軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

連結馬車

ヒコロクは、列車のような連結馬車を、特に苦労することもなく引っ張り出した。

アオ、そしてサンドローネとリヒター、サスケが地図を見せながら指示を出しての出発だ。ヒコロクなら道を間違えることもなく、アズマまで引っ張ってくれるだろう。

さて、連結馬車について紹介しよう。

まず一両目。ここは二階建ての休憩室だ。

簡易キッチンがあり、冷蔵庫や製氷機、本棚などもある。二階にはソファが並び、四方は全て窓になっているので景色も楽しめる。

サンドローネは、一階のソファに座る。

「ふう……しばらくはのんびりできそう」

「えへへ、お姉様。楽しい休暇にしましょうね!!」

イェランがサンドローネの隣に座って甘える。

そしてリヒターが飲み物を用意。リラックスしていた。

俺は二階に上がり、ソファでくつろぐスノウさん、ユキちゃんを見る。

「いい景色。ふふ、楽しい旅行になるね、ユキ」

「にゃうー、たのしみ……クロハ、リーサもいればよかったー」

「そうね。でも二ヵ月の旅行は、さすがにね……」

クロハちゃん、リーサちゃんか。

最初は、ティガーさんたち家族も誘ったんだが、仕事が忙しいと丁重にお断りされた。子供たちだけ……って話も出たけど、さすがに二ヵ月も両親に会えないのは寂しいだろう。

ユキちゃんはソファに転がると、スヤスヤ眠り始めた。白玉を抱っこしながら。

『にゃ』

「あら、大福さん」

『ニャァァ』

「ふふ、そうですね。お互い大変ですね」

スノウさんは、いつの間にか乗り込んでいた大福とおしゃべりしていた。

そうか……よく考えたら、大福も子持ちのお母さんなんだよな。ユキちゃん、白玉が一緒にいるのを見て、同じお母さんのスノウさんとは仲良しなのかもしれない。

大福は、スノウさんの太腿の上で寝そべり、優しく撫でられていた。

邪魔しちゃ悪い。俺は二号者へ行くことにした。

◇◇◇◇◇◇

二号車は食堂車だ。

簡易キッチン、バーカウンターがあり、椅子テーブルもちゃんと配置されている。ズレないようにテーブルはしっかり固定されている。

定員は三十名。なかなかの広さである。

現在、シュバンとマイルズさんがキッチンで確認をしている。

「シュバン、調味料の確認は」

「終わりました。食材の確認、お嬢様の好きなワインなどもちゃんとあります」

「よろしい。ふふ……」

「マイルズさん……楽しそうですね」

「ええ。料理長の役目を頂きましたので。この旅で、皆さんを満足させる料理を振舞うつもりです。シュバン、お手伝いをお願いしますね」

「もちろん。料理はお任せしますが、酒はオレに任せて下さいよ」

「ええ、楽しい旅になりそうですね」

シュバンはソムリエ、マイルズさんは料理人としての役目があった。

なので、二人はこの食堂車の管理を一手に引き受ける。

食事に関しては問題なさそうだ……ふふふ、お酒も楽しみである。

◇◇◇◇◇◇

三号車は、男子用の寝台車だ。

二階建てで、一階は計四部屋の個室。二階は大部屋でベッドが十二個ある。

個室といっても、ベッドに小さい椅子テーブル、窓くらいしかない。でも個室というだけでありがたいモンがある。

二階の大部屋は、カーテンの仕切りがあるだけの二段ベッドは六つあるだけ。まさに寝るだけの部屋だ。

そして四号車は女子用寝台車。

男子と同じ間取りだ。今回、女子が多いので誰が個室を使うのかで話している。

するとロッソたちがいた。

「まず、おねーさんが個室決定でしょ? スノウさんはユキと一緒のベッドでいいって。ユキ、一人で寝れないし個室のがいいよね。イェランはこの乗り物作った人だし、個室のがいいよね」

「つまり、あと二部屋……わたくしたちの誰か」

「……私、個室がいい」

「私も!!」

「アタシも!!」

「わたくしもですわ。となると……ここはくじ引きですわね」

と、ブランシュがいつの間にか棒を四本持っていた。

ロッソ、アオ、ブランシュ、ヴェルデがそれぞれ棒を掴み、一斉に引く。

「……やった」

「わたくしもですわ!!」

「ぐぬぬぅ、負けた~」

「あう、私も……仕方ない、負けを認めるわ」

ロッソ、ヴェルデが二階の大部屋になった。

「あれ? でもさ、広い部屋を二人での方が楽しくない?」

「そうかも!! ロッソ、夜は遊ぶわよ!!」

「いいわね。アタシ、カード持ってきた」

「よーし、楽しむわよ!!」

なんだか楽しそうだ。

ちなみに、俺も個室だ。シュバンとマイルズさんが二階でいいって言うので、甘えることにした。

◇◇◇◇◇◇

さて、五号車は貨物車だ。

ここにはワインセラーや食材、俺たちの着替えや荷物などがある。

サスケはここにいた。荷物のチェックをしている。

「へー、すっげぇ乗り物だな。なあオッサン」

「だろ? 足回りや頑丈さにもこだわった乗り物だ。荒れ道でも揺れが少ないし、走りながらも寝れる」

「だな。とりあえず、二週間はこいつの世話になるのか」

「一応、町を経由するルートだろ。そこでは宿に泊まる予定だ」

「ああ。と……こんな乗り物見たことないし、驚かれることは間違いないぜ」

「まあそれは仕方ない」

サスケは荷物のチェックを終え、大きく伸びをする。

「いや~……緊張したぜ。『青』のアオ、オレを見て何か勘付いたのか、微妙に警戒してる」

「まあ、仕方ないな……アオの勘はかなり鋭いから」

「オレも『シノビ』としての意地はあるからバレるようなことはしないけど、クーロンにいたなんて知られたら怒るかもな。まあ、戦って負けるつもりは……ギリ、ないけど」

「ギリかよ」

「へへ、オレもけっこう強いからな」

サスケは俺の腕をコツっと叩く。

ホアキンだったこいつは、俺の攻撃を軽くいなしていた。全力で挑んでも勝てないだろう。

するとサスケ、隅っこにあるモノを指さす。

「ところで、アレ……なんか使うのか?」

「いや、念のため……せっかく作ったんだしな」

倉庫の隅っこには、体育座りをしている『魔導アーマー』があった。

体育座りだとけっこう小さく見える。

念のために持ってきたのだが、果たして使う機会はあるのだろうか。

「まあいいや。とりあえず、二週間の移動、楽しもうぜ。なあオッサン、バーカウンターで酒でもどうだ?」

「いいね。お前がみんなに慣れるよう、みんなも誘ってみるか」

こうして、片道二週間の馬車の旅が始まるのだった。