軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

戦うパペット

家に帰ったところ、既に姫が来てPDに潜る準備をしていた。

ミルクとアヤメはまだ来ていない。

ちょうど姫に用事があったので都合がいい。

「泰良。それが例のパペット?」

「ああ。エルダートレントの丸太で作ったものだ。戦闘用のカスタマイズしてそこそこ強いぞ。これで水野さんのパワーレベリングができるな」

戦闘仕様パペットが手を挙げる。

挨拶もできるとか、本当に頭がいい。

「それと、水野さんからこれを預かってきている。籠手とクナイ。クナイは風魔のクナイほどじゃないけど、普段使いには悪くないだろ?」

「これ、ミスリルのクナイ!? 国内にミスリル製の装備を作れる鍛冶師はいないはずなのに」

鍛冶師が作る装備には適性値というものがある。

単純なレベルではなく、攻撃値と技術値の数値、そしてスキル補正により決まる値だ。

ミスリル製の武具を作ることができるのは、世界でも有数の鍛冶師のみ。

その適性値に達していない鍛冶師が武器を作ろうと思ったら、マイナス補正が掛かる。

「水野さんのレベルだとまともなミスリル製の武具は作れないよ。実際、作って見たところマイナス補正だらけで、鉄製のクナイを使った方マシな出来だったみたい。それでも形になるだけでも大したものだよ」

「だったら――あ、そっか」

姫も気付いたようだな。

水野さんはリセットハンマーを使った。

リセットハンマーを使えば、マイナス補正もプラス補正も全てなかったことにできる。

俺の布都御魂のマイナス補正を消し去ったように、自分の失敗作をプラスマイナス0の成功作に作り替えたのだ。

「ミスリルの籠手もいいわね。素材としても一級品だし、軽くて動きやすい。それになにより、私のサイズにピッタリなのがいいわ!」

「鍛冶師のレベルが上がればミスリルの 鎖帷子(くさりかたびら) も作りたいって言ってたな。さすがに今のレベルだとそこまで細かい加工はできないみたいだが」

「ミスリルの鎖帷子っ!? とっても素敵ね!」

既製品だったりダンジョンの宝箱から出てくる鎧や服などの大半は姫のサイズには合わない。そのため、彼女の装備品は海外の鍛冶師のオーダーメイドなのだが、その鍛冶師のレベルでもミスリル製の鎖帷子は作れないらしい。

「それで、あっちの方はどうだったの?」

「案の定、進展なしだ」

先程の不良たちが目を覚ましたそうだ。

俺たちを襲ったことは覚えていたが、黒い蛇については何も知らないらしい。

ただ、四人ともダンジョンに潜ったことはないらしく、ダンジョンの魔物が原因ではないのは明らかだ。

問題は、俺たちを狙ったのかどうかわからないってことかな。

本来なら、たまたま襲って来た不良の中に呪いの蛇がいたなんてただの偶然なわけがないんだが、俺の幸運値が引き寄せた事件と考えたら、本当にただの偶然かもしれないってことだ。

「それで、不良たちはどうなったの? 留置所で臭い飯を食べさせてから解放?」

「いや、別件で余罪がいろいろと発覚したらしく、あとは司法の判断に任せる」

「そういうことならそれでいいわ」

その後、ミルクとアヤメと合流し、パペットと一緒にPDに。

パペットはアイテム扱いなので、普通にPDに持って入ることができる。

ダンポンは相変わらず、ダンプルの調査をしてくれている。

俺たちはとりあえず、21階層に移動した。

てんしばダンジョンを元に創られたこの階層の主な敵はメタルフライフィッシュとブロンズゴブリンだ。

とりあえず、パペットに大きなミスリルハンマーを持たせる。

自分の身体よりも大きなミスリルハンマーをパペットは軽々と振り回した。

ミスリルは軽い金属であるが、ハンマーの中身は鉛にしてミスリルでコーティングしているだけなので、かなり重いはずなのだが余裕そうだ。

力持ちだなぁ。

「ミルク、さっそくだが――」

「うん、わかったよ」

ダンジョン内ギミックのベルトコンベアからメタルフライフィッシュが二匹流れてきて、宙に浮かぶが、ミルクが取り出した銃で即座に麻痺弾を撃ち込む。

機械系の魔物に猛毒弾は一切通じないが、麻痺弾はよく効く。

麻痺石は雷属性の攻撃らしい。

ちなみに、ゴーレムは猛毒弾も麻痺弾も全く効果がないが、鈍重弾がよく効く。

もう一匹は俺が――

「解放: 短距離転移(ショートワープ) からの猫の手!」

俺はメタルフライフィッシュの背後に回り込み、猫の手を使ってメタルフライフィッシュをパペットの前方に殴り飛ばす。

猫の手によってスタン状態になったメタルフライフィッシュがパペットの前に落ちた。

「よし、パペット! ハンマーで倒せ!」

パペットが頷き、巨大ハンマーをメタルフライフィッシュに叩きつける。

ダメージを与えているが、まだ倒せていないな。

気配が残ってる。

「もう一度だ!」

二度、三度と叩きつけパペットはメタルフライフィッシュを倒した。

そして、二匹目の麻痺状態になったメタルフライフィッシュに向かう。

休憩なしだ。

パペットはよく働く。

「気絶しているといってもほとんど無傷のメタルフライフィッシュを三発で倒せるのか。青木より楽にパワーレベリングできそうだね」

ミルクが言った。

俺も同意見だ。

これで水野さんのレベルを一気に100まで押し上げたい。