軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンポンの戦う相手

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【太陽ダンジョン】万博公園ダンジョン 総合138【吹田市】

384:名無しの探索者

イビルオーガ「空を見たかっただけなのに」

385:名無しの探索者

人死に出てるから茶化すのやめろ

イビルオーガは洒落にならない

配信で前に見たけどあれは普通の人間が勝てる敵じゃない

386:名無しの探索者

一人亡くなってるから洒落にならない

387:名無しの探索者

>>385

普通は無理でも特殊性癖のお前なら余裕

388:名無しの探索者

>>387

389:名無しの探索者

イビルオーガは13階層の魔物。討伐推奨レベル60以上。

経験値9800 Dコイン10000

ドロップアイテムは魔石青(60)、イビルオーガの角(70)、鬼金棒(30)

()内は最低幸運値

10階層以降はパーティでの探索が必須だから5階層の敵と比べると桁違い

390:名無しの探索者

コピペ乙

391:名無しの探索者

ワイ、その時万博公園Dにいた。

392:名無しの探索者

>>391

迷わず成仏してくれ

393:名無しの探索者

スライム出待ちしてただけだって。

イビルオーガとは戦ってない。

金棒持ってる高校生くらいの男女が通るの見たぞ。

一人は緑髪だから覚醒者っぽい。

394:名無しの探索者

1嫁定期

個人特定できる情報NG

395:名無しの探索者

なるほど、嘘ですね

高校生がイビルオーガ倒せるわけない

396:名無しの探索者

イビルオーガ「GWにいちゃつく高校生カップルがむかついて凸したら返り討ちに」

397:名無しの探索者

イビルオーガと仲良くできそう

398:名無しの探索者

ダンジョン入場規制のお知らせキタ━(゜∀゜)━!

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ネットの掲示板を見ている。

既に東さんの髪の色が出ているが、俺についてはほとんど書かれていない。

そのスレの最後のURLをクリックすると、ダンジョン管理局からのお知らせで、一部ダンジョンの入場規制のお知らせが出ていた。

当然、万博公園ダンジョンもその対象に含まれている。

ダンポンに聞けば何かわかるかなと思って、PDを開いて行ってみたが、ダンポンはネット会議で忙しそうにしていたので声を掛けるのも憚られた。

万博公園ダンジョンの3から5階層の追加も明日でいいだろう。

そして、時間は流れた。

今日の25時、つまり明日の午前一時から総理の緊急会見が行われる。

なんでこんな時間に? と思ってしまうが、世界の首脳が同時に会見し、アメリカが正午に行うから自動的に日本はその時間になったようだ。時差十三時間あるもんな。

いつもならもう寝る時間だけど、明日も休みのためまだ家族みんな起きている。

これって、ちょうどいい機会だ。

俺は例のことを話すことにした。

「父さん、母さん、大事な話があるんだ」

俺はテレビの音量を小さくし、正座をして、二人にそう言う。

「なんだ、急に改まって。もしかして、彼女でもできたのか?」

「もう、お父さんったら。泰良、どうしたの? お小遣いの前借り……じゃないわよね?」

「今日、イビルオーガが万博公園ダンジョンに出たってニュース、さっきやってたよね? 一人亡くなってる事件」

二人が頷く。

あのニュースは夕方から何度も放送しているので、今のニュースを見ていなくても当然知っていただろう。

「あのイビルオーガ、倒したの俺なんだ」

「冗談だろ? だってお前、まだダンジョンに入って二週間くらいじゃないか」

「私もニュースで見たけど、レベル60相当の魔物だって言ってたわよ? だいたい、あんた、まだレベル1じゃない」

「本当に。これ、俺の預金残高」

俺は預金残高を見せる。

既にイビルオーガのドロップアイテムの買い取り分は入金されていた。

スライム酒を売ったりDコインを換金したりして、現在の残高は800万円を超えている。

「ドッキリ……じゃないよな?」

父さんがカメラを探す素振りを見せるが、そんなものは仕掛けられていない。

「詳しく話をしてくれるか?」

「うん。まず、最初に青木とダンジョンに行ったときの話なんだけど――」

と俺は全部話した。

PD生成のこと、詳細鑑定のこと、 地獄の業火(ヘルファイア) のこと。

父さんと母さんは黙って話を聞いてくれた。

俺が言葉に詰まると、テレビのニュースの音だけが部屋を支配しても黙っていてくれる。

そして、最後まで話を終えて、父さんが口を開く。

「泰良、それでどうするんだ?」

「うん、とりあえず、このスキルのことは暫く黙っておいて」

ただでさえ金棒を持って帰ったことで悪目立ちしてしまった。

いつかは公表しないといけないと思うけれど、嫉妬の的になるのは避けたい。

来年は受験なわけだし、それが終わるまでは。

「そうじゃなくて個人事業主で行くのか? それとも起業するのか? とりあえず、連休開けたら一度専門家に相談に行った方がいいだろうな」

「本当ね。節税は大事よ。細かいことは税理士さんと相談して決めましょ? ダンジョン探索者なんて怪我して潜れなくなったら無職なんだから、ちゃんと資産形成しておかないと」

「ああ、うちの息子、ダンジョンランカーになるんじゃないか?」

「プライベートダンジョン、私も入れないかしら? たまに朝起きるのが嫌なとき、そこで二度寝したいわ。それに上手に使えば煮込み料理の時短も可能ね」

「まて、母さん。ダンジョンにカセットコンロも鍋も持ち込めないはずだぞ。それより、スライム酒だ。何本もあるって本当か? 父さんてっきり珍しいものだって思ってずっと我慢してたんだ。一本、会社に持って行っていいか? 酒好きの坂田に自慢したい」

「じゃあ、明日はみんなで焼肉に行きましょう! もちろん泰良のおごりで!」

「いいね! 発泡酒飲み放題コースじゃなくてビール飲み放題コースで!」

なんというか、黙っていたのが馬鹿らしくなるくらい簡単に受け入れてくれたな。

俺は笑って頷いた。

そして、テレビの音量を戻す。

もう夜中の一時を回っていて、総理が会見をしているところだった。

『国民の皆様にお伝えします。富士山頂のダンジョン出現及び国内複数個所における魔物が階層を移動する現象の原因は、協力型異世界知的生命体のダンポンとは異なる侵略型異世界知的生命体、【ダンプル】による人類への挑戦状であることが判明しました。もう一度お伝えします。富士山頂のダンジョン――』

…………へ?

※ ※ ※

「ダンプルは神を名乗るいけ好かない奴らなのです。おかげでゲームが全然できなかったのです」

とダンポンは頬をお餅みたいに膨らませて言った。

「お前、ダンプルのこと知ってたんだな」

「ダンポンたちは常にダンプルたちと戦っているのです。ダンジョンは楽しく平和的に、そして資源として使うべきなのにダンプルたちはそれを生死をかけた戦いの場所と考えているのです。だから、ダンプルが作ったダンジョンに絶対はない。魔物が階層を跨いで移動することもあれば、ダンジョンから外に出ることもあるのです。各国の政府上層部にはダンプルがこの世界に来る可能性を予め伝えていたのですよ」

何故、そのことを総理が、いや、各国首脳たちはひた隠しにしてきたのか?

ダンプルがこの世界に来る確率は非常に低く、いたずらに不安を抱かせるのはよくないと記者会見で言っていた。

実際、俺たちもスポーツ感覚でダンジョンに挑んでいたが、昨日みたいに突然強い魔物が現れて死の危険と隣り合わせになるのが日常だと思うと怖いよな。

それに、ダンジョンから魔物が出てくる可能性があるなんて言ったら、ダンジョンの周囲の住民は反対する。

少なくとも繁華街の中心にダンジョンを創ろうなんてしないはずだ。

実際、各国でダンジョンの閉鎖を求めるデモが起きている。

とはいえ、ダンジョンから出てくる資源で人々の生活が豊かになったのもまた事実だ。

一昨年は魔石で走る自動車が誕生。黒魔石一個で最大二千キロ走行可能という謳い文句で、そのエンジンの開発に成功した自動車メーカーの株価はうなぎのぼりだって聞いている。

水資源の乏しい国では魔石から水を生み出して生活用水にしている土地もあるし、二十年後までには魔石のエネルギーで宇宙に行く宇宙エレベーターを作ると建設会社の大森組が発表(宇宙に求めているはずの資源がダンジョンから手に入るということもあり、宇宙開発の遅れが進んでいるので需要があるかは不明だが)。

もう魔石無しの生活には戻れない。

中には、魔石ばかり取れるダンプルのダンジョンこそが人類の求めていたダンジョンだという声まである。

「じゃあ、この前のイビルオーガは?」

「ダンプルの技術によってダンジョンの縛りから解放された個体なのです。コンピュータウイルスみたいなものなのですよ。タイラが倒してくれたことにあっちの管理人も感謝していたのです」

俺はワクチンソフトか。

まぁ、俺も一気にレベルが上がって大金も入ったので俺にとってはいいことだったが、東さんにとっては最悪だったな。

昨日、帰ってからメッセージアプリで話をしたけれど、思ったよりは元気そうで安心した。

ただ、こうなってくると石舞台のダンジョンも少し心配になってきたな。

今朝、ミルクに電話して明日の予定を確認したところ続行とのことらしい。

ミルクが行くダンジョンは一階層までしか入らないから、下層で何か異変があったらすぐに避難できるから大丈夫だろうと、彼女の親父さんも太鼓判を押してくれたそうだが。

何があるかわからないのがダンジョンか。

「PDは大丈夫なのか?」

「あ、こっちは心配ないのです。PDが外部ダンジョンの情報を取得するとき、あくまでデータの表向きデータを複写しているだけなので、仮に外部ダンジョンがダンプルによる攻撃を受けていたとしても問題はないのです」

「ごめん、わからない」

「画像ファイルにウイルスが仕込まれていたとしても、その画像をダウンロードするのじゃなくてカメラで撮影して持って帰っているだけなのでウイルスに感染する危険はないのと同じなのです」

「よくわかった」

とりあえず、PDは安全ということで、万博ダンジョンの1~5階層を再現してもらった。

倒すのは五階層の敵だな。

後から知った話だが、五階層にイビルオーガ以外の魔物がいなかったのは、東さんが混乱して五階層を逃げ回ったせいでイビルオーガの気配に気づいた魔物たちが階層の隅の方に逃げ出したのが原因らしい。

ということで戻ってきた五階層。

角ウサギの黄色い奴がいる。

アルミラージだ。

その速度、角の強度ともに角ウサギより強いらしい。

「必中剣」

威力が低くなる分、すばしっこい小さな敵への命中率が高くなるというレベル15で覚えた基礎剣術スキルの一つだ。

必中と名がついているが、必ず当たるわけではない。

威力が落ちるはずだが、アルミラージはその一撃で倒れた。

まぁ、本来レベル20で行くところ、もうレベル26だもんな。

さっき見たステータスを思い出す。

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壱野泰良:レベル26

換金額:72156D(ランキング:9k-10k〔JPN])

体力:315/315

魔力:160/160

攻撃:125

防御:119

技術:98

俊敏:95

幸運:241

スキル:PD生成 気配探知 基礎剣術 簡易調合

詳細鑑定 獄炎魔法

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ほんの二週間前までの俺からは想像もできない能力だ。

落ちたアルミラージの肉を拾い、軽く埃を叩いて、木箱に入れる。

角兎は肉を落とさないのに、アルミラージは肉を落とす。

別に高価というわけではないのだが、母さんに今夜のすき焼きの材料として使うから取って来てほしいと言われた。

PDのことを打ち明けたせいで、ジョギングしてくるとか散歩してくるって嘘を吐かなくてよくなったけれど、その分こき使われそうな気がする。

アルミラージの肉はジビエ特有の獣臭さとかもなく、非常にジューシーで美味しいらしいので、俺も楽しみだ。

うまキノコとげきうまキノコも渡してあるので、一緒に食べよう。

向こうのほうに三つの人影が見える。

俺専用のダンジョンだ。本当の人間ではない。そもそも人間にはない尻尾がある。

リザードマンだ。

ゴブリンは子どもくらいの大きさだったが、リザードマンは成人男性くらいの大きさがある。

持っているのは木の棒だが、先にアルミラージの角が結わえ付けられていて、十分殺傷能力のある武器に仕上がっている。

まずは魔法の感覚に慣れるために、獄炎魔法を使う。

「解放、 地獄の業火(ヘルファイア) 」

火柱が上がり、天井を伝って俺の頭上まで炎が押し寄せてくる。

リザードマン一体が消し炭になっていた。

そして、近くにいたもう一体がその炎に巻き込まれて死んでいた。

やっぱりオーバーキルだ。

直撃していないのに死ぬって。

残ったリザードマンは少し離れていた場所にいたから無事だったようだ。

よし、こいつは剣で――

と思ったら、気付けばいなくなっていた。

その場に残っているのは、リザードマンの尻尾のみ。

気配も完全に感じなくなった。

「トカゲの尻尾切りっ!? 逃げられた」

リザードマンは尻尾を囮にすることで同じ階層の離れた場所に逃げるスキルを持っている。

尻尾は二十四時間経過したら再生するが、それまでトカゲのしっぽ切りは使えない。

トカゲの尻尾は回復薬を作る時に追加調合すれば、簡単な欠損を治す効果を付与できる。

だが、回復薬を作るために使う癒し効果のあるキノコや薬草の方が不足していて、トカゲの尻尾は結構余っているそうなので、買い取り額は高くない。

これも自分で使うとするか。

今度からは逃げられる前に倒すようにしよう――と落ちていたDコインを拾いながら思った。

その後、五階層をまわったがやはり俺の敵となる魔物はいない。

さっき尻尾を斬って逃げたリザードマンとも再遭遇し、なんなく倒すことに成功。

ドロップ品も多くなってきたのでそろそろ脱出しようかと思った矢先、宝箱を発見。

中からD缶を見つけた。

【開封条件:一回の探索中に発見したドロップ品を50キログラム以上持ってダンジョンから脱出(現在37キログラム)】

…………続行!

ダンジョンはどうやら俺を家に帰すつもりはないようだ。

そして――

「泰良。ウサギのお肉、こんなに食べきれないわよ。半分は冷凍するわね」

「父さん今日はスライム酒の赤いやつを開けるぞ! ずっと飲んでみたかったんだ。代わりに明日は石舞台まで送ってやるからな」

「これがげきうまキノコ? 毒キノコみたいだけど食べられるの? ……え? 一本7万円!? 松茸より高いじゃない!」

「ごめん、いま何も頭に入ってこない。ちょっと黙ってて……さすがに50キロの荷物を持って一階層まで戻るのは疲れた」

疲労困憊のこの状態だと、きっと何を食べても味なんてわからないだろうと思いながら、席につく。

そして、三人で食事。

今夜のウサギ肉のすき焼きは人生で一番うまいすき焼きだった

特にげきうまキノコがゲキウマだった。

もう、松茸なんて目じゃないね。