軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンポンが伝えるエルフの少女の正体

アヤメがスライムを退治して帰ってきた。

D缶の中身はスキル玉だったようだ。

一度PDの外に出ると、母さんがそうめんを茹でてくれていた。

ミルクが帰ってきたので、全員で昼食にする。

前もそうめんだった気がする。

ちなみに我が家のそうめんは、奈良県名物の三輪そうめんだ。奈良の親戚が毎年贈ってくれる。

「ごめんなさいね、いつもそうめんばっかりで。でも、姫ちゃんが買って来てくれた柿の葉寿司とちょうど合っていいでしょ」

確かに姫が買って来てくれた柿の葉寿司と三輪そうめんの組み合わせは最高だった。

食事をしている間に懐中電灯の光を浴びていたD缶が開いた。

こちらもスキル玉だった。

今回は四人揃ってのスキル獲得だな。

改めてPDに移動する。

「隠形の衣――またタイムリーに欲しい物を用意してくれたわね。これも導きの水晶玉の効果ね」

「私も何か映らないかなぁ」

「その時に必要なものが映るって凄いんですけど……やっぱり無理ですね」

ミルクとアヤメが水晶玉を見詰めるが、何も映らない。

俺もあれから何度か見てみたんだが一緒だった。

極まれにって書いてあるし、たまにしか映らないのだろう。幸運値依存ではないようだし、最初に見えたのは初回限定サービスか何かかもしれない。

そして、四人でそれぞれ自分のスキル玉を舐める。

今回はソーダ味だった。

勝手にそう思っているだけで、実は違うのかもしれないが美味しい。

四人で黙って飴玉を舐めるという、18歳の男女四人が集まって行うにはいささか不思議な時間が過ぎた。

「全員スキルを覚えたな」

三人が頷く。

「じゃあ、ミルクから頼む」

「私が覚えたのは光魔法だよ。もしかしたらって思ってたけどやっぱりそうだったね」

まぁ、開封条件が懐中電灯の光だっていっていたからな。

「光魔法は結構レアな魔法よ。回復魔法とかも使えるはずだし、レベルが上がって魔法融合を覚えたら薬魔法との組み合わせにも期待できるわね」

「閃光弾とかできそうだな」

姫の言葉に乗っかるように提案をする。

光魔法を覚えたことでミルクの魔力も上がったそうだ。

次は姫だな。

「私のスキルは壁走りよ。壁や天井を走ることができるみたい」

と姫が壁に向かって走っていくと、まるでギャグ漫画のように壁を登って天井に到達した。

そして天井で立ち止まるとそのまま落下。

猫のようにくるりと回転して着地する。

「走るのをやめたら落ちちゃうみたいね。これは珍しいスキルじゃないけど便利そう」

そうだな。

これを覚えていれば、21階層で天井を走って一気にマザーブロンズゴブリンを狙い撃ちできるかもしれない。

次はアヤメだな。

「アヤメのスキルは――」

「なんなのですかっ!? このダンボールは!?」

ん? ダンポンがダンボールに気付いたようだ。

仕事は終わったのだろうか?

「いや、さっきから運んでただろ。見てなかったのか?」

「仲間との連絡に集中して気付かなかったのです。泰良、持ち込みすぎなのです」

「文句を言うなら姫に言ってくれ」

と俺は姫を矢面に立たせる。

「いいでしょ? ダンポンとダンボールって響きが似てるじゃない」

「響きが似てるからなんだっていうのですか!」

「今度、うちのホテルの高級ケーキいっぱい持ってきてあげるから」

「高級……」

ダンポンが生唾を呑み込む。

「もう、持ち込んだものは仕方ないのです。でも、これ以上増やさないでほしいのですよ。あと、奥の部屋には持ち込まないで欲しいのです。あっちは僕も使うので」

「ええ、わかったわ」

相変わらず賄賂に弱い奴だ。

「そうそう、例のエルフの少女の正体がわかったのです」

「本当にっ!?」

「教えてくれるんですか?」

ミルクたちがやってくる。

「あの廃世界の生き残りだったのですよ」

廃世界――D缶の中に入っていたスノードームっぽいあの世界の生き残りか。

やっぱりそうだったのか。

「どうやってダンジョンの中に入ってきたのか意味がわからないのですが生き残りがいてよかったのです。日本政府にも彼女の保護と安全を求めたので、きっと大切に扱われるはずなのですよ」

ダンポンってこんな風に賄賂に甘いけど、実は政府とも交渉できる立場にあるんだったな。

「そうだ、ダンポンならエルフと会話とかできるんじゃないの? いろんな世界に行ってるんでしょ?」

姫が提案する。

確かに通訳として仕事ができそうだ。

「それなら問題ないのです。今度、仲間がエルフに会って彼女に日本語スキルを付与することにしたのです。リソースをかなり消費してしまうとぼやいてたのですよ」

あ、そっか。こっちの翻訳スキルでエルフの言葉がわからなくても、エルフの少女が日本語を理解できればそれでいいのか。

それと、リソースを使えばスキルを覚えられるのか。

「ダンポン。お前もリソースを使えば俺にスキルを付与したりできるのか?」

「PD生成のスキルレベルを上げればDコインを対価に付与してあげるのです。簡単なスキルだけなのですが」

おっ、いいことを聞いた。

だったら、黄金の竹を見つけたとき、またPDのレベルを上げることにしよう。

ただ、かなり消費したとぼやいていることから考えると、かなりのDコインを要求されるだろう。

いまから少しでも貯めておかないといけないな。

「それで、ダンポン。エルフの子の仲間はいるのか?」

「んー、わからないのです。もしかしたら世界のダンジョンのどこかにいるのかもしれないのです」

「泰良に封印を解けたのはなんで?」

「タイラの妖精の輪のスキルの効果だと思うのですよ。本来、妖精の輪は仲間同士が手を繋いで輪っかを作って儀式をするためのエルフ専用のスキルだったのです。そのせいで、タイラをエルフの仲間だと認識した可能性があるのです」

妖精の輪は琴瑟相和みたいに一人だと使い道のないスキルだったのか。

これまで使い方がわからなかったのも仕方がないな。