軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

砂漠の国の冒険

その後も、いろいろなところを回った。

ジャングルではない普通の森である『アルジェント大森林』では、多くの動物たちが住む綺麗な森だった。ここはかなり広いらしいので木材を調達するのにぴったりだ。

バレン、アオの希望で向かったダンジョン。

合計三つほど回った。まず、アルジェント大森林の奥にあった遺跡型ダンジョン、そして砂漠の中央にあった巨大なタワー型ダンジョン、最後は砂漠にあったピラミッド型ダンジョン……ってかピラミッド、マジで地球で見たピラミッドのまんまで懐かしさを感じてしまったぜ。

全部のダンジョンを見て二人は言った。

「バレン、ここすごいね」

「ああ。これだけの規模で未登録のダンジョンだなんて。どれだけの宝があることやら」

「……ううう、依頼じゃなかったら踏み込んでたかも」

「さすがに、準備をしないと入れないね。調査も必要になるだろうし……この国に冒険者ギルドの設置は決まったようなものだね」

「うん。絶対一番乗りしたい」

よくわからんけど……冒険者にとって、未登録で未開のダンジョンに最初に入ることはかなりレアなケースで、冒険者にとって一度は経験したいことらしい。

バレンはユストゥスに「町に冒険者ギルドの設置もお願いします」と言い、ユストゥスはメモを取りながら頷いていた。

どうやら、砂漠のダンジョンはかなり危険なようだ。

他にも、遺跡やオアシスを経由しつつ調査をし、俺は思ったことを言う。

「なあユストゥス。この遺跡、そのまま町として使えるんじゃないか? 住居みたいなのもあるし、オアシスもある。ドギーさんたちのスパイス場へ向かう経由地にもできるし、木材とか運ぶための中継地点にもなる。それこそ、ダンジョンに向かうために冒険者たちが休む宿とか、町とかにもできるしな」

「なるほど……確かに」

遺跡……というか、元は町だったんだろう。

ガルガンティア鉱石で作られた住居は規則的に並び、砂だらけだが井戸もある。

というか……アルジェント砂漠って、こういう遺跡に人は普通に住んでいたんじゃないだろうか。何らかの理由で放棄して、獣人たちが住み着き、争いになり、誰も調べる人がいないまま放置されて、いつの間にか未開の地になったのか……なんて。

まあ、この砂漠の歴史なんてどうでもいい。

「使えるモンは何でも使った方がいい。ユストゥス、これまで回った場所の地図、遺跡もチェックしてるよな?」

「もちろんです」

「なら、ドギーさんたちが知る範囲で遺跡をチェックして、町として使えるならそのまま人が住めるようにした方がいいんじゃないか? スーリヤオアシスでは国をイチから作って、他のところはそのまま町として使うとか」

「いい案ですね。サンドローネ商会長に報告します」

こんな話をしながら、砂漠探検は続いた。

◇◇◇◇◇◇

一週間ほど、ユストゥスが詳細な地図を作りながら砂漠、ジャングル、森を回った。

道中、ヤバい魔獣も多く出た。デカいワニが砂からいきなり飛び出した時は死を覚悟したぜ。まあ、ドギーさん夫婦、アオとバレンは落ち着いてたけど。

そして、バレンが討伐したワニの肉を一部切り取り、今日は小さいオアシスで野営だ。

調理は馬車のキッチンがあるので、俺とシュバンが腕を振るう……まあ、肉を焼いたりスープを作るだけなんだがね。

「わううー」

「ん? シアちゃん、どうした」

「おじさん、ヒコロクのごはん、わたしがあげていい?」

「ははは。シアちゃんはヒコロクが気に入ったみたいだな。よし、おじさんと一緒にエサをやろうか」

シュバンに調理を任せ、俺はシアちゃんを抱っこして外へ。

外では、アオがヒコロクのブラッシング、ドギーさんとベスさんは周囲の見回りをしていた。

「……おじさん、シア、どうしたの?」

「ヒコロクのエサを持って来た。シアちゃんがあげたいって言うからな」

「わふ」

エサ入れをシアちゃんに渡すと、ヒコロクの元へ持っていく。

「わふう、ごはんだよ」

『わううう』

ヒコロクはシアちゃんに感謝するように顔を寄せた。そして、ザツマイとサイコロステーキにしたワニ肉を混ぜたご飯を食べ始める。

シアちゃんは、その様子をジーっと見ていた。

「シア、ヒコロクにすごく懐いてる」

「だな……うーん、別れる時、ギャン泣きするんじゃないか?」

「だね。でも、仕方ない」

ご飯を食べ終えると、ヒコロクはオアシスの水を飲み、そのまま馬車の傍で座って丸くなる。

『わうう』

「わうわう、わうう」

ヒコロクが鳴くと、シアちゃんも鳴く……そして、丸まったヒコロクの身体に潜り込み、そのまま寝てしまった……って、いいのか?

すると、ベスさんとドギーさんが来た。

「あの、シアちゃんがヒコロクのところで寝ちゃいました……起こした方がいいですか?」

「……いえ。よろしければ、そのままでお願いします。犬という動物は砂漠にはいないので、気になるのでしょう」

「……そういや、砂漠に犬っていないよな」

「ええ。他の動物はいるんですけどね……ネズミ、牛、虎、ウサギ、トカゲ、蛇、馬、羊、サル、鳥、猫、イノシシと、砂漠の十二部族を象徴する動物の中で、犬だけはいないんです。代わりに猫が」

なんじゃそりゃ……ってか、今のって干支だよな。

竜の代わりにトカゲで、犬の代わりに猫か……ってことは。

「猫はいるんですか?」

「ええ。砂漠猫という、猫獣人たちの集落で暮らしています」

砂漠猫……どんな猫かな。やっぱ毛のないネコなのかね。

するとアオが言う。

「十二種族……みんな、強い?」

「ええ。長らく争っていましたが、今はもう一人の王に忠誠を誓う仲間です」

リオのことか。

ネズミ獣人の代表で戦って勝利したんだっけ。

強き者に従うか……誇り高き獣人たちの、命を誇りを賭けた戦いに勝利したからこそ、禍根のない、スッキリした気持ちで、最強であるリオに従えるんだろうか。

すると、ドギーさんが言う。

「ゲントク様。一つ……お願いをしてもいいですか?」

「え? ああ、どうぞどうぞ」

「ありがとうございます。実は……ゲントク様は、相当な強者と伺いました。鋼を身に纏い、空を駆け、光の力を操る武人と、宴会の時に申していましたよね。その話を聞き、十二種族の戦士たちは。万全の状態のゲントク様とぜひ手合わせをしたいと申しておりまして」

「…………」

え、どゆこと。

「え、どゆこと」

しまった、思ったことがそのまま声に出てしまった。

するとアオが言う。

「おじさん、アーマー着て手から光出したり、空飛んでたよ。すごく酔ってたから覚えてないみたいだけど、みんな驚いてた」

「…………」

き、記憶にねえんだが……え、やっちゃったこれ?

「しかもおじさん、『挑戦待ってるぜ!!』なんて言ってたよ。そのあとすぐ倒れて爆睡しちゃったけど、獣人のみんな、おじさんに挑戦するって興奮してた」

「…………」

……な、なんか猛烈に記憶が蘇ってきたような。そんなこと言ったような。

するとユストゥスが隣に来て眼鏡をクイッと上げた。

「その話、私も覚えています。ふむ……ちょうどいいですね。コロシアムで最初のイベントとして、ゲントク様に戦ってもらいましょうか」

「あの」

「おお、それはありがたい。いやあ、十二種族の戦士たちも、皆喜びますよ」

「えと」

「ふふふ。あなた、帰ったらちゃんと種族代表を集めて話さないとね」

「その」

「もちろんだ!!」

「ふむ……サンドローネ商会長と、計画を練りましょう。獣人たちにコロシアムでどのような戦いをするか、イベントのやり方の説明にもなりますしね」

「……その、あの」

きょ……拒否、できないよねこれ。

嘘だろ、俺そんなキャラじゃないのに、何故かコロシアムで戦うことになるのだった。