軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

枝の導き

ゲーミングカラーミミックを倒したら、ゲーミングカラートレジャーボックスを落とした。

さて、一応鑑定してみるか。

【トレジャーボックスG:開けると様々なアイテムが出てくる魔法の箱】

……トレジャーボックスT、N、Sに続いてGか。

Gって何の略だろう?

グレート?

ジェネラル?

ゲーミングカラー?

ただ、色だけ見たら激レアアイテムが入っている予感しかしない。

『姫、なんかゲーミングカラーのミミックを倒したらトレジャーボックスGが出たんだけど、Gって何の略か知ってるか?』

『なんでそんなことになってるのよっ!? 泰良、ダンプルを捜しに行ったんじゃなかったの?』

『探しに行った先の隠し部屋で見つけたんだよ』

『……はぁ……そもそもゲーミングカラー、虹色のミミックなんて目撃情報もないわ。学園ダンジョン限定の魔物かもしれないわ。当然、トレジャーボックスGも初耳よ』

『そっか……えっと、そっちはどんな具合?』

『いま、月見里先生とスキル玉の公表会見の打ち合わせ中よ。滞りなく進んでるわ。念話のスキル玉と引き換えに、魔法の缶切りが何本か手に入りそうだから期待していてね』

『お、それは僥倖。じゃあ、トレジャーボックスGの中身も期待していてくれ』

と念話を終了する。

「姫はなんて言ってた?」

「打ち合わせの方は問題ないって。あとゲーミングカラーミミックとトレジャーボックスGについては知らないみたい」

「え? 壱野、お前、アルファさんと話してたの? どうやって?」

「テレパシーだよ。それより、開けてみようぜ!」

ということで、三人で開封の儀を行う。

トレジャーボックスGの中身はなんだろう?

「……え? D缶?」

青木がガッカリしたように言う。

「なんだ……凄いアイテムを期待したんだけど」

ミルクも同じだが、俺はガッカリしていない。

何故なら、詳細鑑定をして開封条件を見たところ――

【超激レア缶のため開封不可】

と出たからだ。

これまで激レア缶とレア缶は見つけてきたが、その上は初めて見た。

『ミルク、これ、超激レア缶だって』

『え? 本当に? 激レア缶じゃなくて?』

『ああ。激レアを超える超激レア缶だぞ』

青木には詳細鑑定のことは伝えていないので、念話で伝える。

ついでに姫にも伝えた。

『オッケー、絶対に魔法の缶切りGETして帰るわ!』

と返事が来た。

いや、魔法の缶切りはまだ残ってるから無理してGETしなくてもいいぞ。

そっちの支部長さんにはいろいろと貢献している反面、迷惑も掛けている気がするから、ほどほどにしてあげてくれ。

不平等だといけないので、アヤメにも連絡をしておく。

『アヤメ、いま念話だいじょ――』

『壱野さん、すみません、いま手が離せません。お婆ちゃんと陰陽術の修行をしていて。あとで掛け直します』

とまるで電話のように切れた。

用件を伝えられなかった。

念話にはメッセージ送受信機能とかないからなぁ。

こういうときはスマホの方が便利だと思う。

アヤメ、陰陽術の修行をしてるのか。

一体どんなことができるようになるんだろ?

ゼンみたいな式神が増えるのかな?

しかし、大きなレジェンド宝箱の中からゲーミングカラーミミックが出てきたときは「マトリョーショカかっ!?」とツッコミを入れたが、その中にトレジャーボックスGがあって、その中に超激レア缶があるって、マジでマトリョーシカだったわ。

「じゃあ、一度帰るか」

「いやいや、俺たちダンプル探しにきたんだろ?」

「と言っても、手掛かりも無しに探せるものなのか? それになんか雪とか降ってきてるし」

洞窟の外を見ると、雪が降っていた。

これでは足跡――いや、ダンプルだったら這った跡? 跳ねた跡? とにかく痕跡も消えてしまうだろう。

「確かに闇雲に捜して見つかるものじゃないよね。実際、もう五時間経ってるし、どの階層にいるかもわからないし、スパイスドリンクも残りワンセットしかないよ」

ミルクも諦めムードだ。

何しろこの雪原階層、かなり広く、階段を探すのも一苦労。

青木のスキルも役立つが探すなら姫の分身による人海戦術の方が効率的だ。

「じゃあ、アレを使うか」

アレ?

青木の奴、まだ何か秘策を――隠しスキルでも持っているのか?

と思ったら、取り出したのは木の枝だった。

「なんだそれ? もしかして、木の枝の形をした魔道具か?」

「いいや、ただの木の枝だ。さっき牧野の頭に雪と一緒に落ちてきた」

だよな?

その形には見覚えがあった。

「なんだ。てっきり、ド〇えもんの『たずねびとステッキ』みたいな魔道具を期待したんだがな」

「いやいや、実はこれはその『たずねびとステッキ』より凄いぞ? ド〇えもんのたずね人ステッキって的中率が70パーセントなんだ」

それは知らなかった。

でも――

「70パーセントか……つまり――」

「ああ、つまりほぼ」

「当たる」

「外れる」

「「数字だな」」

……ん?

いや、10回チャレンジして7回成功するならほぼ当たる数字だろ?

「何言ってるんだ、壱野。確率70パーセントはほぼハズレだろ」

「なんでだよ。50パーセント越えたら当たる確率が高いだろ?」

「いやいや、それはお前の運がいいからだって。確率90パーセントでも俺は信用できないぞ。90パーセントで外して、95パーセントでも外すことだってよくある話だ」

「あ、わかるよ! 99.99パーセント当たるって言われても信用できないよね」

……うん、ミルクのは少し違うと思う。

青木の話はゲームの体験談だと思う。

そして、ミルクの場合は単純に0.01パーセントを引き当てただけだろ。逆に運が偏ってる。

「話が逸れたが、つまり、どういうことだ?」

「つまり、壱野が木の枝を投げて、その先端が向いた方に行こうぜ! 俺たちは迷ったときはいつもそうしてただろ?」

「運任せって――それでダンプルが見つかるか?」

「見つからなくても、枝が落ちた方向に何かあるんじゃないか?」

なんとも大雑把な。

しかし、俺の幸運値を考えると、70パーセントより高確率でダンプルの居場所がわかる気がする。

外に出て、枝を投げた。

オチとしては雪に刺さってここより下の階層、もしくは地上を示す。

そうなるかと思った。

だが、実際に試してみると、木の枝は普通に落ちて、右斜め前方を指した。

半信半疑ながら、枝の示す方向に歩いていく。

このあたりは魔物もいない。

そして、壁が見えてきた。

白い壁のため、最初は壁だと気付かなかった。

一面雪原だけどダンジョンの中だからな。果てがあるのは当然か。

「おい、壱野! そこに誰かいるぞ!」

「え? 何の気配も感じないけど」

気配を消すことができる魔物でもいるのか?

雪の中に隠れている?

「青木、どこだっ!?」

「こっちだ」

青木が走り出す。

「おい――」

「大丈夫だ。魔物じゃない! 雪に埋まってるかもしれない」

青木がそう言って、手で雪を掻き出していく。

俺とミルクも手伝った。

そして雪の中からそれを掘り起こした。

「ダンプル……なのか?」

そこにいたのはダンプル――の形をした鉄の像だった。