軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

デリクの調査

コルネリアの話を泣きながら聞いていたお母様だったが、それはそれ、これはこれ。コルネリアのいない場所では冷静だった。

「幼い子供を上手いことたぶらかしていただけ、という可能性もありますからね。その3人が信頼に値する人なのか、きちんと調査しましょう。」

その調査役に抜擢されたのは、何と新聞記者のデリクだった。

デリクは私が家に帰ってすぐ、ハイドフェルト領の内情を調査する為ハイドフェルト領に潜入取材をした。そして、調べ上げた情報を新聞に載せた。その新聞を読んだお母様は、デリクの情報収集力、そして人間性を信頼し調査を依頼したのである。

デリクの書いたハイドフェルト領の内情は悲惨の極みだった。

元々、土地が痩せていて、資源になる鉱物も領を代表する特産品も無い。治安があまり良くないので行商人も寄りつかない。そんな貧しい領地では税金もあまり集まらない。無理に徴収すれば、領民の反感を買う。そこで、男爵が領民から金を搾り取る為に考案したのがカジノだった。

賭博では、誰もが勝ったり負けたりするが、1番儲かるのは胴元の男爵家である。

羽振りが良いのは一部の人達だけで、ほとんどの領民が大量の借金を抱えた。金を貸すのは男爵家で、それに高い利息をつけた。

借金が返せないと私財を差し押さえ、娘や妻を娼館に売らせた。女好きの男爵は、その中から美しい女性達を選んで、自分の愛人にした。

一回、大勝ちすれば苦もなく大金が手に入るので、領民は勤勉に働くのをやめた。昼間からカジノに入り浸り一攫千金を夢見た。

借金が増え、心に余裕がなくなると、カツアゲや強盗などの犯罪が多発した。領主がそれを取り締まらず、賄賂を払えば犯罪を見過ごすので、道徳は荒廃し治安は悪化する一方だった。

デリクがハイドフェルト領で見たのは、荒れ果てた農地と、昼間から酒に溺れダラダラとしている男達と、光の無い目をした女と子供達だった。

余所者のデリクが領都に入ろうとすると、他の街と比べ物にならない高い通行税を取られ更に賄賂を要求された。

街に入るや否や物乞いの子供らが殺到し、1時間で3回もカツアゲに遭ったという。

そんな街に、自分の部下を行かせたくないからって、デリクに調査に行ってくれなんて、お母様ったら鬼だなと思ったが、デリクはその街が更にどう変化したか追跡取材をしたかったらしい。でも新聞社の社長にもうこれ以上金を出せないと言われたらしくて、お母様が費用を全額負担すると言ったら喜んでハイドフェルト領に出かけて行った。

で、調査したところ、その3人の女性達の人間性に問題はない。との事だった。

男爵が牢に入れられた後、男爵家では大規模なリストラが行われ、キッチンメイドのロミルダはクビになっていた。それで仕方なく、貧しい農家の実家へ戻っていた。

侍女のアリーセは男爵家で働いていたが、急にたくさんの人が辞めさせられたせいで仕事量が倍以上に増え、疲れ果てていた。しかも男爵夫婦が戻って来るまで、給料は払えないと言われたのだそうだ。

2人共、王都で働きたいと強く希望したという。

ドロテーアは、他の愛人達と一緒に事件の直後領主の館を追い出されていた。夫の元に帰ることもできず、以前いた娼館に身を寄せていたそうだ。それでも、コルネリアが、侯爵家に庇護された、という話を聞いた時は嬉しそうに「良かった」と言ったそうだ。

お母様は3人を、王都に呼び寄せる事にした。

3人を迎えた場所は、第二地区にあるエーレンフロイト家の別邸である。

3人がやって来る日。コルネリアは朝からそわそわしていた。やがて3人が到着すると、3人の中で1番年上に見えた女性にコルネリアは抱きついた。女性も「無事で良かった。」と言って、ぎゅっとコルネリアを抱きしめた。

コルネリアに毎日、食べ物を分けていたというエピソードからも予測できる事だったが、ドロテーアも痩せた女性だった。金色の髪にやたら白髪が目立つのは苦労の多い人生だったからだろうか。それでも、とても笑顔が美しい女性だった。