いや、そもそも囮役をしていた姫一人でも倒せたんだが、せっかくのダンジョン配信なので魅せる戦いをしようということで、こんな派手な戦いになった。

〔勝った!〕

〔あの爆発を見たときは(物理的に)炎上動画かと思った〕

〔二十階層のボスが本当に雑魚扱い〕

〔チーム 救世主(メシア) しか勝たん〕

〔炎上は物理じゃなくて化学〕

〔今(吐いて)戻った。ボス退治見損ねた。誰がトドメ刺したの?〕

〔ガンマちゃん。風と雷の複合魔法。あの威力なら万全の鼬神でも一撃で倒せたと思う〕

〔ベータさん、ガンマさん、デルタさん。三人の攻撃も一騎当千クラスの威力だよな〕

〔地味に見えるけど、あの速度の鼬神を避け続けたアルファ様もヤバイ。ベータさんがワイたちにスキルの説明をしていられたのも彼女の回避タンクとして信頼しているからだろうな〕

〔ベータ氏はいくら火耐性持ってるといっても、なんであの爆発の中で無傷なの? イフリートの加護でも持ってるの? 実は元から燃えてるの?〕

〔デルタさんが銃を浮かべて撃ちまくるとか……ダンジョン配信動画だと思ったら、SF配信だった?〕

〔戦ってるところ見たかった〕

コメントが次々に流れていく。

うん、評判は上々だな。

「みんな、この配信は明日までにはアーカイブ配信する予定だからちょっと待ってね」

姫が笑顔で言った。

まぁ、視聴者の何割かは途中走っているときに気分が悪くなって退出していたからな。

アーカイブ配信では、走っているところは入れない方がいいかもしれないな。

この程度なら休憩も必要ないので、二十一階層に移動した。

〔京都ダンジョン二十一階層は景色が幻想的〕

〔I heard it was a dungeon in Kyoto.〕

〔こんにちは! 京都ダンジョンの二十一階層は外人さんにも大人気だからな〕

幻想的な風景?

森のダンジョンだって聞いたけど、木漏れ日とかが綺麗なのかな?

そう思って中に入った。

二十一階層の部屋の先にあったのは砂利の道――その先には赤い社。

そして振り返ると、そこにあったのは……社。

「え? 神社?」

二十一階層の入り口は神社だった。