軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

『獅子座の魔女』リオ・レオ

七人が一致団結した翌日の早朝、連結馬車が出発。

そして半日ほど進むと、見えてきた。

俺は展望室の窓から外を眺めて驚いていた。

「すっごいな!! あれが大オアシス……『スーリヤオアシス』か!!」

目の前に、巨大な湖……いや、オアシスが見えた。

オアシスの周囲にはヤシの木みたいなのが生えており、小鳥や動物が水を飲んでいる。

湖沿いに進んでいると、サンドローネとリヒター、ユストゥスが来た。

「そろそろ、砂漠の国に到着します」

ユストゥスが言う。

サンドローネとリヒターも窓から外を眺めて言う。

「ここが、砂漠の国……未開の地、私たちの可能性の地……」

「お嬢、大丈夫ですか?」

「ええ。ここの開拓を成功させれば、アレキサンドライト商会が四大商会……いえ、五大商会として名を連ねることも不可能じゃない。リヒター、この開拓事業……成功させるわよ」

「はい、お嬢」

なんかシリアスだな……俺としては、砂漠開発に合わせて、新たなリゾート地として別荘でも構えられたらなんて考えていたんだが。

ユストゥスも、サンドローネとリヒターに言う。

「商会長、リヒターさん。私も精一杯協力させていただきます」

「ありがとう、ユストゥス」

「副商会長。私からも感謝します」

い、居心地悪くなってきた……覚悟が違うせいかね。

煙草でも吸おうか迷っていると、ウングとロッソが来た。

「おっさん、おねーさん、なんか追われてるけど、どうする?」

「……獣人だ。武装しているが敵意は感じねえ。だが、追いかけてくる。数は二十くらいか、種族はごちゃ混ぜで統一感がねえ」

いきなり問題発生かい。

サンドローネとリヒター、ユストゥスを見る。

「……敵意がないなら放置していいと思うわ。こちらは正式に、ファルザン様の依頼を受けて来ているのだからね」

「同意です。ロッソさん、ウングさん、警戒したままでお願いします」

ユストゥスが言うと、ロッソたちは頷いて出て行った。

それから数十分後、窓から見るともう完全に獣人たちに囲まれている。

サンドローネとリヒターが言う。

「……敵意はない。止まれとも言われない。何かしてくるわけでもない……何が目的かしら」

「お嬢、念のため、窓に近づきすぎないように」

リヒターがサンドローネの前に立つ。

さて、俺はどうしようかね。

◇◇◇◇◇◇

敵意を感じないので、俺は御者席へ移動……追っかけてくる獣人たちを観察することにした。

「あれ、おっちゃん。どうしたの?」

御者席にはリーンドゥが座っている。

俺は、並走している獣人たちを見ながら言う。

「いや、追いかけて来てる連中が気になってな」

「なーんもしてこないよ。話しかけても無視だし、最初は後ろにいたのに、いつの間にか連結馬車を囲むように走ってる。なんていうか……護衛してるみたい」

「護衛?」

御者席の近くを走っていた獣人を見る。

乗っているのは馬じゃなくラクダみたいな動物で、乗っているのは女性……頭にツノ生えてるから、鹿の獣人だろうか。しかも人間味があるからハーフの獣人だ。

武器は弓、矢筒を腰に下げ、着ている服は動物の毛皮っぽい。肌の色は浅黒く、砂漠の日に焼けた感じだな。

俺は意を決して話しかけみた。

「おーい!! はじめましてー!! 俺はゲントク、よろしくなー!!」

女性獣人は俺を見たが、頷くだけで何も言わない。

「あのさー!! もしかして護衛かー? 一度止まった方がいいかー?」

「構わない、そのまま進め!!」

なんと、答えが帰って来た。

リーンドゥを見ると驚いていた。

「ウチらも話しかけたけど無視されたのに。おっちゃん、何したの?」

「いや、普通に挨拶しただけだが……」

とりあえず、このまま進めって言うなら進むしかないな。

◇◇◇◇◇◇

そして、ついに見えてきた。

オアシス沿いに進み、陽炎の向こうに見えたのは……数多くのテントだ。

真っ白なテントが、砂漠の真ん中にいくつもある。そして多くの動物、獣人たちがいるのが見えた。

連結馬車の速度が落ちていく。

ヒコロク、ヤタロウが何も言ってないのに速度を落とし始めた。すげえな、頭良すぎる。

そして、護衛の獣人たちも速度を落とす……と、テントの近くに大勢の獣人が見えた。

「な、なんだ……? すげえ数だぞ」

「……おっちゃん。警戒はしてるけど、一応中に戻った方がいいかも」

「いや、大丈夫……なんとなくだけどな」

連結馬車が停止。

獣人の部隊も停止。

そして、テント集落の入口に、百人以上の武装獣人たちが並んでいた。

獣人たちが道を開け、跪くと……一人の女性がゆっくり歩いて来る。

ロッソたち七人は馬車の周囲にいたが、サンドローネたちはまだ出てこない。自動的に、御者席にいた俺に数多くの視線が集中……も、戻っておけばよかったかも。

だが、こちらに向かって来る女性を見て、俺は思わず言う。

「え……エルフ?」

「ほほう。リチアやラスラヌフが言っていた第四降臨者というのはお前のことか」

俺は御者席から降り、こちらに向かって来るエルフの女性……って、おいおいおい。

「で、でかっ……」

女性はデカかった。

身長二メートルくらいはあるだろうか。浅黒い日焼けした肌、傷んだエメラルドグリーンのポニーテール、魔獣の皮や骨で作ったビキニアーマー……ロッソより派手なビキニアーマーだ。

背中にはデカい剣を背負い、俺を見下ろしていた……すっげえ、腹筋バッキバキじゃん。

「初めまして。アタシは『獅子座の魔女』リオ・レオ。アルジェント砂漠の王、スーリヤオアシスの継承者、そしてこの『砂漠獣王国サハラ』の初代女王だ」

差し出された手、俺はおずおずと掴むが……い、いてえ、握力強すぎる。

というか、サンドローネたちまだ降りてこないのかい。

「あ、ああ。玄徳だ。あんたが十二星座の魔女……アツコさんの友人か」

「はっはっは!! 友人、というよりは母親のような存在だね。捉え方はアタシらの中でも違うが……少なくともアタシは『母』だと思ってるよ」

「母親か。あんたも、アツコさんの遺品、持ってるのか?」

「もちろんだ。これなんだが」

リオ・レオが背中から抜いたのは、竹の棒だった。

いや違う、これは。

「なんと、尺八か」

「これが何か知っているのか?」

なんと、尺八だった。

竹製の立派なものだ。きっと買うと高いだろう。

リオ・レオは尺八を手で弄びながら言う。

「笛というのはわかるが、音が出ないんだ」

「そうなのか? 見せてもらってもいいか?」

「ああ」

尺八をチェックする……うん、特に壊れてはいないな。

俺はリオ・レオに聞いてみる。

「なあ、リオ・レオ……リオでいいか? これ、吹いてみていいか?」

「構わんが……吹けるのか? 音は出ないぞ」

「これ、コツがいるんだよ。俺はじいちゃんから習った……見てろ」

俺は尺八を吹く。曲は……じいちゃんに習った有名な曲でいくか。

久しぶりに吹くが、ちゃんと音が出た。

リオは音が出る笛を見て驚いていた。

「なんと……音が」

俺は演奏を続ける。

サンドローネとリヒター、ユストゥスが馬車から降りて来た。ロッソたちもこっちに来る。

せっかくだ、俺の演奏を聞いてもらうか。

「……不思議な音」

「ゲントクさん、すごいですね……」

「……綺麗」

みんな聞きほれてる。気分いいな……っと。

「っぷは……どうだ? いい音だろ?」

「……ああ、素晴らしい音色だ。アツコが聞かせてくれた音……懐かしい」

「吹き方にコツがいるんだ。教えてやるよ」

「感謝する。ふふ……来て早々だが、お前に会えてよかったと思っているよ」

「俺も、まさか砂漠で尺八を吹けるなんて思わなかった」

尺八を拭いて返却。

と、リオの視線がサンドローネたちに向く。

サンドローネは一礼した。

「初めまして。アレキサンドライト商会、商会長のサンドローネと申します。今回、アルジェント砂漠の開拓事業に協力するため、ファルザン・リブラ様からの紹介で参りました」

「ああ、聞いている。アタシは砂漠最強の腕っぷしを持つが、コッチはまるでダメでね……新しい国に必要なものを、とにかく用意して欲しい」

リオは自分の頭をコンコン叩きながら言う。

そして、右手を上げると、獣人たちが一斉に立ち上がった。

「まずは、長旅の疲れを癒してもらおう。砂漠の食事、酒を堪能してもらおうか……お前たち、宴の用意だ!!」

「「「「「「「「「「ハイ!!」」」」」」」」」」

百人以上の獣人が一斉に叫んだ……かなりビックリした。

俺は驚きつつもリオに言う。

「あ、ああ。俺は今回、アイデア的な話をするために来たんだ。開拓とかに関しては、こっちの三人のプロに話してくれ」

「ははは!! 面倒事を嫌うと聞いている。お前にはちゃんと、別の仕事を頼む予定だよ」

「あ、ああ」

「さあ、まずは宴だ!!」

というわけで、砂漠に到着……いよいよ、アレキサンドライト商会の開拓事業が始まるのだった。