軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

パペット作成

水野さんの家に着いた。

相変わらずの豪邸っぷりだが、家庭菜園の面積と飼っている鶏の数と置かれている水槽の数が増えている気がする。

クロはシロと一緒に庭で遊ぶ模様。

「あ、これお土産。若草山ダンジョンで採れたダンジョン栗とダンジョン松茸。あと普通の種なし柿」

「わぁ、ありがとう! って栗、こんなに食べきれないよ」

いやぁ、あのトレント栗、めっちゃ栗を落としたからなぁ。

「バイトの子にお裾分けしたらいいんじゃない? そういえば今日はバイトの子は来ないの? 花蓮ちゃんだっけ?」

「うん、今日は休みだよ。さすがに土日で合計16時間、フルタイムで働いた後はしっかり休まないとね」

休むって、学校は?

ずっと働いていたら学校の勉強はむしろ気分転換?

うん、わかるわかる。

俺もずっとPDに潜っていて、学校の授業を気分転換にしていた時期がある。

でも、それって危ない症状だから、ちゃんと休んだ方がいいよ。

日曜日休みにする? それだと納期に間に合わない?

いや、さすがにそれって、学生の範疇を超えているよ。

姫に頼んで納品数を減らしてもらおう。

ダメ?

既に仕事は水野さんのところだけでなく、部品の作成に他の企業も関わって来ていて、水野さんが仕事の数を減らせば、関係各所の仕事も減ってしまうから、迷惑がかかる? 既に事業拡大のために近い企業は設備投資をしているから迷惑を掛けられない?

自分たちも中小企業だから気持ちはわかる?

ごめん、水野さんのことを気遣ったつもりだったんだけど、そういうことなら……うん。

「それに、パペットができれば仕事を手伝ってもらえるから、きっと楽になるよ」

「パペットっていってもスキルはないんだろ? 魔道具作成の手伝いとかできるの?」

「無理だよ。でも、仕事って魔道具を作って終わりじゃないから。荷物を運んだりするのも仕事だしね。それに、日常の家事を手伝ってくれるだけでも大助かりだよ」

「そんなことができるの?」

「たぶん、AI技術を駆使して家事ロボットを作るよりは楽にできると思うよ」

最新鋭の技術、魔法の超とんでも文明に手も足も出ず……か。

そういえば、ダンジョンができて半導体関連の株価が下がったってニュースで聞いた気がする。いずれこうなることがわかっていたのか。

「じゃあ作ってみるね。最初は普通のエルダートレントの丸太で作るよ」

水野さんがそう言ってナイフを取り出して、エルダートレントの丸太の加工を始める。

あ、そこはスキルで作るわけじゃないのか。

人形の形に彫るのかと思ったら、細かいパーツに分かれているようだ。

手の指一本だけでも四つくらいのパーツに分かれている。

穴をあけているので、中に紐を通すようだ。

「凄いな。スキルでそこまで器用に人形が作れるのか」

「ううん、まだスキルは使ってないよ」

「え!? 使ってないの!?」

「うん。スキルは最後の部分だけ。元々細かい作業は得意だったけど、鍛冶師の覚醒者は技術のステータスが上がりやすいから前より早くなったよ」

「俺も技術は2000以上あるけど、そんなのできそうにないよ」

「そこは練習をしないとね」

練習――やっぱり練習が必要か。

水野さんはパーツを何本もの糸で繋げた。

ずんぐりむっくりって感じで可愛らしいが、この状態だと自分で立つこともできない人形だ。

最後にスキルを使った。

すると、パペットが自立して立ち上がった。

「よし、成功! パペットくん。一歩前に!」

パペットが一歩前に進む。

「一歩下がって、右向け右! 左向け左! 回れ右!」

パペットが言われた通りに動く。

「そこの机の上に置いてある鉛筆を持って戻ってきて」

パペットは頷きもせずに机に向かい、ジャンプして机の上にある鉛筆をキャッチして、歩いて戻ってきた。

おぉ、器用なもんだ。

力は強いはずだけど、鉛筆を握りつぶさないくらいの力加減もできている。

「よくできたね。えらいえらい」

水野さんがパペットの頭を撫でる。

「本当に凄いよな。今度はパペット作りで忙しくなったりしない?」

「その点は心配ないよ。パペットは製作者の命令しか従わないし、一度に数体しか操れないから販売はできないから」

「ふぅん。じゃあ、どこまでできるんだろ? 宿題代わりにできる?」

今日出された宿題をパペットに見せてみる。

「ダメだよ、壱野くん。宿題は自分でしないと」

「実験実験。それに、どうせできないって」

「本当だよ。じゃあ、パペットくん、この問題解いてみて」

パペットにノートと問題を見せたところ、問題を解き始めた。

平方根を含んだ不等式の問題。

俺も解くのに時間が――ってあれ?

なんかスラスラと鉛筆が進み、あっという間に問題を解き終えた。

これ合ってるのか?

巻末の答えとノートの数字を見比べる。

合ってる、合ってる、合ってる……あ、これは間違えている。

簡単な計算ミスだ。

「逆に人間っぽい?」

「えっと、たぶんこの子、私ができることならできると思う。問題を解く癖が私と一緒だし……計算問題のケアレスミスも少し私っぽいかも」

「なるほど……製作者と同じ知能レベルってことか」

俺がパペットを作っていたら最初の一問目で詰まっただろう。

しかし、気になることがある。

「このパペット、たぶんそこそこ強そうだな。やっぱりエルダートレントの素材を使っているからか」

「そうだね。でも、この子はお手伝い用に作ったから。戦闘用に作り変えたらもっと強くなると思うよ」

へぇ、これよりも強くなるのか。

「そのパペットが魔物を倒した場合、水野さんのレベルを上げることができるのか?」

「え? ちょっと待って」

と水野さんはスマホで検索を始める。

「あ、うん。経験値が入るみたい……って、壱野くん、まさか――」