軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

5

学園近くの森で隊列を組む。私はノアと同じ班で、魔物についての説明を聞いていた。今年隊長となった、三年生であるレイナードが声を張上げる。

要約するに、今回の魔物討伐は、副隊長を決めるためのものらしい。

(……なるほどね。)

周りの反応を見ながら隊長の話を聞く。つまりは、試験などで分からない、判断力を見るためのものなのだろう。その意図を理解しない者は、張り切った様子を見せているが、ああいうのを弾くためなのだろう。

とは言っても、私は特にこだわりは無い。

魔法学士を目指している身としては、経験しておくことも視野に入れているが、わざわざ一年生でなる必要は無い。

説明が終わると班ごとに森へ入る。

「アメリアは副隊長になりたい?」

ノアの質問に、周りの様子を伺いながら答える。

「いずれかしら。今でなくてもいいわ。」

「そうなのね。私もなれたらと思うんだけど、少し難しい気がしてるの。」

ノアも、軽く言いながら周りを警戒している。集中力をかいている者を横目に、歩き進める。しばらくすると、ほんの少し空気が変わり、なにかの気配がして気を引き締めた。ピタリと足を止め、剣に手をかける。

「……ノア、くるわ。」

私がそう呟くとノアも頷く。足音が聞こえ、ガサッと音がした方を見る。

オオカミ型の魔物が六匹ほど見え、前を歩いていた者が剣を手に斬りかかる。十人ずつの班なので、油断しなければ問題は無いだろう。私も取り逃しがないようにと、魔法を放てるように準備をする。

すると、いけると感じたのか、手柄をと考えたのか一人の生徒が前に出た。その横から飛びかかった魔物が三匹見え、咄嗟に剣を抜いて走り出した。

「下がりなさいっ!!」

飛び出した生徒の襟を掴み、引き寄せると後ろへ投げる。横から出てきたブタのような魔物を、切り裂く感覚が手に伝わり、魔物の匂いが強くなる。私が一体切ったことで、残り二匹の視線がこちらに向く。すぐに飛びかかってくる魔物を避け、一体の首を落とし「土」と呟くと、魔法で土の壁を作る。攻撃を止めたあと、上に跳び頭を狙い剣を突き刺した。

魔物が倒れたことを確認すると、剣に付いた血を払う。匂いが酷いなと、広がった魔物の血を魔法で焼いていく。

「アメリアっ!大丈夫!?」

心配して駆け寄ってきてくれたノアに、笑って「ええ」と答える。他の生徒は、私の動きに驚いたのか呆然として立っている。無理に前に出た生徒は、驚いたまま腰を抜かしたのか、座り込んでいた。

「……今のは危なかった。アメリア嬢、咄嗟の判断感謝する。」

どこかで見ていた隊長が出てくる。私に向けて手を出し、握手を求めるレイナードに笑って手を握った。

その後、険しい顔をして危険行為をした生徒に、後で残るようにと言って、班ごと森から出るように指示をする。

私は息をついて、服に血がとんでないかを確認してほっとした。

(汚したら、それだけ動いたと、リリーにバレちゃうからな。)

「アメリアって剣も振れるのね。見た目は当てにならないって学んだわ。」

服を確認しながら歩く私を見て、肩を竦めたノアに首を傾げる。

「だって、アメリアっていかにも箱入りって、見た目じゃない?」

「よく言われるけど、メイド達に整えてもらってるからだわ。剣を握ったら泣かれたもの。」

顎に手を当てて、その時を思い出しながら呟く。私の言葉に「お転婆なのね」と言うノアと、顔を見合せて笑っていた。

森から出ると、既に半数は戻ってきているようだった。周りをキョロキョロと見て、ノアが不思議そうに言う。

「隊長はどうやって皆を見ているのかしらね。」

「……魔法で飛んでいるんじゃないかしら。」

私が仮説を言うと、ノアはばっと顔を向ける。

「そんなこと出来るの!?」

私の小さい頃のようで、つい笑ってしまう。

「出来るわ。私もお父様に教えて貰ったんだけどね。風の魔法の応用で宙に浮くの。」

私の言葉に「なるほど」と感心している。

「私も飛びたくて、沢山練習した覚えがあるわ。」

「アメリアのお父様って凄いのね。」

「ええ。魔法学士なの。私もお父様のようになりたくて、剣も勉強も頑張ったの。」

ノアは私の言葉に目を丸くしている。改めて、お父様の凄さを自覚して苦笑してしまう。すると、ニコッと笑ったノアは「アメリアならなれるわ」と言う。

「ありがとう。」

ノアに向かって笑うと、隊長から集合の合図がかかった。残るように指摘された者以外は、今日は解散だと言われて訓練場を後にした。途中までノアと一緒に歩き、自分の部屋へ戻ると、

「アメリア様、またお転婆しましたね!」

と部屋に入るなりリリーに詰められ、なぜバレたのかと驚くと、服の後ろを指さされる。

「ここに血が飛んでいますわ!あれほど気をつけて欲しいとーー」

そういえば、後ろは確認していなかったと反省し、リリーのお小言を延々と聞かされていた。