軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

独身おじさん、空を舞う

さて、ロッソたちとバーベキューを楽しみ、海で素潜りをしたり、砂浜でのんびりしたりと時間が過ぎた。

夜はみんなで町へ繰り出し、楽しく酒を飲む。

途中、ティガーさんたち家族も合流したり、仕事を終えたサンドローネたちも合流。人数が増えたので、アレキサンドライト商会が経営する酒場を貸し切って……って、いつの間にアレキサンドライト商会がザナドゥで飲食店やってたんだ……まあいい。

とにかく、居酒屋を貸し切って飲み会をした。

俺は酔いつつも、サスケとイェランに言う。

「おいサスケ、イェラン!! 明日はいよいよパラセーリングだ。気合い入れていくぞ!!」

「わかってるって。任せてよ」

「ああ、オレもどんな遊びなのか気になるしな」

明日は、サスケとイェランの三人で沖に出て、パラセーリングを楽しむ……まあ、楽しむというより実験に近い。俺の作ったパラシュート、ちゃんと機能する……はず。

ボートも、パラセーリングに対応した装備にしたし、試運転もバッチリだ。

すると、サンドローネが言う。

「そのパラセーリングとかいうの、どういう遊びなの?」

「ふっ……広大な海を大地とし、青空を舞うアクティビティさ」

「は?」

サンドローネは「何言ってんだこいつ」みたいな目で見た。

「とにかく、成功したらお前も乗せてやるよ。なあリヒター」

「え、ええ。その時は私がボートを操縦しますので」

「おう」

「ねーねーおっさん。アタシらもそれで遊べるんだよね?」

「……興味ある」

ロッソ、アオがジョッキ片手に俺の背中にくっついて両肩から顔を覗かせた。

胸が当たってるが、酔ってるのか気にしていない……まあ、俺も気にしてないけど。

「ああ。実験が成功したら、お前たちも乗せてやるよ」

「やったー!! あ~楽しみ。おっさんはやっぱり最高だわ」

「……うん。おじさん、好き」

アオが俺に頬ずりしてきた。猫みたいで可愛いな。

パラセーリング、何としても成功させないとな!!

◇◇◇◇◇◇

翌日。

俺はキッチンで、三人ぶんの朝食の支度をしていた。

ザツマイを焚き、魚を焼き、漬物を皿に盛り、持参した味噌であら汁を作る。

すると、サスケが来た。

「ふぁぁ……おっさん、おはよー」

「おう。朝飯の準備、もうできるぞ」

「おお、悪いね。ってか、起きるの早いな」

「ああ、パラセーリングが楽しみで目が覚めちまったぜ」

「……子供かよ」

サスケは、甚平みたいな寝間着だ。さすがアズマ人。

俺はランニングシャツに短パン……俺も甚平欲しいな。

そしてもう一人、シャワーを浴びたのか髪を拭きながらイェランが来た。

「ふぃ~、気持ちよかった。ゲントクの別荘、シャワールームも広くていいね」

「だろ? うちに来て正解だ」

イェラン。最初はホテルに泊まるつもりだったが、かなり酔っていたので近いうちに泊ったのだ。最初は嫌がっていたが、最終的には諦めたのか別荘へ。

サスケより早く起き、シャワーを浴びて復活したようだ。

「はぁ~……ねえゲントク。あたし、ここに泊まっていい? いろいろ言ったけど、ここのが気楽でいいわ」

「ああ、好きにしろよ。サスケも遠慮しないで、うちにあるモンは何でも使っていいからな」

「へへ、ありがとな。今夜奢るぜ」

ちなみに、初日はみんなで大騒ぎしたけど、今日からはそうじゃない。

ロッソたちは冒険者ギルドで依頼を受けるし、ティガーさんやドギーさんたち家族は保養施設を買うために不動産ギルドに行く。

バレンたち、朝飯も食わずに早朝から出て行っちまった……何日か帰らないって言ってたし、ロッソたちと分担して依頼を受けるんだろうなあ。

と、考えるのはここまで。

「さあ、朝飯食って一服したら、さっそくパラセーリングだ!! やり方とか説明するぜ」

「ああ、わかったぜ」

「ん~、楽しみかも」

俺の作った朝食は二人に好評だったが……コーヒーは「無理」と拒否られた……うーん、コーヒー仲間がそろそろ欲しいぜ。

◇◇◇◇◇◇

さて、一服し、俺たちは水着に着替えてボートの前へ。

俺は海パンにアロハシャツ、サスケはハーフパンツに俺とは違う和風チックなアロハで、前を全開にして肌を見せている。

イェランはビキニ。でも下は短パンというスタイルだ。

「な、なんだよ」

「いや、似合ってるぞ。なあサスケ」

「ああ、いいと思うぜ」

「う、うるさいし。ったく、男ってのは……」

なんか水着を見ていたら怒らせてしまった。胸もけっこうあるし、腰もくびれてるしスタイルはすごくいいと思うんだがな。

さて、ボートに乗り込み、サスケの運転で入り江を抜ける。

「まず運転はサスケ。イェランはパラシュートの準備を頼む」

「おう、任せてくれ」

「はいよ。えーと……これだよね」

沖に走りながらパラシュートを開くと、風の影響で一気に広がった。

だが、ハーネスの辺りで止まる。

コードを巻き取るドラムにロックを掛けているので、これ以上コードは出ない。

「サスケ、そのまま運転。イェラン、ハーネス付けるの手伝ってくれ」

「うん……これに乗るんだよね」

ハーネスは、ブランコのように座るように作り、紐で身体を固定するタイプだ。

俺はハーネスに身体を固定し、部分個所をチェック。

「よし。サスケ、少しずつ速度を上げてくれ。イェランはドラムのロックを解除、少しずつコードを伸ばして、俺を上空へ送ってくれ」

「わかった。回収するときは……」

「ドラムに『回転』の魔石を組み込んでる。魔力を流せば回転し、コードを巻き取る仕組みだ」

「うん。ってか、よくこんなの考え付くね……」

「遊びは全力全開さ。よし……行くぞ!!」

実験開始。

サスケは、ボートの速度を少し上げる。

イェランがドラムのロックを外すと、ゆっくりコードが伸び、パラシュートが風圧で上昇していく。

やべえ、ワクワクドキドキしてきた。ってかこれ成功じゃね?

「すっご!! サスケサスケ、ゲントクが飛んでくよ!!」

「おお~!! おっさん、速度このまま維持するぜ!! 上げてほしい時は手で合図くれ!!」

俺は『了解』の手信号をする。

事前に『上昇』と『巻き取り』の手信号は決めておいたからよかったぜ。

そして、パラシュートはぐんぐん上昇……高度が上がるにつれ、風も穏やかになってきた。

「うおお……た、たけえ!! っはっはは!! 成功、成功だぜ!!」

パラシュートはかなりの高度まで飛んでいた。

すごい景色だ。ボートが豆粒みたいな大きさで、俺の別荘がミニチュアみたいに見える。

さらに、一般開放されているビーチも良く見える……お?

「あれは……ザナドゥの王城かな?」

そういや、忘れそうになるけどザナドゥって王政なんだよな。国王とかもいるんだよなあ。

真っ白で綺麗なお城が見える。ネズミの王国のお城みたいに綺麗な感じ。

ビーチには、多くの人がゴミ……ではなく、ゴマ粒のように見えた。

「うわぁ~……これ、注目されてるよなあ」

海を見ると、船外機ボートが俺のボートに向かってるのが見えた。まあ、悪いことしてるわけじゃないし、イェランとサスケは適当にあしらうだろう。

そして、俺は双眼鏡(普通に売ってた)を取り出し、ビーチを眺める。

「あれ? あれは……ロッソたちか?」

ビーチにロッソたちがいた。

冒険者スタイルで、俺に向かって手を振っているように見える。依頼でビーチまで来たのかな?

俺は手を振り返すと、ロッソがぴょんぴょん跳ねながら、ブランシュは控えめに、アオは片手をブンブン振る……こりゃ近く『私たちも乗せて!!』ってくるだろうなあ。

すると、ボートが旋回……パラシュートも動く。

「お、そろそろ帰るのか」

双眼鏡でボートを見ると、イェランが『そろそろ巻き取るよ』と手信号。

俺も『了解』と手信号を送る。そうするとイェランがドラムに魔力を流し、回転させてコードを回収する。

コードが巻かれ、俺は少しずつ降下……そして、ボートまで戻って来た。

「おかえり。どうだった?」

「クッソ楽しかった!! いやマジで、上空最高!!」

「く~、あたしも次やるから!!」

「おう。交代だ!! サスケ、悪いけどお前はその次な!!」

「ああ、ってか空を飛ぶなんてマジすげえよ……おっさん、すげえ遊び考えたな」

「ははは!! よーしイェラン、ハーネス装着だ」

「はいよっ」

この日、昼飯を食うのを忘れ、俺たち三人はパラセーリングを楽しむのだった。