軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

遺跡とダンジョン

翌日

いやー、昨日はカレーパーティーのおかげでめちゃくちゃ盛り上がった。

ナッシー酒を飲みながら大量に作ったスパイスカレーを食べた。みんな、負担は丸かじりしているウコンっぽい芋とか、焼いた肉にかけるクミンとか、小腹が空いたときに食べるコリアンダーっぽい実とかが、『調理』するだけでこんなにも化けることに驚いていた。

俺はテントから出て大きく伸びをすると、ベスさんが来た。

「おはようございます。ゲントクさん。朝食の用意ができていますので」

「あ、どうも」

さて、朝食だが……もぎたての果実、焼いた肉だった。うん、まあいいけど、朝から肉は重いぜ。

肉は少しだけ食べ、果物を食べる。

すると、すでに起きていたアオ、ウング、ユストゥス、ドギーさんが来た。

「……おじさん、おはよう」

「おっす。お前ら、よく寝たか?」

「ははは。ゲントクさんも、よく寝ていましたね」

アオ、バレンはいつも通り。ユストゥスも変わらない。

俺は果物を食べ終え、大きく伸びをして言う。

「さーて、今日の予定は?」

「森を出て、遺跡に向かいます。砂漠には多くの遺跡がありまして……我々は休憩するときなどに立ち寄るだけですが、ゲントク様から見れば何か発見があるかもしれません」

ドギーさんが言う。

遺跡か……砂漠の遺跡。そういやダンジョンとか言ってたような。

まあ、それらも含めての調査になるだろうな。わくわくする。

そしてユストゥスが眼鏡をキランと光らせて言う。

「ゲントク様、ドギーさんと相談しまして、この犬獣人の集落ですが、希望者を募り『スパイス栽培所』として利用することにしました。森を開拓し、使えるスパイスの原料を植え、『カレー』の材料も同時に栽培することにします」

「おお、そりゃいいな」

「詳しいことはサンドローネ商会長と相談しますが……このアナイアレイトジャングルは、スパイス生産場として、多くの獣人たちの雇用を生み出すでしょうね」

ちなみに、昨日は飲み会をしながら、アナイアレイトジャングルで食われている食材などを全部見せてもらった。

驚いたわ。スパイスの原料だけで十種類以上あった。俺もインド旅行で見ただけなので全部はわからんけど……匂いとかから、たぶんこのジャングルに三十種くらいのスパイスがある。

パクチーみたいな植物もあったし、探せば大量にあるだろう。

俺は、集めて見せてもらったスパイスの原料に名前を付け、ユストゥスがメモし、これから村にいる犬獣人たちが栽培するという。

ジャングルを切り開いて畑を作るので、犬獣人だけじゃなく、他の集落の獣人たちにも声をかけるとかなんとか。

「なあユストゥス。昨日のカレーはそのまま食べたけど、ザツマイと合わせて食うのが真の食べ方だ。砂漠で作るのは難しいかもしれないけど、貿易品としてはアリかもな」

「なるほど……!! ザツマイ、馬車の中に少しありましたね。ゲントク様、あとで試作を」

「任せておけ」

さて、シュバンが待ってる馬車まで戻り、遺跡を目指すとしますかね。

◇◇◇◇◇◇

ジャングルを逆戻りし、馬車が止まっている入口へ戻って来た。

「わうう、ヒコロクー」

『くうん』

日陰で寝そべっていたヒコロクに、シアちゃんが飛びついた。

そして、馬車の掃除をしていたシュバンが出迎える。

「お帰りなさい、皆さん」

「お疲れ。留守番、大丈夫だったか?」

「ええ。手の長いサルがいましたけど、ヒコロクが睨むと逃げて行きましたよ」

ロングアームモンキー、ここにもいたのか。

アオがシアちゃんを抱っこし、ヒコロクの背中に乗せているのを見つつ、ドギーさんに言う。

「ここから遺跡は近いんですか?」

「一番近いところですと……この馬車の速度なら一時間かかりませんね」

「……あの、どれくらいの遺跡があるんですか?」

「数えたことはありませんが……魔獣が現れるところを加えると、大小合わせて百以上はあるかと」

そ、そんなにあるんかい。

驚いていると、ユストゥスとバレンが割り込んできた。

「では、ドギーさん、ベスさんが知る中で、一番大きな遺跡を三つほどチョイスしてもらっていいでしょうか? ああ、魔獣が出ないところで」

「それと、ボクからお願いしたいんだけど……魔獣が出る大きなところも、三つほど位置を教えてほしいですね。遺跡だけじゃないところも含めて」

「合計六つですね。わかりました、では順番に行きましょう」

つまり、デカい遺跡が三つ、ダンジョンを三つか。

どんなところかな……旅行じゃないけど、なんだかんだでワクワクする俺だった。

◇◇◇◇◇◇

さて、馬車で移動している間、俺はキッチンでカレーを作った。

スパイスを入れた三種のスパイスを使ったチキンカレー……今回はザツマイも炊いた。

カレー皿にザツマイをよそい、カレーをかける。

「さあ、完成だ……これこそカレーライス、日本の国民食、週に一度は食べたい晩ごはんナンバーワン!!」

すまん、適当なこと言ったわ……あ、うちでは週一でカレーだったけど。

砂漠の岩場に馬車を停め、みんなでカレーを味わう。

ご飯とカレーを絡め、一緒に食べる……うううううう、これはもう。

「うまい!!」

「お、おいしい……!!」

「……おじさん、これおいしい!!」

「すごい。辛みとザツマイ、そして肉と野菜が絶妙にマッチしている……!!」

「わうう、おいしいー!!」

「……これが、我ら犬獣人が食べていた食材で作った物だなんて」

「……これが文明の力なのね、驚いたわ」

「おおお、これは美味い。レシピ……お嬢様に報告しなくては」

俺、ユストゥス、アオにバレン、シアちゃん、ドギーさんとベスさん。シュバンが驚いていた。

ふふふふふ、カレーの美味さを思い知ったようだな。ざまあみやがれ!! って、べつにざまあ見ることはなかったぜ。

みんながおかわりし、カレー鍋は空っぽになった。

「ふうう……おじさんと一緒でよかった。ロッソに自慢しよ」

「あはは、喧嘩になるんじゃないかい?」

「かもね。ふふふ」

アオ、バレンが仲良く会話してる……これもカレー効果かな。

一応、食材はサンドローネたちにも食べさせるため、残してはある。

食休みをし、馬車は再び走り出す。

そして、最初の遺跡が見えてきた。

「ゲントク様、あれが最初の遺跡で、私たちが知る中で、一番大きな遺跡です」

「……ウッソだろ」

遠くからでもわかった。

その遺跡のデカさ。そして、どこかで見たことがあるような形。

馬車が近くて止まり、俺たちは降りる。

「……大きいね」

「そうだね。独特な形をしているね……何の遺跡だろう?」

アオ、バレンが遺跡を見上げつつ言う。

意外にも、石畳で歩きやすい。所々に石柱が立っていた。

俺は落ちていた『加工された岩』を手に取り、目の前にある『遺跡』を眺める。

「これ、マジか……」

「ふむ。これは『ガルガンティア石』ですね。硬度が非常に高く、加工しづらい石ですが……頑丈さだけなら、金属に匹敵する岩です」

ユストゥスが俺の手にある岩を見て言う。

「なるほどな。どうりで、遺跡という割には劣化も少ないし、倒壊しているところも少ない」

俺が言うと、ベスさんが言う。

「ここは見ての通り大きいので、休憩所として重宝しています。中も綺麗なので、そのまま休むこともできますよ」

「……こりゃ決まりかな」

「ゲントク様、何か思いついたんですか?」

ユストゥスがメモの用意をしながら言う。

俺は歩き出し、遺跡内部へと進む。アオ、バレンが隣に並び、シアちゃんが背中に飛びついてよじ登って来た。

そして、通路の奥に進むと……目の前が開けた。

「観客席に、中央に開けた空間……こりゃ、異世界版のコロッセオだ」

そう、どう見てもこの遺跡は……闘技場、コロッセオにしか見えなかった。

◇◇◇◇◇◇

俺は周りを見渡す。

「これ、観客席だよな」

「恐らくそうですね。ここでは、何か行われたのでしょうか?」

「まあ、過去の文献とかあればわかるかもな。でも……ここはピッタリだ」

「何がでしょう?」

メモの用意をするユストゥス。

ドギーさん、ベスさんも気になるのか近づいてきた。

「ドギーさん、ベスさん。皆さんって『戦士』ですよね」

「ええ。その通りです。砂漠に生まれた獣人は皆、戦士としての教育を受けます。全ての部族が統一され、争いは無くなりましたが……」

「ぶっちゃけ聞いていいですか? その……戦いたくなることってあります?」

「……ええ。血が滾る時はありますね。獣の血でしょうか……ははは」

ベスさんも苦笑していた……うん、同じみたいだな。

俺は提案する。

「だったら、ここで『闘技大会』なんて開催したらどうです?」

「「闘技大会?」」

ドギーさん、ベスさんが首を傾げる。

「ええ。ここで、力を持て余している獣人戦士たちが戦うんですよ。周りには多くの観客席もあるし、お金取って観光客を観戦させるのもいい。年に一度、各種族からの代表選手とかが誇りを賭けて戦うのもいい。トーナメント方式にして、優勝した戦士は『チャンピオン』として名を馳せる」

「「…………」」

「今はもう、獣人たちは統一したんですよね。戦士同士が戦うこともなくなったみたいですし……その、命を奪い合う戦いじゃなくて、戦士としての誇りを賭けた『決闘』とかなら、いいのかな……なんて」

な、なんかドギーさん、ベスさんが無言になった。

ユストゥスは高速でメモを取っている。アオ、バレンはさりげなく俺の隣に来た。

するとドギーさんが言う。

「決闘か……フフフ、それは面白そうだ」

「そうね。そういう戦いはもうできないと思っていたけど……ルールを設けて、この場所で正々堂々とやるのはありかもしれないわ」

な、なんか血が滾ってるのかな……ドギーさんの毛が逆立って見えた。

「あ、あの……あくまで、俺のアイデアなんで。うん、まあリオに相談して決めますか。じゃあ撤収!!」

俺は逃げるようにその場から移動するのだった。

コロシアム、コロッセオ……獣人たちが誇りを賭けて戦う場所として、ここはかなりいい場所だと俺は思った。