軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

長い階段

浅草ダンジョンの22階層もやはり質問に答えて進む。

途中、ミルク、姫と別行動になり、いまはアヤメと二人だ。

「まるで性格診断をしているみたいですね」

「本当だよな。最後に診断シートでも発行してくれたら人気が出そうだよ」

キングさんもこんな風に分かれ道の質問に答えながら進んだのだろうか?

あの人ならこういう分かれ道を無視して、一気に下の階層に行くスキルを持っていても不思議じゃないな。

「残念です。私はこっちですね」

「ああ、俺はこっちだな」

戦うポジションは前衛か後衛かって質問だったので、迷うことなく分かれた。

たぶん、これまでの流れで考えると、前衛と答えたら前衛向きの魔物か前衛向きの装備が手に入る宝箱、後衛と答えたら後衛向きの魔物と戦うか後衛向きのアイテムが手に入る宝箱を発見することになるのだろう。

現れた敵は猫のような魔物だった。

試しに遠距離攻撃を使ったらどうなるのだろう? と魔法で火の矢を放つと、猫はその矢を掴んで逆に打ち返して来た。

火の矢を躱す。

俺の魔法反射に似ているな。

もっと強力な魔法――たとえば 地獄の業火(ヘルファイア) のような魔法でも打ち返せるのだろうか?

手前で爆発させれば?

とか考えるが、失敗したときのことを考えると、そんな無謀なことはできない。

影獣化して殴って黙らせることにした。

魔法とはいえ矢を掴んで打ち返す技術を持っているのだから、格闘でも苦戦するのかと思ったが、大したことはなかった。

対遠距離攻撃特化の魔物なのだろうか?

落ちていた小判を拾ってインベントリに収納し、さらに奥に。

分かれ道と合流を繰り返して、さっきのように23階層への階段を目指す。

今回は俺は三番目だった。

ミルクと姫はずっと一緒に行動していたらしい。

俺が到着して一分もしないうちにアヤメと合流。

「じゃあ行こうか」

この先にキングさんが待っている。

二十三階層へと降りていく。

階段がいつもより長く感じる。

やはりキングさんがいると思うと緊張するのだろう。

一段一段、階段を踏みしめるように降りていく。

しかし、やっぱり階段はいつも通りの長さで、二十三階層の祭壇に辿り着いた。

いつも通りの祭壇だ。

別の滅んだ世界の風景写真が飾られている。

「キングさんがいませんね」

アヤメが周囲を見て言った。

約束の時間もなにもないからな。

少しくらいなら待つ覚悟はできている。

「どうする? トランプでもする?」

「トランプの出番はなさそうだ」

その気配は突然現れた。

キングさんと、そしてダンプルもいる。

「待たせたね。もっとも、本当の意味では待っていたのは僕たちの方だけど」

「ダンプルくん、余計なことは言わなくていい」

やっぱりキングさんはこのダンジョンの別の階層にいて、俺たちがここに来るのを待っていたのか。

「…………ダディ」

「話は移動しながらしよう。ついてくるんだ」

そう言って、キングさんはどこからともなく大きな剣を取り出す。

ついてこいって言われて剣を取り出すってどういうことだ? と思っていたら、彼は刃を横に向け、なんと中央の円卓を横に切った。

その先にあったのは24階層に続く階段とは別のもう一つの階段があった。

「これって――」

「急ごう。早くしないと塞がってしまう」

キングさんが新しい階段を下りていく。

「え?」

見ると、祭壇の切断部分から徐々に修復が始まっている。

この様子だと数分で元通りになってしまい、中に入れなくなるだろう。

俺たちはキングさんと一緒に階段を下りていく。

長い階段だ。

23階層に続く階段は長い気がしたが、今回の階段は本当に長い。

いったいどこまで続いているんだ?

もしかして地獄の底まで続いているんじゃないかと思っている。

「ダディ、ここはなんなの?」

姫が尋ねる。

「僕が説明してもいいのですよ」

声は突然現れた。

ダンポンだ。

「お客様、お久しぶりなのです」

「久しぶり?」

ってことは、PDのダンポンじゃないよな?

どこのダンポンだ?

何人かのダンポンとは会ったことがあるが、俺のことをお客様と呼ぶダンポンは限られる。

PDのダンポンも最初は俺のことをお客様と呼んでいたが、しかし、最後まで俺のことをそう呼んでいたのは一人しかいない。

「お前、もしかして淡路島の――!?」

お宝ダンジョンで出会ったダンポン!?

でも、こいつはたしかお宝ダンジョンがその役目を終えてダンジョンが崩壊すると同時に死んだはずだ。

その証拠として、こいつが眠っていた卵を俺は祭壇に届け――祭壇に――

ここは祭壇の中!?

「お客様がちゃんと卵を届けてくれたから、こうして星の中に還ることができたのです」

「星の中? まぁ、確かに地球の中心に向かってるよな」

もうどれだけ降りたんだ?

ここがダンジョンの中じゃなくてステータスによる体力の底上げがなければ、明日は筋肉痛で脚がパンパンになってるところだ。

「お客様、意味が違うのです。物理的な星の中ではないのです」

「どういうことだ?」

「僕たちは世界という概念の中心へと近付いているのです」