軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

決戦!! 闇の魔導組織『クーロン』②

「…………」

「お、おい。どうしたんだ、その顔」

俺は再び、地下牢に戻って来た。

仕事は明日から、今日は地下牢でゆっくり休めだとさ。

俺は、頬を押さえながら言う。

「別に、大したことない」

「……まさかお前、マオシンに喧嘩売ったのか?」

「…………」

「あいつは、闇武術の達人。魔導武器術の天才でもある、闇の業界じゃ名の知れた『クーロン』の幹部『ドラゴン』だぞ」

闇って何回言ったのかね。とにかく、挑んだはいいが、十秒で負けました。

くそう……県大会ベスト16の空手、柔道。じいちゃんから習った詠春拳じゃ勝ち目なかった。

俺は床にドカッと座り、ホランドに聞く。

「な、誘拐されたお前の家族とか、どこにいるかわかるか?」

「無駄だ。オレらの作業区と、家族の住む居住区は完全に隔離されている。それにクーロンの戦闘員がわんさといる」

「ふむ……」

ホランドに、知ってることを教えてもらう。

まずここは魔道具、魔導武器の工房と工場のある『作業区』だ。ざっと百人ほどの魔道具技師、魔導武器職人が働いているらしい……働くと言っても強制労働だが。

メインは魔導武器の製造。それを闇のルートで売りさばいているとか。

そして、魔道具技師は、戦闘に使える魔導文字の開発……魔道具を作るのではなく、魔導文字だけを作るのか。

「仕事で成功すれば、地下牢から宿舎に移れる。ここはまあ、成果の出せない魔導職人たちの場だ」

「お前は? マオシンの野郎は、お前のこと優秀って言ってたけど……」

「オレは反抗的だからな。何度かここに入れられてる」

「……逃げ出そうと思ったことは?」

「毎日思ってるさ。王都にあるオレの工房が恋しいぜ」

「…………」

なんとかしてやりたい……というか、できるかもしれない。

でも、人質。

ユキちゃんたちの安全を確認しないとダメだ。できればここの人たちの家族も。

俺一人なら、魔法全開で動けばなんとかなる……それに、例のアレもあるし。

「おいゲントク……何を考えてんだ?」

「脱出と、この組織を潰す方法。人質の安全を確認、確保できれば動けるんだが……」

「おいおい、マジか」

ホランドは苦笑する……どうやら本気にしていない。

ふと、気になったことを聞いてみた。

「なあ、そういえばこの組織、魔導文字を発見したとか言ったけど……どんな文字なんだ?」

「わからん。オレは魔導武器職人だからな。聞いた話では、クライン魔導商会の商会長が発見した『雷』に関する文字らしいぞ」

「ふむ……電気系の文字か」

「その文字を確立させ、それを利用した武器を作るのが目的だ。ゲントク……明日、お前は作業区に送られる。そこで確認してみろ」

「ああ、そうしてみるよ」

そういうと、ホランドは俺に毛布をくれた。

「メシは一日一食、今日はもう終わりだ。もう寝ろよ」

「……メシないのか」

こうして、俺は『クーロン』に攫われてしまったのだった。

◇◇◇◇◇◇

翌日。

叩き起こされた俺は、ホランドと一緒に連れ出された。

「ど、どこに向かってんだ?」

「決まってんだろ……仕事場だよ」

「め、メシは?」

「昼だけだ」

なんと、食事は昼だけ。

朝からいきなり仕事かよ。煙草、モーニングコーヒー、朝飯はセットだろうが。

地下牢から出て、どこか古ぼけた鉱山みたいな通路を通り、やけに広い倉庫に来た。

倉庫内にはぼろい椅子テーブルが大量にあり、多くの人間たちが座って作業をしていた。

すると、俺とホランドの前に来る組織の魔導職人。

「これを見ろ。お前たちは、この魔導文字を実用可能なまでにクオリティを上げてもらう」

ミミズののたくったような文字が書かれた羊皮紙だった。

それを受け取り、俺とホランドは隣同士の席に座る。

ホランドは、小さい声で言う。

「あまりデカい声を出すと見回りの連中にブン殴られるぞ」

「あ、ああ」

羊皮紙を見ると、妙な文字が書かれていた。

クイズとかでこういう汚い図形を見せて、『どんな漢字が書かれているでしょうか?』みたいな問題を出せるかもしれん。

机には、やけに質の悪い魔石が三個ほど置かれていた。

「ゲントク。その魔導文字……理解できるか?」

「ああ」

「えっ」

クイズ番組をよく見ていた俺は、羊皮紙の文字をあっさり解読した。

確かに、これは面白い魔導文字……というか、どういう効果が起きるのかな。

「お、おいマジか……!! ど、どんな文字なんだ?」

「待て。まだ彫らないぞ……さっきも言ったけど、まずは人質がどこにいるのか見つけないと」

「おま……まさか、本気でこの組織を……!?」

「ああ。今回ばかりは本気だ。というわけで……ちと騒ぎを起こすから、お前の魔石貸してくれないか?」

「貸すって、こんな純度の低い一つ星の魔石じゃ、大した効果のある力は起こせないぞ」

「わかってる。だからこそ、数が欲しい」

すると、近くのテーブルで破裂音……誰かが失敗したのか、魔石が砕ける音がした。

「すみません、魔石の追加をお願いします……」

そういうと、見回り兵士が一つ星の魔石を三つほど支給した。

「失敗すれば、魔石はもらえるのか?」

「ああ。組織は結果を欲しがっている。オレらは人質が取られている以上、仕事するしかないからな」

「ふむ……」

すると、俺らが入って来たドアとは別のドアが開き、交代らしき見張りが数人出てきた。

「あそこは?」

「あの先は人質の居住区。そして組織の連中の居住区だ」

「……なるほど」

さて、どうするか。

あの先のドアに行き、ユキちゃんたちがいるか調べないと。

手持ちは、愛用の工具セットと、目の前にある質の悪い一つ星の魔石か。

「……よし。やってやる。おいホランド、魔石くれ」

「はあ?」

「適当な魔導文字彫って割って、新しい魔石を調達してくれ。俺も用意する」

「お、おい……何するつもりだ?」

「作戦がある。人質を解放して、この組織を潰すんだよ」

「……できるのかよ?」

「ああ。そのためには、魔石がいる。どうだ、乗るか?」

「……チッ、不思議な野郎だ。お前を見てると、賭けたくなっちまう」

「まずは、魔石の調達。そしてこの施設の情報だ。なんでもいい、お前の知ってること全部教えてもらうぞ」

さてさて『クーロン』とかいう組織……この俺を怒らせたこと、後悔させてやるからな。