軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

出オチのミルク

お宝ダンジョンで宝箱を開け続けたが、ある時を境に宝箱が現れなくなった。

上限に達したらしい。

念のために少し周囲を見て回るが、やはり宝箱はもう無かった。

こうなったらやる事がないので、のんびり歩いてロビーに戻ると、既に姫とミルクが待っていた。

何故かミルクが部屋の隅でいじけていた。

「ミルク、どうしたんだ?」

「ううん……ちょっと自分の運の無さに落ち込んでるだけ」

「どんまい」

俺は軽くミルクの頭を撫でて慰める。

「不思議よね。D缶とかは結構いいものが出てるのに。光魔法や薬魔法のスキル玉とか」

「D缶はくじ引きじゃなくて、中身があらかじめ決まっているからな。くじ運は関係ないんだと思う。ミルク、ここ以外で宝箱開けたことあったっけ?」

「そういえば、私、一人でダンジョン探索してるとき、宝箱は一回も出たことがないんだよ……きっと今後もプライベートでダンジョンに潜って宝箱を開ける機会はないと思う……ふふっ、そう思うと宝箱いっぱい開けられていい経験になったなぁ……」

ミルクがさらに落ち込んだ。

そのうち目の前に宝箱が現れることもあるさ。

中身はしょっぱいかもしれないが。

「すみません。私が最後でしたか……あれ? ミルクちゃん、どうしたの?」

とアヤメも戻ってきたな。

さて、みんなの中身の確認だ。

※ ※ ※

「えー……まずは私からでいいよね。他の人の後は絶対イヤだから」

ミルクが有無を言わせずに鞄の中から戦利品を取り出す。

ポケットティッシュだった。

「ミルク……もしかして」

「うん、宝箱の中に入ってた」

姫の予想が当たった。

宝箱の中にポケットティッシュが入っていることもあるのか。

涙を拭くにはちょうどよさそうなしょっぱさだ。

さらに鞄の中からポケットティッシュを出す、出す、出す、ずっと出す。

合計40個のポケットティッシュが出てきた。

「みんな、笑っていいよ」

ミルクが自嘲気味に言うけれど、これはもう笑えない。

ってあれ?

俺はポケットティッシュを手に取る。

「これ、魔道具だぞ?」

「え?」

俺は鑑定結果をみんなに伝えた。

【無限ポケットティッシュ:使っても使ってもなくならない魔法のティッシュ。燃えると無くなる】

全部同じアイテムだった。

これはとても便利だ。

「キャンプの時とか火付けにもよさそうだし、汗を拭くのにも使えるな」

「これなら欲しがる人もいるし、トレードにも使えるわよ」

「よかったね、ミルクちゃん」

「うん、よかった」

ミルクが一安心したようにほっと胸を撫でおろした。

「次は私ですね」

アヤメがアイテムを出す。

【鑑別のモノクル:魔法の片眼鏡。装備中は鑑定スキルが使えるようになる】

これは普通にいい魔道具だな。

俺は詳細鑑定があるから必要ないけれど、必要な人は多いだろう。

【キノコの原木:毎日五本キノコが生える。キノコの種類はランダム】

キノコが生えてくるのか。

たぶん、このキノコっていうのはマイタケやエリンギではなく、歩きキノコがドロップするキノコのことだろう。

毒キノコや癒しキノコ、うまキノコなどが生えてくるに違いない。

うん、最近は歩きキノコ狩りをする時間がなくて経験値キノコのストックも減ってきたから助かる。

【黒帯格闘着:スキル「基礎格闘術」と「応用格闘術」が使えるようになる胴着】

これはトレード用だな。

姫や俺の戦闘スタイルとも合わないし、後衛のミルクやアヤメは言うまでもない。

【マスタースミスの証:装備すると鍛冶スキルの技能レベルが上がるワッペン】

おっ、水野さんへのお土産だな。

【成長の指輪:取得経験値が1.2倍になる。フリーサイズ。成長シリーズの一種】

ここでも出るのか。これで三つ目だな。あと二つで五人分揃う。

【魔法のミニ水筒:魔石を入れると水が出るようになる。魔石(黒)で約5リットルが出る】

普通の水筒より小型の水筒だな。出る水の量はいつも使っている魔法の水筒と違いがないから、持ち運びに便利だな。

その後もいろいろと小物の魔道具が出てくるが、だいたいは買おうと思えば買えるものだった。

ただ、最後に金色のアーミーナイフが出てきた。

「魔法の缶切りかっ!」

「はい! 出ました!」

ヒトによってはあまり必要なものじゃないけれど、俺たちにとっては必要なものだ。

姫が持ってきたD缶の中にも激レア缶があったはずだ。

また激レア缶を開けることができるな。

次は姫の番だった。

「私は鑑定スキルも鑑別のモノクルもないから泰良に鑑定してもらう必要があるんだけど」

と言ってまず取り出したのは三本の薬瓶と、一本の空瓶だった。

鑑定する。

【魔力瞬間回復薬:魔力を一瞬で最大値まで回復させる薬】

これは非常用に使えるな。

これまで飲んでいた魔力回復薬は魔力の回復速度を高めるもので、ゲームみたいに一瞬で回復できるものじゃなかった。

これが3本か。

「この薬瓶は?」

「えっと、水を入れておくと24時間でポーションに変わる魔法の瓶だってさ」

「へぇ、どれも当たりね。じゃあ、これは?」

姫が次に取り出したのは小槌だった。

【打ち出の小槌:一回振ると経験値を5ポイント入手できる】

お金が出てくるわけじゃないのか。

「水野さんに渡すべきかな?」

鑑定結果を伝えたあと、その使い道を伝える。

俺たちの場合だと、普通に魔物を倒したほうが効率よく経験値を稼げる。

「真衣もいまは捕獲玉作りと、他の家事仕事で忙しいわよ。それならダンジョン局に貸し出してもいいと思うわ。あっちなら上手に使ってくれそう。EPO法人としての貢献値も稼げるしね」

姫が小槌を振って言う。

使い道は彼女に任せた方がよさそうだ。

次に出したのは万歩計か?

【経験値計:装備していると、獲得した経験値が表示される。ボタンを押すと数値がリセットされる】

経験値を数値化か。

これは効率よくレベル上げをするための研究に良さそうだ。

経験値ってDコインの大きさとかでなんとなくこのくらいだろうって予想していたが、これならちゃんと計算できる。

【貯D箱:Dコインを無限に入れることができる箱。底の蓋を開けて取り出すことができる】

これもインベントリがあるから必要ない。

トレード用だな。

他にも装備品がいくつか出たけど、上松大臣から貰った装備品の方が使えるのでこれもトレードか売却用。

あと、D缶がいくつかあった。

「うーん、いまのところアヤメがトップだな」

「そうね。じゃあ、オチは泰良ね」

「俺をオチ扱いするなよ」

ミルクのポケットティッシュが出オチだっただろうに。