作品タイトル不明
第四章 登場人物紹介
《第四章 王都の職人街・あらすじ》
アカデミーの急な夏休み。自室で謹慎中のレベッカの元へ婚約者のルートヴィッヒ王子の訪問が告げられる。
恐怖でパニックを起こしたところに、左遷されたアーベラの代わりに新しく護衛についた護衛騎士達への不満が爆発し、レベッカは家出をしてしまう。
目指した場所は、王都の職人街フェーベ地区。そこにあるレーベンツァーン亭という宿屋を、友人のクラリッサがヒンガリーラントに来る度、定宿にしていると聞いていたからだ。
街を歩いていたレベッカは、マルテという女性がカバンをひったくられたところを目撃し、ひったくり犯を撃退する。レーベンツァーン亭が閉まっていて困っていたレベッカに、下宿屋を営むマルテは空いている部屋を使うよう勧めてくれた。下宿人で新聞記者のデリクは料理上手なレベッカの事を歓迎するが、画家のレントは、騒動を警戒してレベッカが泊まる事に反対した。
情報通のデリクに、エリーゼが以前話していたローテンベルガー家について質問したレベッカは、ローテンベルガー家とエーレンフロイト家の意外な繋がりについて知る。更に、王家の醜聞やエーレンフロイト家の噂など、今まで知る事の出来なかった情報をデリクから聞く事ができたのだった。
翌日、道を歩いていたレベッカは、見るからに貴族の家出少女という雰囲気の少女と出会う。短い会話から、少女がレントの娘である事を察したレベッカは、レントに一目会いたいと言う少女をマルテの下宿屋の前まで連れて行く。しかし、少女は追って来た親族の男に捕まり路上で暴力を振るわれる。激昂したレベッカは衆人環視の中で男を叩きのめす。
駆けつけて来た騎士に侯爵令嬢である事をばらされ、レベッカの勇猛さは王都中に知れ渡った。
侯爵である父と、婚約者である王子が急に現れ騒動になるフェーベ街。
レベッカは家へと連れ戻され、レントに託された少女もエーレンフロイト邸にやって来る。少女の名前はコルネリアで、実は一周目でレベッカを殺した容疑者の一人だった。
裁判が始まり、レベッカが叩きのめした男は、殺人未遂の罪でガレー船送りになる。コルネリアの実家ハイドフェルト家も、騒動の罪を問われ厳罰に処された。家族から虐待を受けていたコルネリアの養育権はエーレンフロイト家に移り、コルネリアもアカデミーに通う事になる。恩人であるドロテーアと再開し涙を流すコルネリア。
二人を見守っていたレベッカに、レントは「アウグスティアンに気をつけるように」と告げるのだった。
《登場人物紹介》
【コルネリア・フォン・ハイドフェルト】
赤褐色の髪に青緑色の瞳の少女。レントと妻アンネリエの間の娘だが、二人が離婚した後生まれたので、アンネリエの再婚相手のハイドフェルト男爵の子供として育てられた。養父は早くに死んだ為、跡を継いだ義兄に母共々虐げられて育つ。母がいた頃は、母の持ち物を売って何とか生活していたが、母が病死すると食事も与えられず離れに押し込められ、暴力を振るわれる生活になった。
認知症を患った大伯母と一緒に悪名高いマイフェルベックの修道院に行かされる事になり、一目実の父に会いたいと思って家出してやって来た王都で偶然レベッカと知り合う。
その後、追って来た親戚に路上で暴力を振るわれるが、レベッカに救い出された。
児童虐待の問題について重く考えていた国王に、親戚一同は重い罰を与えられ、コルネリア自身はエーレンフロイト家に預けられる事になる。レベッカの側を離れない方が良いだろうと、アカデミーに行かされる事になるが、勉強というものをした事のなかったコルネリアは当初アカデミーでの生活に苦労する。しかし、レベッカの心遣いで徐々にアカデミーでの生活に慣れていった。
エーレンフロイト家に対する恩義から、ハイドフェルト家から分割された財産のほとんどを北大陸の生化学者の救出の為に使ってしまう。
王都で天然痘が流行しだすと、レベッカやユリアーナらと共に看護に奔走した。
絵と刺繍が上手く、一周目では宮廷画家に選ばれていた。教育を全くといっていいほど受けて来なかったので常識に乏しく語彙力が無い。
その反面、出版禁止用語ではないか?というような単語を知っていたりして、時に周囲を慌てふためいたりもさせている。
【マルティナ】
通称マルテ。フェーベ街で下宿屋を営む女性。口調は乱暴だがとても優しく、涙もろい。甲斐性無しなプラントハンターの夫と音楽学校に留学中の息子がいる。
ひったくり犯に盗まれたカバンを、レベッカが取り戻した事からレベッカと親しくなり、家出中のレベッカを家に無償で泊めてくれる。
田舎の怪情報などに詳しかったりする。
【デリク】
マルテの家の下宿人。『宇宙人発見』という記事をのせたりもする新聞社の新聞記者。貴族の裏情報等に詳しい。
レベッカが知りたい情報をいろいろと教えてくれる。人脈も広く、知り合いが多い。フットワークが軽く、ハイドフェルト領やエーレンフロイト領にも積極的に取材に行ったりする。
取材していて二番目に驚いた経験は、貴族の人妻と不倫していた間男が、急に戻って来た夫にびびって、全裸で公道を走って逃げているのを目撃した事。一番驚いた事は人には言えないらしい。
【レント】
本名フロレント・クラインミフェル。子爵令息で宮廷画家をしていたが、兄が決闘で人を殺してしまい連座で貴族籍を剥奪された。一時期国外追放にされていて、シュテファリーアラントで暮らしており、そこでマルテの息子と友人になった。
病気で余命宣告をされた為、ヒンガリーラントに戻って来て、マルテの家に下宿をしている。
アンネリエという妻がいたが、連座されないよう離婚をしている。
レベッカが家出をした責任をかぶり、その代わりとして娘のコルネリアをレベッカに託す。
彼の絶作となる『聖少女達』という絵は、王室の買い上げとなり、国立美術館に飾られる事になる。
【アーダルベルト】
ハイドフェルト男爵の妹の夫。ハイドフェルト男爵の命令でコルネリアを追って来る。田舎では無敵の身分で、その論理を王都でも押し通そうとし、殺人未遂の罪で捕えられた。当初は自分の方が被害者だと言い張ったが、改悛しない殺人未遂犯は死刑にされると知って、発言を翻す。
しかし、男爵の命令に従っただけと言い張ったので、男爵夫婦や自身の妻にも重い罰が下る事になった。
ガレー船での懲役刑が課される事になるが、それ以前に、文子時代数多のホームランをバッティングセンターでかっ飛ばして来たレベッカにイーゼルで叩きのめされ、前歯と肋骨と鎖骨を折る重傷を負わされていた。
さすがにやり過ぎたか?と思っていたレベッカだったが、過去にコルネリアを手込めにしようとした事があると知り、死刑でも生ぬるい奴だったと怒りに燃えた。
【ドロテーア】
ハイドフェルト領の領民。独身の頃は学校の教師をしていた教養のある女性。ギャンブル好きの夫の借金のカタとして娼館に売られたが、美人で教養があったのでハイドフェルト男爵に身請けされ、愛人になっていた。しかし、同じ立場の女性が十数人いたうえ、寵愛を争う事もしなかったので、あっという間に飽きられて忘れられていた。離れに閉じ込められ、貧相な食事しか与えられていなかったが、そのつましい食事をコルネリアに分けてあげていた。
ろくでなしな夫は、領主の愛人になった後もドロテーアに金をたかっていたが、残して来た息子の為にドロテーアはお金を渡していた。
コルネリアが修道院に行く前に、父親に一目会いたいと言うと、自分の持っていたお金を全部渡して会いに行くよう勧めてくれる。
ハイドフェルト家が没落すると館を追い出され娼館に戻っていたが、コルネリアの侍女兼家庭教師にさせる為、アルベルティーナがデリクに頼んで迎えに行かせた。その後は、コルネリアの侍女としてアカデミーの寄宿舎で暮らしている。
レベッカがデリクに何かを聞いたり頼んだりする時、いつも間に入ってくれる人である。
【ハーラルト】
通称ハル。ドロテーアの息子。母親は貧乏が嫌でおまえを捨てて貴族の愛人になった。という祖母の嘘を信じて、会いに来てくれた母親に暴言を吐くが、成長して道理がわかるようになると、父親が悪く母親が被害者だという事に気づく。父親が家に金を入れず祖母も家を出て行ったので、酒場で皿洗いをして食事をもらっていた。
王都へ行く事になったドロテーアが会いに行くと、母親に泣きながら謝り、一緒に王都へ行く事を希望する。
ドロテーアは男子禁制の寄宿舎で暮らす事になったので、マルテの下宿屋に下宿し、マルテとデリクが世話をする事になったが、幼くてもしっかりしている為、どちらかというとデリクの方がお世話されている。
新聞記者という職業に憧れ、午前中は学校へ行き、午後からは新聞社でアルバイトをするという生活をしている。天然痘が国内で流行すると、デリクについてエーレンフロイト領に取材に行き、途中の道で野犬にかじられかけたりした。
【ビルギット】
アルベルティーナの護衛騎士で、ヨーゼフの乳母。
エーレンフロイト騎士団の女子派閥の会長。
元々はシュテルンベルク家の騎士で、独身の頃からアルベルティーナに仕えていた。
夫はエーレンフロイト家の生き物係で、騎士団の馬達やニワトリにアヒル、ウズラの世話をしている。ヨーゼフと同じ年の息子は、ヨーゼフ付きの従僕をしている。
【ローデリヒ・フォン・ローテンベルガー】
ローテンベルガー公爵家の若き当主。従姉に当たるオリーヴィアが、当時王太子だった現国王と恋に落ち、怒った王妃に濡れ衣を着せられ祖父と父が自死に追い込まれる。その為、五歳で公爵位を継ぐが苦難の連続な人生だった。姉のテレージアは、レベッカの父フランツと婚約していたが、王家によって引き裂かれた。
一周目では、レベッカの死後王室に反逆する。
【アーデルハイド・フォン・ローテンベルガー】
ローデリヒの妻で公爵夫人。ローデリヒとは親戚同士の間柄で、アズールブラウラントの伯爵家の出身。夫を深く愛しているので、夫に苦難を強いたヒンガリーラントの王族や貴族を恨んでいる。
《用語説明》
【フェーベ地区】
王都の職人街で第二地区にある。
糸紡ぎ、機織り、染色、刺繍など織物に関する工房が多い地区。職人が作った商品を取引や買い付けに来る商人も多いので宿屋も充実している。
この街にあるパン屋のパンは、野球のバットのように硬い。
【ハイドフェルト家】
男爵家。非常に貧しい領地で、領主が領民から金を巻き上げる為ギャンブルを奨励している。領民をギャンブル漬けにした後、借金のカタに娘や妻を娼館に売らせ、その中から美しい女性を領主が愛人として身請けしている。
領地の治安はものすごく悪く、霊園ですら強盗が出る。
コルネリアを虐待していた事がわかると重い罰を下され、一気に凋落した。
【ローテンベルガー家】
公爵家。先代の公爵の妹が先代国王の第二妃で、第一王子を生んでいた。
その為、第二王子を生んでいた王妃と熾烈な後継者争いをする。第一王子が病死し、後継者争いは終わるが、その後一族の娘のオリーヴィアと第二王子が恋人になり王妃を激怒させる。
怒った王妃と第二王子の舅であるディッセンドルフ公爵に『偽金作り』をしている、という濡れ衣を着せられ、当主と跡取りの長男が自死に追い込まれる。新しく公爵になった孫は、貴族社会と縁を切って生きてきた。
ブルーダーシュタットでは『ローテンベルガーは家畜のようにおとなしく、エーレンフロイトは野獣のように猛々しい』と言われている。
国税支払い額第六位の領地。製塩業が盛んでワインの名産地。海洋水産大学があり、レベッカの父のフランツは羨ましいと思っている。
【シュテファリーアラント】
西大陸中部にある国。国民総音楽好きの国民性で『音楽の王国』と呼ばれている。
余命宣告されたレントがヒンガリーラントに戻って来るまで、この国で暮らしていた。この国の王女が、ヒンガリーラントを表敬訪問した時、ものすごくルートヴィッヒに言い寄って来た。
【アズールブラウラント】
ヒンガリーラントの東側にある国。アルト同盟の宗主都市ヴァールブルクを始め、大きな港町がたくさんある。
国際法を学べる法科大学がありレベッカの父親が留学していた。その為レベッカは三歳になるまでアズールブラウラントに住んでいた。
外国との交易が盛んな為、珍しい物をたくさん売っている。砂糖もヒンガリーラントよりはるかに多く輸入しているので、ヒンガリーラントよりもお菓子のクオリティーが高い。