軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

トレジャーボックスS

26階層にやってきた俺は、誰かがいる痕跡をまた見つけた。

魚の骨が落ちていたのだ。

うま川魚を焼いて食べたのだろう。頭が焦げている。

ただし、焚き火の跡は周囲にはないので、ここで焼いたのではなく食べながら歩いて骨を捨てた感じか。

〔誰かダンジョンの中で生活をしているのか?〕

〔急に川〇浩探検隊シリーズを見ている気がする。【ダンジョン原人は実在したっ!?】ってテロップ出ないかな?〕

〔ハ〇ス食品さんも、とんでもない回にスポンサーになったな〕

さすがにダンジョン原人なんてものはいないと思うが、階層を跨いで移動しているということはやはり探索者だろうか?

うま川魚の骨が消えた。

ダンジョンに吸収されたのだろう。

落としてからかなり時間が経過しているのなら、その探索者はこの階層にはもういない、いや、このダンジョンにももういないのかもしれない。

万博公園ダンジョンのイビルオーガのように、階層を跨いで移動する魔物が絶対にいないとは限らないので、固定観念を持たないようにして警戒はしておこう。

〔宝箱発見〕

〔ダンジョン原人は見落としたか興味なかったのか〕

途中、岩の陰に宝箱を見つけた。

だが、これは魔物だな。

魔物の気配がぷんぷんしている。

「あれは魔物だ」

「ミミック――いえ、20階層より下だからその上位種のびっくりミミックね」

びっくりミミックは普通のミミックにはない咆哮や闇魔法を使ってくる。

とはいえ、敵だと見抜いていたら対処法は楽だ。

「ミルク、頼む」

「うん、わかった」

ミルクが銃を構えて撃つ。撃つ。撃つ。

宝箱が蜂の巣になった直後、宝箱が勝手に開いて襲い掛かってきた。

なんか宝箱の中に巨大な虫のようなものが見えた。気持ち悪い。

あれがびっくりミミックの本体か。

ミルクの銃で倒せないとはなかなか――

とびっくりミミックがその箱から巨大な咆哮を放つが、アヤメが同じく咆哮を使って相殺する。

さらに闇魔法の 闇槍(ダークジャベリン) を放ってくるが――

「魔法反射っ!」

俺が盾になり、その槍を跳ね返す。

自らが放った槍で串刺しになったびっくりミミックは息絶えて、トレジャーボックスを残した。

「トレジャーボックスSだって……なんのS? スーパー? スペシャル?」

「びっくりミミックは英語表記だとSurprise mimicだからその頭文字でしょ」

姫が流暢な英語で言う。

サプライズの頭文字だったか。

〔トレジャーボックスSは珍しい〕

〔SランクのSだと思ってた〕

〔トレジャーボックスSSSとかもありそう〕

〔中身みたい〕

〔中身公開希望〕

〔中身なんだったの?〕

〔どうせベータさんだから激レアアイテム〕

〔期待〕

トレジャーボックスはダンジョンの外で開けるのが俺たちにとっては通例になっていたが、この前レジェンド宝箱の中身は言うことができなかったしな。

このくらいの要望には応えるか。

「じゃあ開けるぞ」

トレジャーボックスSを開封する。

中に入っていたのは――やばい、これはヤバイな。

開いた箱の中から出てきたのは飴玉だった。

「ダンジョンドロップだね」

ミルクが言う。

〔なんだ、ハズレか〕

〔低階層の宝箱にも出るよな〕

〔ハズレでも1粒50円くらいで取引されている。10粒あるから500円の価値が……〕

〔トレジャーボックスSは250万円で取引されてるから、2,499,500円の赤字〕

〔開けろコールしてごめんなさい〕

〔ベータさんでもハズレ引くことあるのか〕

そして、姫たちが意味深な表情でこちらを見たので俺は頷いた。

【スキル玉:舐めると※スキルを覚える。決して噛んではいけない。偽装されていて、鑑定してもダンジョンドロップとしか表示されない】

これはスキル玉だった。

中身は全部同じスキルだ。

【念話:同じスキルを持っている者の間で会話することができる。離れている相手との念話には事前に許可を出し合う必要がある】

現代社会だとスマホがあればあまり使わないが、スマホを持ち込めないダンジョン内ではかなり有用だ。

また、配信中にリスナーに聞かれたくないことを話すときも使える。

そして一番は姫の分身同士の会話が可能と。

離れた場所にいる分身と会話できるのは姫も便利だろう。

配信終了してから全員で覚えよう。