軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第013話 何か来ましたね

「完全に逃げる日じゃなかったわね」

酒をかなり飲み、寝不足だもんな。

「まあ、仕方がない。明日には状況が悪い方向に転がるということもある。何事も早めに動いて悪いことはない」

「急いては事を仕損じる……」

リーエにことわざなんか教えるんじゃなかったな。

「とにかく、森まで行きましょう」

「どれくらいの距離があるんだ?」

「そんなに遠くないわ。1、2時間で着く」

遠いね……

俺達はひたすら歩いていく。

すると、徐々にだが、目も暗闇に慣れてきた。

「平野か」

「ええ。王都の東から南にかけては平野なの。西が川で北が山ね」

となると、追手も東か南に行くかもな……

これは追手との戦闘も考えるべきだな。

「暗いので薄っすらですが、森が見えますね」

リーエが右手を額にやり、遠くを見る仕草で前の方を見る。

「あとちょっとね。森を少し進んだら冒険者が休憩で使う広場があるのよ。そこで休みましょう」

「わかった」

俺達がそのまま進んでいくと、森にやってきたのだが、道があり、奥に続いていた。

「この街道を進んでいけば森を抜けられる。そこからさらに半日歩けば、アルベンに着くわ」

「森か……魔物や獣は?」

「街道を進む限りはそこまで強い魔物は出てこないわ。出ても十分に対処できる……多分」

ブランクが2年もあるんだもんな。

「ここから先は基本的に俺がやろう。リーエ、セシリアの補助を頼む」

「お任せを。まあ、動きを見る限り問題なさそうですが」

「念のためだ。セシリア、お前の実力はわかっているが、ブランクを甘く見るなよ」

「それは十分わかっている」

セシリアが深く頷いた。

「よし、ここからは俺が前に出る。行こう」

「お願い。頼りになる人ね?」

「でしょう? 自慢話が長いのと調子に乗るところがある以外は素晴らしい人なんですよ」

今まさに調子に乗って、かっこつけたな。

基本、魔導士は後ろだもん。

俺達は森の中に入ると、街道を進んでいく。

『ほー、ほー』という聞いたことがある鳥の鳴き声が聞こえており、俺が知っている森と変わらないように見える。

ただ、まあ、暗い。

平野はまだ月明りがあったのだが、森の中は木々でそれすらも遮られているのでかなり暗い。

「ヴェルナー様、魔物の気配は?」

後ろにいるリーエが聞いてくる。

「周囲に魔力は感じない。ただ、油断はするな。熊や狼が出るかもしれない」

「あ、冬前だから熊は出るわね。しかも、この時期はちょっと危ない」

冬眠前と冬眠明けの熊は危険だからな。

「ヴェルナー様、ここまで来たわけですし、いっそ灯りをつけませんか?」

そうした方が良いかもしれないな。

あまりにも暗すぎるのだ。

目が慣れたとはいえ、さっきと違い、足元も良くない。

「頼む」

「では……ライト」

リーエが魔法を使うと、俺達の頭上に光球が現れ、周囲を照らす。

「眩しっ!」

「目が慣れてたからな……」

薄目を開け、今度は光に慣れていく。

「魔法って本当にすごいわね。カンテラの魔導具なんかもあるけど、光量が全然違うわ」

「これもそこまで難しい魔法じゃない。でも、一応、言っておくが、これだけの光量を出すのは難易度が高い」

ライトの魔法自体は学生でもできる。

「ねえ、あなたがすごいのはなんとなくわかるんだけど、この子もすごいの?」

セシリアがリーエを見る。

「作成者がすごいんだからすごいに決まっている」

「すごいんです」

リーエが無表情ダブルピースを決める。

「へー……いまだに子供を作るっていうのがよくわかんないんだけど」

「おやぁ? 教えてあげましょうか?」

「この子、こういうのが好きね……」

そういう子なんだよ。

「ホムンクルスジョークはスルーしてくれ。それよりも光を出したから見えるようになったが、周囲からも見えるようになっている。これだとミスディレクションも効かないから十分に注意してくれ」

「ええ。わかったわ」

「了解です」

俺達は完全に目が慣れたので進んでいく。

「ふう……」

数十分ほど歩くと、セシリアが息を吐いた。

「セシリアさん、大丈夫ですか?」

セシリアの様子を見て、リーエが声をかける。

「ええ。少し疲れだけ。あと飲みすぎかしら?」

「セシリア、魔力障害だ」

汗をかいているのだ。

少し冷えるくらいだし、いくら歩いたといっても汗をかくほどではない。

「セシリアさん、歩く時は足に意識を集中させてください。あなたはとにかく魔力を動かして消費させないといけません」

「集中……」

セシリアが踏みしめるように歩く。

「そうです。歩く際はそれを意識してください。そうすれば少しは楽になります」

魔力操作を教える前に魔力を消費させるすべを考えた方が良いな。

「セシリア、辛くなったらその辺の木を思いっきり殴れ」

「りょーかい」

セシリアが苦笑しながら頷いた。

『ヴェルナー様、広場に着いたらある程度休んだ方が良いと思います』

リーエが念話で提案してくる。

『ああ。そうしよう』

俺達はさらに奥に進んでいく。

すると、少し開けたところに出た。

「セシリア、ここか?」

「ええ。懐かしいわ。冒険者をしていた時はここを拠点に魔物退治や採取なんかをしたものね」

「ちょっと休憩だ」

俺達は広場の中央にある焚火跡を囲むように腰かけた。

そして、火をつけると、光球を消し、焚火に当たる。

「暖かいわね……」

「ほっとするな」

「良いもんですね」

俺達は焚火に当たりながら一息つく。

「身体は大丈夫か?」

「ええ。リーエに言われたとおりに歩いたら楽になった」

「ドレインという魔力を奪う魔法もあるんだが、体力も奪ってしまうんだよな……」

「さすがにあれはやめた方が良いと思います。セシリアさんが動けなくなりますよ」

「なんか怖い魔法ね……」

使うとしても寝る前だな。

「1時間くらい休憩しよう」

「ええ。あなた達も寝たいかもしれないけど、もう少し距離を取りたいわ。それに朝方になると、冒険者や猟師なんかがここに来る。見られたらちょっとマズい」

それはそうだな。

しかし、もういるんだよな……

「敵ですね」

「え?」

森の中から剣を持った男達が出てきた。