軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第046話 そのままセック〇しちゃえ

「イレーネさん、コスタリナ王国のブレイナからリーンド大陸に行く運賃はいくらでしょう?」

リーエがイレーネに聞く。

「それよね……行ったことがないから知らない。ただ、そこまで差はないと思うのよね」

まあ、そうだろうな。

ただ、それも予想でしかない。

「イレーネ、40万ソルはあるんだよな?」

「ええ。真っ先に確認したからね。そこは大丈夫」

イレーネが深く頷く。

「実はこっちの所持金が5000ソルから7万ソルに増えた」

「え? どうしたの?」

イレーネが首を傾げた。

「イレーネが屋敷に捕らわれていると踏んだんで西の森から屋敷を見に行ったんだよ。実際にそこから侵入したしな。その時に逃亡資金集めのために魔物を狩ったんだ。運良くオークの上位種と遭遇して、ゴブリンやコボルトと合わせて、10万ソルくらいになった。逃亡用の缶詰を買ったから残りは7万ソルだ」

結局、缶詰は食べていないが、保存が利くのでこれからも重宝するだろう。

「へー……良いじゃない、良いじゃない。貯金最高」

ホントにな。

「とはいえ、ブレイナの町に行くまでも宿屋に泊まりますし、もっと言えば、別大陸に着いてからお金はかかります。船の運賃が不確定なことも考えると、47万ソルでは厳しいかもしれません」

実際、マリティアでは20万ソルから25万ソルに値上げしていた。

その時点で50万ソルだし、47万ソルでは足りていない。

「仕事をして稼ぐしかないわね。コスタリナに着いたら私も冒険者登録できるし、ブレイナに行く道中で稼ぎましょう。目標80万ソル」

高い目標と思えるが、マリティアで10万ソル稼げたと思えばできないこともない。

「ああ。それで良い」

「3人で頑張りましょう」

うんうん。

「ええ。じゃあ、そんな感じね」

イレーネは頷くと、ベッドの方に行く。

寝るのかなと思ったらカバンに手を突っ込み、トランプを取り出した。

「そういやさ、イレーネのカバンって魔法のカバンとやらか? 中を覗いたんだが、真っ暗で見えなかった」

「私の下着を含む着替えが入っているカバンを覗こうとしたの?」

えー……信頼すべき仲間から一気に変態にランクダウン。

「いや、屋敷で見つけた時にお前のカバンかどうかを確認したかったんだよ」

「冗談よ。まあ、一応は魔法のカバンね。ただ、容量はかなり小さいわ」

やはり魔法のカバンだったか。

「矢も入っているのか?」

「そうそう。10本だけだけどね。そもそも弓は得意だけど、あまり使わない。矢がもったいないもの。遠距離攻撃の手段は持っておくべきだから念のためのやつね」

消費する弓矢より剣か。

「遠距離ね……シェパード伯爵が持っていた魔導具に覚えはあるか?」

あの拳銃。

「いえ……あれは初めて見たし、あんなものがあるなんて聞いたことないわ」

「そうか……銃は別に普及してないわけか」

ちょっと安心だ。

「銃って言うの? あなた達の世界にあったもの?」

「いえ、私は聞いたことも見たこともないですけど……」

ないからな。

「さらに別の世界にある武器だ」

「さらにって……あなた、どれだけ異世界を渡っているの?」

ふむ……

「今から話すことは世迷言と思ってくれていい」

「そう言われてもね……正直、あなたの話す自慢話って世迷言そのものよ。事実なんだろうなって思えるほどの実力があるから信じるけど」

俺の伝説の活躍劇が世迷言か。

あ、いや、伝説は世迷言か。

「前に俺は何もない人間だって話したことを覚えているか?」

「ええ。そんなことはないって思ったけど」

あるんだな、これが。

「俺は前世の記憶がある」

「なるほど。確かに世迷言だわ」

な?

「前に言った何もない人間っていうのは前世の話だ。俺は何の才能もなかったし、努力もせず、ただただつまらない人生を送る日々だった。そして、そのまま死んだ。そして、今世に生まれ、自分に魔法の才能があることを知ったわけだ」

「それで自分のことを空っぽって称したわけ……」

実際、空っぽだった。

「ああ。何度も誰からも必要とされていない俺って生きている意味があるんだろうかって思った。俺が死んでも何も変わらないし、親族以外で悲しむ人間はいないんだろうなって思っていた。そして、実際、死んだんだが、そうなったんだろうなって確信を持って言える」

「続けて」

イレーネは何か言いたそうな顔だが、促してきた。

「帝国における俺は天才だし、英雄だった。まさしく、天に手が届く存在だ。しかし、それは魔法だけ。それ以外は何も才能がないし、誰にも必要とされない人間だ」

「イレーネさん、どうぞ」

リーエがイレーネを促す。

「誰にも必要とされていないのはないわ。少なくとも、私はあなたを必要としている、魔法以外のことでもよ?」

そうか……

「俺は誰にも必要とされていないと思っていたと同時にリーエ以外は誰も必要ないと思っていた。しかし、今は違うらしい」

「それは仕方がないことよ、ふっ」

イレーネが決め顔で髪を払う。

「美人だもんな」

「ええ」

すーぐドヤ顔になる。

「キスでもするか?」

「勝てたら良いわよ」

イレーネがそう言って、トランプをシャッフルしだした。