軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

若草山ダンジョン二十階層のボス

電車に乗って移動。

途中の車窓から見える復原工事された平城京は壮大だな。

父さんが子どものころは、何もないただの原っぱだったそうだが、今では国立公園に指定されていて、俺も子どもの頃に遠足で来たことがある。

アヤメも行ったことがあるらしく、その話題について話している間に近鉄奈良駅に着いた。

青木と前に来たばかりなのだが、青木と来るのと女の子と来るのとでは雰囲気が全然違うな。

夏であっても秋であっても外国人観光客は多い。

今日の奈良公園行きは急遽決まった。当然いつものアヤメのお弁当はないので、適当に昼飯を食べる場所を探す。

そんな中、アヤメが希望したのは、大阪が本店であちこちでよく見かけるチェーン店のラーメン屋だった。

開店直後の昼前だというのに、外国人を含め大勢の客でいっぱいだった。

「本当にここでよかったの? この店なら梅田にもあるけど」

「はい。ここのラーメン美味しいですから」

「うん、まぁおいしいよね」

男としてはかしこまったインスタ映えとかするレストランよりこういうラーメン屋の方がありがたい。

二人でおいしいラーメンを食べる。

「壱野さん、私のチャーシュー一枚あげます」

「ありがとう。じゃあ、俺の煮卵半分あげるよ」

おいしいラーメン、楽しいラーメン。

いいな、なんか普通にデートしているみたいで。

周囲の客から白い目で見られているような感じがするが、うん、気のせいだな。

そして興福寺や東大寺を横目に若草山ダンジョンに到着。

「じゃあまずは五階層まで転移するね」

迷宮転移(ダンジョンワープ) で一気に五階層まで移動し、アヤメの 風の道標(ウインドポスト) で周辺地図を把握し、最短距離で21階層を目指した。

途中、普通のトレントを倒してトレント丸太とトレントの枝を手に入れたが、俺たちの目的はエルダートレント――それも突然変異種のレアなトレントの丸太だ。

インベントリに保存をする。

「それにしても、突然変異種か……聞いたことないんだけどそんなのいるの?」

「突然変異種は植物系の魔物に多いって聞きます。あと、21階層より下の魔物にしか出てこないので、情報は少ないそうですよ」

「レア種ってやつか?」

ゲームとかでよく出てくる。

んー、そういえば見たことないな。

ゲーミングカラーのミミックはレア種かもしれないけれど。

普通のスライムと戦っていたら金色だったり虹色だったり色の違うスライムが出てくるとか。

もしくは、ポ〇モンの色違いとか?

そういえば、ダンポンがポ〇モン銀をカラー非対応のゲー〇ボーイで遊んでいたら、色違いのポ〇モンが出てもわからないって言っていたな。

そろそろポ〇モン銀もやりつくしてきて、次はゲー〇ボーイアドバンスで遊びたいって言ってたな。

「ゲームとかで見るレア種とは違いますね。弱くなる魔物もいたら強くなる魔物もいますし、倒して落とすアイテムのランクも上がることもあれば低くなることもありますし、全く別の種類のアイテムになることもあるそうです」

「へぇ、良くも悪くもなるってことか」

「水野さんが壱野さんを頼りたくなる気持ち、少しわかります。壱野さんなら物凄いトレント木材を手に入れそうですよね。でも、トレント木材、何に使うんですか?」

「パペットを作るそうだ」

「パペット……魔道具でしょうか?」

うーん、わからない。

レシピを渡したわけじゃないから、魔道具ではないと思うんだが。

でも、水野さんのことだから、ただ飾るための人形ではないと思う。

飾るための人形だったらドールで、パペットは操り人形だったり、腹話術に使うための人形だそうだし。

必要と言われたから届けるだけだ。

ということで、さっさと20階層のボス部屋に到着した。

中に入る。

甲子園球場半分くらいの広さのボス部屋だ。

これまでのボス部屋の中で一番広い。

だが、ボスの姿は見当たらない。

ただ、土の地面と大きな穴がいっぱいあるだけ。

20階層のボスについては前もって調べていた。

ここのボスは土神――というか。

「モグラ……でしたよね」

そう、モグラだ。

穴の中から姿を出して襲ってくる。どこから現れるかわからない。穴の中は迷路みたいになっているうえ、塞がってるので、よく物語とかである水攻めとか煙で燻して追い出すとかは無理。

そして、穴から出てきた土神は巨大な石の礫を投げて直ぐに穴の中に引っ込む。

そのため、別名モグラ叩きなんて呼ばれているが、この広いボス部屋でどこから出てくるかわからないモグラを叩くのは、ゲームのモグラ叩きと全然違う。

まぁ――

「二刀流用基礎剣術十字切り!」

穴から出てきた土神の頭を二本の剣で十字に切り裂いた。

運が良かったわけではない。

単純に土の中を移動する土神の気配を気配探知スキルで追って、出てきたところを仕留めただけだ。

気配探知があれば対処はたやすかった。

「楽勝だったな」

「私たち、いまは三十階層のボスと戦っていますから二十階層のボスに負けたりしませんよ」

そして俺たちは二十一階層に到着……ってうわぁ、森だなぁ。

エルフの森を思い出す。

「ここからレアなエルダートレントを探すのは結構骨が折れそうだ」

「任せてください。この日のために、お婆ちゃんのところで修行を受けてきましたから」

とアヤメは言うと、鞄の中から大量の人の形をした紙を取り出したのだった。