軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ロック×ボンバー

20階層のボス部屋に到着した。

ボスの名前は石神――という名のストーンゴーレムだ。

といっても、普通のストーンゴーレムより遥かに硬く、そして動きも敏捷だ。

生半可な探索者では勝てはしない。

「解放、 風連弩矢(ウインドポリボロス) !」

風の矢が次々に発射される。その威力は通常でも一射一射が 風強大弓(ウインドバリスタ) 並の威力があるそうだが、大魔術師の装備を四つも装備している彼女の魔法はオリジナルの魔法の何倍もの威力になっている。

石神はその巨体とは似つかわしくもない俊敏な動きで攻撃を避けようとするが、大魔導士の杖の持つ魔法誘導により石神を追尾し、避けても無駄だと言わんばかりに攻撃を当てていく。

「追尾する連弩の矢って、なんか凄いちぐはぐよね? 連弩そのものは秦の時代にもあったし、三国志で孔明が使っていたことでも有名だけど、追尾機能を持たせることで一気に近代兵器になってるわね」

「さらに威力はミサイル以上だろ」

姫の説明に、自衛隊のミサイル攻撃を受けても無傷だった魔物たちを思い浮かべて、俺は言った。

ド派手な爆発はないが、その殺傷力は近代兵器以上だ。

いや、近代兵器も負けていないか。

ミルクの撃った散弾が石神に命中した。

無詠唱を覚えて、照準を合わせてから発射までのタイムラグが無くなったからか、命中率が高くなったか?

元々銃スキルがあったので、命中率が悪かったわけじゃないが、より磨きがかかっていると言えばいいか?

そして、その威力にも磨きがかかっている。

神造猿神が落としたミスリル。

加工が困難だと言われた伝説の金属だが、ようやく水野さんが加工に成功。

銃弾ならぬ散弾に作り変えて、火薬で撃ちだしている。

一応初めてのボス戦だから使ってみたが、過剰戦力だったらしい。

確か、作戦では、最初に遠距離攻撃を得意とするアヤメとミルクが開戦と同時に軽く当たって、少しダメージを与えたあとで、トゥーナの補助魔法の元、姫と俺が前衛で戦う手筈だったのに――

「さて、私の出番ね――」

「いや、姫。俺たちの出番はねぇよ」

「……ん、もう終わってる」

だって――あいつはもう死んでるから。

風の矢によって射抜かれた大きな穴。

散弾によって穿たれた小さな穴。

もうそこに、俺の剣で貫く穴を生み出す必要はなかった。

〔落ちてるミスリル弾はそのままでいいの? BB弾サイズの弾でも0.5グラムだから、3万円くらいするよね?〕

〔拾わないなら俺が拾いに行く〕

〔ダンジョンに吸収されるまで30分。急いで集めないと――〕

なんか面倒なことになりそうだな。

このまま置いていきたいのだが――

「……ん、ミスリルはとても貴重。使い捨て、ダメ」

トゥーナが有無を言わせないという目で俺を見てくる。

勿体ないことをする探索者というレッテルを貼られるのも困るので、俺たちは渋々、落ちているミスリルの散弾を拾い集めた。

とはいえ、あちこちに散らばったミスリル弾を集めるのは面倒だ。

「泰良! そういえば、あなた、自動回収っていうユニークスキルを覚えたでしょ? それを使いなさいよ」

「え? そんなユニークスキル……って、あぁ、そうか」

と嘯いて、インベントリの自動収集機能を使って落ちてるミスリル弾を回収、さらに取り出すことでまるで落ちているミスリル弾を一瞬にして集めたように使って見せたのだった。

「エルフの世界でもミスリルは貴重だったのか?」

「……ん、とても貴重。エルフにとってミスリルは神聖な金属。王族にのみ伝わるミスリルの剣は魔力を通すことで最強の武器になる」

「トゥーナは持ってないのか?」

「……持ってない。終末の獣と戦う同胞のために残してきた」

そうか――トゥーナがシェルターの中に封印された後もエルフたちは終末の獣と戦い続けた。

武器となるものは残してきて当然か。

俺たちは21階層の転移用の魔法陣を一度踏み、一階層に移動すると直ぐに21階層に戻る。

そして、21階層から30階層の攻略に移行する。

21階層は――岩石地帯?

岩山を歩いている感じがする。

足下には大きな岩や尖った岩などいろいろあり、不安定な足場が続いている。

斜面になっているし、歩く場所を誤れば足下から崩壊しかねない。

と、早速、踏んだ場所が悪かったのか、大岩が転がっていく。

大丈夫だよな? 下に誰もいないよな?

こんな歩きにくいダンジョンは初めてだ。

今度は姫の歩いた場所を踏んでいこう。

と思ったら、また岩がズレた。

ってなんでだっ!?

いくら体重差があるとはいえ、姫は次々に不安定な場所を普通に歩いていくのに。

「……姫様、少し浮いてる?」

トゥーナが言った。

浮く……あ、こいつ、天翔スキルを使っているのか。

「ええ。こういう場所だと便利なスキルよね」

「くそっ、羨ましいな……」

一歩一歩足下を確認して歩くのは面倒だぞ?

「姫、分身を使って次の階層に続く階段を探してくれ。できるだけ最短距離で移動したい」

これだけ広い場所だと、 風の道標(ウインドポスト) で階段を探すのも難しいだろうから、ここは姫の分身が頼りだ。

姫の分身たちに導き玉を渡す。

これはバイトウルフリーダーを倒したときに手に入れたもので、出口に向かって煙が流れていくアイテムだ。

「あぁ、それとそのあたりに岩に擬態している魔物がいるから気をつけろよな」

と言った傍から、岩が動いた。いや、岩の中から顔と四本の脚が出た。

こいつら、全部岩に擬態した亀か?

確か、ロックタートルって名前だったような。

えっと、その能力は――

〔ロックタートル――瀕死状態になると自爆する〕

〔そして、自爆すると周辺の仲間も誘爆する〕

〔ついたあだ名が、ボンバータートル〕

俺が思い出す前に、リスナーから答えが出た。

ロックタートルか、ボンバータートルか。

「タートル」を「マン」に変えたらゲームのタイトルになりそうだ。

って、誘爆?

さっきから、大量の気配を感じてるんだが、この気配ってもしかして――

と思ったら、ロックタートル周辺の岩の中から顔が出た。

30匹くらいのボンバータートル。

これ、一斉に爆発したらどのくらいの威力になるんだ?