軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白神祭中層⑤

いくつかの工芸品やインテリアを眺めつつ、気に入ったものを購入していく。俺も机に置ける小物を2つほど購入した。

しかし、中層に入ってからは誰とも知り合いとは会ってないな……いや、まぁ、コレだけ広い会場であれば会わないのが普通なのだが、なんかここまで短時間で次々と会ってたので、なんかまた会うような気がしてしまう。

まぁ、そうはいっても簡単に会うわけもな……。

「おっ、カイトじゃねぇか、奇遇だな」

「……」

「うん? どうした、微妙な顔して」

「いや、なんでもない……アハトとエヴァはふたりて来たの?」

フラグの回収が早いなぁとそんなことを考えながら、偶然会ったアハトとエヴァと言葉を交わす。

「あたしたちは、たまたま仕事も休みだったからさ、連れ立ってきたわけさ」

「カイトの方は……あ~やっぱり結構大所帯だな。それじゃあ、邪魔したら悪いし俺らはこれで……」

アハトとエヴァは少し離れた場所で買い物している皆に視線を向け、あまり長く話すことなく去っていこうとしたが、そのタイミングで俺たちの元にキャラウェイが近づいてきた。

「……ミヤマ様、そろそろ次の場所に移動するらしいですよ……っと、お知り合いですか?」

「ありがとう、キャラウェイ。うん、そういえば、キャラウェイはふたりと会ったことが無かったね」

以前アハトとエヴァがリリアさんの屋敷を訪れた際には、キャラウェイはまだ居なかったのでふたりとは初対面である。

いちおう新築記念のパーティには来てたけど、話す機会はなかっただろうし……。

「なるほど、初めまして、ミヤマ様に仕えさせていただいてるキャラウェイです」

「こりゃどうも、あたしはエヴァルでこっちのがアハト」

「よろしく……あれ? なんか、どっかで見たような……」

「うん? そう言われてみれば私も、どこかで見たような……」

軽く挨拶を交わしていた三人だったが、途中で怪訝そうな表情を浮かべて顔を見合わせ……。

「「「ああぁぁぁぁ!?」」」

なぜか、三人ほぼ同時に叫んだ。状況が分からず驚いていると、キャラウェイがふたりを指差しながら叫ぶ。

「私の縄張りで暴れたチンピラ魔族!!」

「「あ、あの時の爵位級高位魔族!?」」

なんだか怒っているように見えるキャラウェイと、青ざめて怯えている様子のアハトとエヴァ……え? どういうこと?

「……えっと、三人は知り合いなの?」

俺が声をかけると、三人とも俺の方を向いて、アハトがチラチラとキャラウェイの方を気にしながら口を開く。

「前にバーベキューの時に話したこと、覚えてるか? 俺とエヴァが昔暴れてた時に、ヘマして死にかけたって」

「う、うん、覚えてる。その時にクロと会ったんだよね?」

「ああ、そのヘマってのが……爵位級高位魔族の縄張りで暴れた結果、爵位級高位魔族の怒りに触れて殺されかけたって内容なんだが……」

「え? じゃあ、もしかして……」

話の流れから察するに、つまりはかつてアハトとエヴァを殺しかけた爵位級高位魔族ってのがキャラウェイということだ。

なるほど、そりゃ三人とも驚くわけだ。まさかの再会に、少し不安になりつつキャラウェイの方を見ると……微かな怒りは感じるものの、特にアハトとエヴァに手を出そうとか、そんな感じではなかった。

そんなキャラウェイを青ざめた顔で見ていたアハトとエヴァだが、少しして冷静さを取り戻したのか、ふたりは顔を見合わせて頷き合ったあとでキャラウェイに深く頭を下げた。

「「あの時は、すみませんでした!」」

「……いや、もういいよ。昔のことだし、私もちょっとカッとなり過ぎちゃった自覚もあるから」

ふたりの謝罪を聞いて、キャラウェイも肩から力を抜いて微笑みを浮かべる。しかし、アハトとエヴァはいまだに深く頭を下げたままだ。

「……いや、ここで会うのは偶然ですが、アンタにあったら謝ろうとずっと思ってたんす」

「あたしらがやったことといえば酒場で暴れたぐらいしか思いつかないんですが、爵位級高位魔族があそこまで本気で怒って追いかけてくるってことは、それ以外にも相当のことをしちまったんじゃないかって、そう思ってたんです」

真剣に謝罪するふたりを見て、キャラウェイは少し困ったように頬をかきながら言葉を返す。

「……いや、あの件は私も短気が過ぎたんだよ。あの時、酒場の喧嘩に巻き込まれて、私の同族が怪我しちゃって……つい頭に血が上って、本来なら警告するぐらいのはずがやり過ぎちゃったのは、私も悪かったよ。だから、もう顔を上げて」

キャラウェイのその言葉を受けて、アハトとエヴァは申し訳なさそうにしながらも顔を上げる。

「……キャラウェイの同族?」

「はい。キャットレイドという種族です」

「キャットレイド!? ってことは、特殊個体ですか?」

種族名を聞いてアハトが驚いたような表情を浮かべる。エヴァも同じような顔をしているということは、キャラウェイの種族が意外ってことだろうか?

俺が首を傾げていると、その疑問を察したのかキャラウェイが俺の方を向いて説明してくれた。

「……キャットレイドという種族は、かなり弱い種族なんですよ。高位魔族レベルですら数百年にひとり生まれるかどうかってぐらいで、数もそこまで多くないので弱小種族として有名なんですよ」

「なるほど、だからふたりとも驚いてたのか……」

「私は歴史上唯一爵位級に到達できたキャットレイドで、種族の英雄とかそんな風に呼ばれてました……まぁ、自業自得で『種族の面汚し』って呼ばれることにもなりましたが……」

少し寂し気な顔で話すキャラウェイを見て、思わず言葉に詰まった。そういえば、あまり彼女の昔話というのは聞いた覚えがない。

なぜそんな寂しそうな顔をしているのか、できればその理由を知りたいと……そう思った。