軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第012話 ねむ、ねむ……

部屋を出た俺達は裏口の方に回り、池がある庭に出た。

「ミスディレクションとかいう魔法で大丈夫なのよね?」

セシリアが聞いてくる。

「ああ、問題ない。リーエ」

「はい」

リーエがミスディレクションをかけてくれる。

「これで俺達の姿は見えない」

「ホントに? 私にはあなた達の姿が見えているわよ」

そりゃそうだ。

「それは最初から注目しているからだ。これはあくまでも認識をずらす魔法だから最初から見えている人間には効かない。それと大声をあげたり、攻撃したりすると注目を集めるから効かなくなる。普通にしゃべる分には問題ないが、注目を集めるようなことをすると普通にバレるぞ」

昔、どこぞの変態がミスディレクションをかけて、町中で裸になったという伝説があるのだ。

「いっそ透明になることはできないの?」

「そっちの方が不自然なんだよ。通りすがる人も見えてないから普通に向かってくる。ミスディレクションの場合は景色に馴染む感じで意識されないんだ」

一言で言えば石こ〇帽子。

言っても絶対に伝わらないけど。

「なんとなくわかった。行きましょう」

「ああ」

俺達は表に回ると、昼間と同様に堂々と門を抜ける。

セシリアに多少の緊張は見えたが、それでも特に注目されることもなく、通り抜け、ある程度の距離を取ると、足を止めた。

「本当に見えてないのね……」

あくびをしている兵士を見ながらセシリアがつぶやく。

「そういう魔法だ。セシリアでも覚えられる。それよりもここからはどうすればいい? 何度も言うが、俺達はまったくわからない」

「その辺りを歩きながら話すわ。ついてきて」

俺達は再び、歩き出す。

周りには夜でも多くの通行人がいるが、俺達が注目されるようなことはない。

「ルートを教えてくれ」

「まずは東の方にある外壁に向かうわ。そこで壁を越えてほしい」

「わかった。それくらいは問題ない。その後は?」

「歩きになっちゃうけど、最寄りのアルベンの町を目指すわ」

当たり前だけど、知らんな。

「近いのか?」

「歩きになるから3日はかかると思う。走れば2日かな」

近いような、遠いような……

「馬とかはないか?」

「そういうのを確保するためにアルベンに行きたいのよ」

ふーむ……

「ここで手に入れるわけにはいかないか?」

「私、ここでは名前も顔も売れているのよ。生まれはここだし、冒険者もBランクまでいった。それにこういうことになったから結構、知られちゃってるのよ。あと自慢だけど、容姿も目立つしね」

オラースが言うように夜のうちに王都を出た方が良さそうだな。

「追手は大丈夫か?」

「来る可能性もあるかもね。戦うしかないわ」

仕方がないか。

「わかった。俺に任せておけ」

「かっこいいわねー」

「私のご主人様」

ふっ、ただかっこいいだけじゃないんだぞ。

それに伴う実力もあるのだ。

俺達が早歩きで進んでいくと、商業街、歓楽街を抜け、またもや住宅街にやってきた。

商業街、歓楽街はかなり明るく、賑やかだったが、この辺りはかなり静かだ。

そして、住宅街を進んでいくと、セシリアがとある家の前で立ち止まった。

「どうした?」

「ここが私の家よ……」

平屋の普通の家だ。

とはいえ、周りの家と違い、灯りはついていない。

「持っていくものとかあるか?」

「いや、大丈夫。その辺はすでに整理した後だから。ごめん。行きましょう」

セシリアが再び、歩き出したのでリーエと顔を見合せたが、すぐに後を追う。

そのまま進んでいくと、外壁にやってきた。

「ここか」

「かなり高いわよ。行ける?」

「問題ない。抱えるから暴れるなよ」

そう言って、しゃがむと、セシリアのお腹に肩をつけ、腰に手を回す。

そして、そのまま背負いながら立ち上がった。

「ヴェルナー様、そこはお姫様抱っこでは?」

「荷物の気分……」

「何でもいいだろ。行くぞ」

「はい。フライ」

俺達が浮遊の魔法を使うと、ふわっと浮きあがった。

「おー……浮いてる。すごい」

「すごいだろ。ゆっくり上がるから暴れたり、叫んだりするなよ」

「わかってる。でも、この魔法があるなら池に落ちてパニックになることもなかったんじゃない?」

うっせ。

「急だったんだよ」

「上がりますよー」

俺達はゆっくりと上昇していき、あっという間に壁を越えた。

壁の外は真っ暗であり、何も見えない。

「おー、すごいわね。町が綺麗だわ」

セシリアに言われて町の方を振り向くと、確かに綺麗な夜景が広がっていたし、ぼんやりと見える城が幻想的だった。

「良い町だな」

「ええ。でも、仕方がないわ。どちらにせよ、ここにいられるのもあとわずかだったわけだし、出るのが早くなっただけよ」

「嫁ぐ相手が悪い貴族から悪い魔法使いになっちゃいましたね」

誰が悪い魔法使いだ。

英雄だぞ、英雄。

「それも人生ね。行きましょう」

「ああ」

下降していくと、すぐに着地した。

しかし、町とは違い、真っ暗だ。

「どうするんだ?」

セシリアを下ろし、辺りを見渡しながら聞く。

「とにかく、東に行くわ。道中、森があるんだけど、そこを目指しましょう。ついてきて」

セシリアが歩き出したのでついていく。

「灯りを出そうか?」

「やめておきましょう。門から見える可能性があるわ。そのうち目も慣れると思うし、森までは歩きましょう」

それが良いか。

「しかし、こうなるならあんなに飲むんじゃなかったな」

「私もね」

俺達、結構飲んでたからな。

「セシリアさん、眠気はどうですか?」

リーエがセシリアに聞く。

「まだ大丈夫だけど……」

「そうですか。まだ先は長いですから無理はしないでくださいね」

「ええ。あなた達はどう?」

俺達?

「すげー眠い」

「実は昼間に飛んできましたが、私達の世界は夜だったんですよね。なので、私達は19時間も起きてます」

時差を治そうと思って、昼間に寝なかったんだよな。